軽はずみな発言を繰り返す安倍首相<o:p></o:p>
軽はずみな発言を繰り返す安倍首相<o:p></o:p>
ここに来て安倍首相の不用意な発言が目立つようになった。直近の例は松岡前農相の自殺に際して、記者団に答えた次の言葉だ。
「・・・捜査当局から松岡大臣や関係者の取り締まりを行なっていたという事実もないし、これから取調べを行なう予定もないと、このような発言があったということを承知しています・・・」
歴代首相は捜査自体に言及する時は慎重であった。安倍首相のここまで踏み込んだ発言は異例である、それは広義の指揮権発動にもつながるおそれすらある、と31日の東京新聞は「こちら特捜部」で取り上げている。
しかし私はやはり安倍首相が今年3月の防衛大学の卒業式で述べた訓辞の言葉を重大視したい。安倍首相は「慎重と自制を説く忠言が、いかに致命的危険の主因となりうるか・・・」というチャーチル回顧録からの言葉を紹介した上で、「将来直面するであろう危機に臨んでは、右と左を足して二で割るような結論が真に適合したものとはならない・・・思索し決断する幹部であってほしい」と述べた。
この発言については5月18日に行なわれた党首討論においても小沢民主党代表がシビリアンコントロールの観点から問題提起をしていたが、メディアは取り上げなかった。
しかし「実業界」という月刊誌の6月号で、小島秀樹という弁護士が、「この言葉だけでも内閣は総辞職すべき」重大な発言であると次のように書いていた事に私は注目した。この事をブログで取り上げるためだけの目的で、670円を払ってこの雑誌を買って、今こうして書いている。
すなわち1938年、時のチェンバレン英国首相は、ヒトッラーの「これが最後の領土的要求である」との言葉を信じてチェコスロバキアの一部であったズデーテン地方のドイツへの割譲を認めた。いわゆる「ミュンヘン宥和」であり、その後のヒットラーの増長を許したという歴史的事実である。そしてこれが国際政治を語るときに強硬派が決まって持ち出す、国際協調論者に対する批判の根拠である。
チャーチルの言葉もまさに前任者の軟弱外交を批判した政治的発言であるのだが、、小島弁護士は、そのチャーチルの言葉は当時の経緯に照らし、英国民に向けられた発言としてはよく理解できるとした上で、しかし日本の当時の状況は異なると次のように述べるのである。
「・・・日本はどうであったか。満州事変は時の関東軍参謀石原莞爾が計画し、板垣征四郎参謀が、内閣の事前の承認なく、本庄繁司令官に承認させて実行した。36年の日中事変も、39年のソ連極東軍とのノモンハン事件も、現地での軍の衝突から始まっている。海軍の青年将校が犬養首相を暗殺した5・15事件、その後陸軍青年将校による2・26事件は帝国議会を沈黙させ、軍が政府を壟断することになる。それが真珠湾攻撃への序章となったことは疑いがない。つまり日本の軍部は政治家をテロで脅して手足を縛り、大局観・世界観を持たない東条をして対米戦を決断・実行させた。われわれが前後60年、大切に育て守ってきた価値とは、視野狭窄の軍人を政治から徹底的に排除して、国民から選ばれた議員、なかんずく内閣総理大臣を中心とする政治家が政治決定を行なうという議会制民主主義の政治理念ではないのか・・・」と。
そして小島弁護士は次のように激しい言葉で結ぶのである。
「・・・よりにもよって、将来の自衛隊幹部に向かって、『主体的に決断する幹部であって欲しい』とは何ということを言うのか。自衛官は如何に高い地位についても、国民の代表たる内閣の政治的決断に依存すべきであって、自ら『決断』してはならない。
安倍訓示に対して大新聞やTV報道はなんら批判していない。厚生労働大臣の『女性機能論』には大キャンペーンをはった日本の主要メディア幹部のレベルを思う。安倍訓示をつくった役人のレベルも同じか。(そんな安倍首相を後任の宰相として)ふさわしいと思った小泉前総理にも身震いするのは私だけであろうか。<o:p></o:p>
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