呪われ史因果応報<本澤二郎の「日本の風景」(3471)
<源流は明治維新の天皇絶対主義=人権・自由のはく奪>
安倍晋三内閣は、人々に戦前の秘史を思い出させてくれる。田布施の歴史なのか、因果応報の戦前戦後の日本正史は、ことごとく負の連鎖を裏付けて余りあろう。源流は明治維新の天皇絶対主義にある。人々の人権・自由をはく奪した「近代化」は誤りであった。
今回の台風15号と19号の大自然の怒りとも関係があろう。「大量の放射能汚染物資を保管していた袋が、400ミリ豪雨で河川や海に流れた」と中国のネットで炎上、家族から「中国に帰れ」の呼びかけが飛び交っている。
この大量の放射能ゴミの垂れ流しのような事態は、フクシマ原発の1000個近いタンクの汚染水も、同じく海に流れだしていることを教えているが、当局は報道管制で蓋をかけている。
今も明治が生きている日本であろう。
<帝国憲法・国家神道・教育勅語=侵略・植民地主義=原爆投下>
明治の天皇神格化を実現した三本柱は、大日本帝国憲法・国家神道・教育勅語である。憲法と宗教と教育で人々を鉄の鎖で拘束したもので、そこから必然的に植民地・侵略戦争を可能にした。
日本の学校教育が決して教えない真実である。背後を天皇の官僚と財閥が固め、軍閥に道筋を示した。
朝鮮半島を植民地支配、ついで大陸に傀儡政権まで打ち立て、蛮行を繰り返した。その結果としての原爆投下であった。日本敗戦は、天皇絶対主義の行き着く先だった。これを自業自得という。
<戦後も天皇制存続=財閥・軍閥の復活=54基の原発>
敗戦は、自由と人権を悲願とする国民に、改革への機会と希望を与えるものだった。しかし、国民にその力はなかった。明治以来の天皇絶対主義に、人々の精神は粉々に打ち砕かれてしまっていた。
占領軍任せが、今日に尾を引いてしまった。悲劇による一大改革を推進する好機を逸してしまった。ことほど荒廃した国土と疲弊した国民が、1945年の日本だった。
当時の為政者もまた、自立する中での独立国を目指すという気概がなかった。近代化にそぐわない天皇制を存続させてしまった。まもなく朝鮮戦争で、解体されたはずの財閥が復活した。軍閥もまた、やけぼっくいに火がついてしまった。戦前を支配した天皇の官僚は、温存されてしまった。
国民は非戦の憲法9条を手にしたが、安倍晋三というA級戦犯の孫は、公然と破憲を貫いている。連立を組む公明党も「戦争党」に衣替えして、止めようとしない。
かくして54基もの原発が列島の隅々に建設された。その先に311が待ち構えていた。
<311東電福島原発崩壊=再稼働=放射能まみれ列島=関電疑獄>
311にうろたえた世界の政治指導者は、少なくない。ドイツのメルケル首相は、即座にドイツ原発の廃炉を決め、自然エネルギーに切り替えた。
昨今、各国は原発建設を取りやめている。アメリカも含めて。核をコントールできないし、これほど危険で、高価なエネルギーなどない。核武装に野心をたぎらせる安倍・自公内閣は、こともあろうに再稼働へと進軍、世界を驚かせている。
放射能汚染は、フクシマ原発の周囲30キロ圏や80キロ圏で抑え込まれた、という大嘘を信じる国民は、いまほとんどいない。
人々は、東京湾の魚も危ない、太平洋岸の魚はなおさらだ、と認識している。これもまた、日本政府の隠ぺい対策の成果である。
東京五輪開催にも暗雲が垂れ込めてきている。こうした懸念を払しょくしようとしてか、安倍の別動隊である維新の会が「汚染水を大阪湾に受け入れる」と言い出して、新たな怒りと反発を招いている。
放射能まみれ列島は、千葉県の水源地に投棄された1万トン以上の放射能汚染物資問題も、新たな火種となって、これを強行した俳優崩れの知事・森田健作への罷免の動きを本格化させている。
そして、ついに関電疑獄事件が発覚した。原発の闇が暴かれようとしている。
そこに、世界大不況下の10%消費税という大増税で、消費の著しい落ち込みが、あらゆる企業と会社員、貧困層の生活に襲い掛かっている。国民は、166億円の原始の皇位継承劇にも、スポーツ熱狂報道にも踊る情況ではない。暗い時代の予感がするばかりだ。因果応報に立ちすくんでいる!
2019年10月20日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)