本朝徒然噺

「和」なモノについて気ままに語ります ※当ブログに掲載の記事や画像の無断転載はご遠慮ください

祇園甲部 京舞公演

2006年10月01日 | 花街随談
京都の花街では毎年秋になると、芸妓さんや舞妓さんが日頃の稽古の成果を披露する意味で、舞の公演が行われます。
春に行われる「都をどり」や「鴨川をどり」など観光的意味合いの強い公演に比べると、期間は短いですが、日本舞踊や邦楽の好きな方にとっては見応えのある公演になっています。

祇園甲部では、例年は「温習会」と称した公演が行われているのですが、今年は先代の井上八千代さんの3回忌にあたるため、追善興行が「温習会」に代わって行われました。
温習会の場合は芸妓さんや舞妓さんだけが出演されますが、今回の追善興行では、現・井上八千代さん、その娘さんの井上安寿子さんも出演されました。

会場ある「祇園甲部歌舞練場」に着くと、玄関を入ったところに舞妓さんや芸妓さんがずらりと並んで、観客を出迎えてくださっていました。
あまりにも素晴らしい眺めに、いきなり夢心地になってしまいました。

祇園甲部歌舞練場ロビー(京舞公演開演前)

最初の演目は「春遊び」。
新春を寿ぐ曲で、お正月の遊びなども振りのなかに組み込まれており、華やかさのなかに愛らしさのある踊りです。
黒紋付の正装姿の芸妓さんや舞妓さんがずらりと並んで舞う様子は圧巻でした。
最前列の席だったので、間近で芸妓さんや舞妓さんを見られてとてもうれしかったのですが、こんなふうに大勢の芸妓さんや舞妓さんが目の前で並んでおられると、どこを見ればよいか迷いました(笑)。

そのほかに、井上安寿子さんの「伊達奴」、名取の芸妓さんたちによる「三国一」「夢の世」「六玉川」、井上八千代さんによる「信乃(しの)」が舞われました。

「信乃」は、「南総里見八犬伝」に題材をとった曲目です。
人目を忍ぶため女性になっていた里見八犬士の一人・犬塚信乃が、陣太鼓の合図を聞いて勇壮な若武者の姿に立ち返ります。
前半はかわいらしい娘、後半は勇壮な若武者と舞い分けなければならない大曲です。
「ぶっ返り」で一瞬のうちに若武者姿にかわったりと、華やかな演出も施されていて見応えがありました。



最新の画像もっと見る