みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

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マルチ商法対抗録・7 (板ばさみ)

2009年01月30日 19時28分42秒 | 日常のあれこれ
この連載の目次

(前回から続く)

Aちゃんは、今後もBさんと友達でいるために、解約前に勧誘者であるBさんと話をすると言いました。

私は、AちゃんとBさんの間にどのような信頼関係があるかはよく知りませんから、深く介入すべきではありません。人と人とのつながりを大切にするAちゃんです。Aちゃんの判断を尊重しなければなりません。

私の胸に、またひとつ不安の種が増えました。

Aちゃんがクーリングオフの手続きをとる前にBさんと話し合ったとしたら、どうなるでしょう。Bさんから解約を思いとどまるように説得されるはずです。

「もう一度考え直して」
「この仕事もダメなの?」
「収入がなくて大丈夫?」
「今の生活のままでいいの?」
「せっかく紹介してあげたのに」

そう言われたとき、Aちゃんは断れるでしょうか。気持ちが揺らぎはしないでしょうか。解約したら関係が壊れてしまうかも、と不安にならないでしょうか。

そしてこのとき、私が知らない事実も重なっていました。
「入会金もトライアルセットの代金も出してあげたのに」
と言われたら、素直にクーリングオフできるでしょうか。

前日のメールでは、Aちゃんは確かにクーリングオフすると言ってくれました。

しかし、人間は感情の生き物です。理性では分かっていても、気持ちがついていかないことがあります。人間は弱いです。危ないです。私は、冷静な法律の専門家がクーリングオフをサポートしてくれることを願っていました。

Aちゃんが解約前にBさんと話をするのには、もうひとつ懸念がありました。

Bさんは、Aちゃんが買った高額な化粧品を買い取ってもいいと言うのです。こんな勧誘方法、Bさんはどこで入れ知恵されてきたのでしょうか。

人間は感情の生き物です。化粧品を買い取ってもらうと、「あのとき買い取ってあげた」とか「ビジネスを紹介してあげた」という感情が残りがちです。

今後、Aちゃんがまったく勧誘活動をしないと、Bさんは「ビジネスを紹介してあげて、化粧品まで買い取ってあげたのに」と思うかも知れません。

かと言って、ほかの友達を勧誘すると、勧誘された友達が、今回Aちゃんが味わっている葛藤 (かっとう) を経験することになります。

勧誘しなくても友達とぎくしゃく。勧誘しても友達とぎくしゃく。

この板ばさみに陥らないためにも、絶対にクーリングオフするように伝えました。友達に化粧品を買い取ってもらうのはダメだと念を押して。

私の胸の中で、不安ばかりが大きく膨らみます。

Aちゃんはこのままマルチ商法を始めてしまうかも知れません。貯金を取り崩して糊口 (ここう) をしのぐAちゃんの生活です。マルチによって貯金の寿命は必ず縮みます。Aちゃん、人が変わったりしないかな。笑顔で前向きなAちゃんが大好きだったのに。私の反対を押し切ってマルチにお金をつぎ込んだAちゃんを、今後私は助けられるかな。Aちゃんが困ってるとき、私は助けるべき? 突き放すべき?

私の理性は、これ以上介入してはいけないと言います。いくら友達でも、踏み込みすぎてはいけないと。

「私からの最後のおせっかいです。読んだ後は、Aちゃんの判断で行動してください」

おせっかいメールは、これで最後にしようと決めました。これ以上、友達との間でつらい思いをしないために、Bさんに連絡する前にクーリングオフの手続きをとり、業者やベテラン会員がクーリングオフを妨害してきても絶対に屈しないように説得するメールを書きました。「私からの、最後の最後のお願いです」と書き添えて。

メールの末尾では法律相談窓口を紹介しました。

法テラス http://www.houterasu.or.jp/
法律の専門家が無料で相談に乗ってくれます。

おせっかいは、これでおしまい。
健闘を祈ります。
お金も友人関係も守れますように。
みぃ


祈るしかありませんでした。

どうか、Aちゃんの心が揺れませんように。

冷静にクーリングオフしてくれますように。

メールを送信する頃には、夜が明けようとしていました。

(次回に続く)