みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

リアルに漫画的展開・1

2008年08月14日 22時14分12秒 | 性同一性障害 (GID)
広告のコピーを書き、企画書にまとめて提出しました。企画書はメールで提出し、広告の全体的イメージも別途メールで伝えました。

その依頼主の事務所に行ってきました。コピーを書いてからは初めての訪問です。

事務所の大テーブルでは、ひとりのスタッフが事務の作業をしていました。今回の広告とは直接関係のない人です。

偶然、事務員がその人の名前を呼びました。
「○○さん」

聞いたような名前です。

机から上がった顔は、見たような顔。

まさか。

まさかと思いたいところですが、体格も髪型も声も話し方も似ています。間違いなくあの人です。私が以前勤務していた会社に出入りしていた人です。あのときのまま変わっていません。

あの人がこんなところにいるなんて、日本は本当に狭い……などと悠長に感心している場合ではありません。

私は今、元の性別を伏せたまま女性として生活しています。目の前のスタッフと会ったのは、私が男性として会社に勤務していた頃でした。当時、何回か顔を合わせましたし、話をしたこともあります。この人は、男性としての私を知っています。当時の私と同一人物だと気づかれたでしょうか。私の元の性別について変なうわさを流されなければいいのですが。

やば、やばっ!

私は普通に女性として生きていきたいのです。今のまま無難に過ごしたいのです。そんな平凡な願いの前に、突如として、元の性別が知られる危機が立ちはだかりました。

周りの人とは、既にある程度の付き合いがあります。安定しつつあるコミュニティーの中に元男性などという衝撃が投げ込まれたら、どんな騒ぎになるでしょう。世間では、性別を変える人は芸能界や夜の世界にしか存在しないと思っている人も多いはずです。性別を変えた人がすぐ隣にいたと知ったとき、みんなはどう反応するでしょう。見知らぬ人に元の性別を知られるのとは、わけが違います。

当時の私と同一人物だと気づかれていなければいいのですが。

今の私は、あの頃の私とはずいぶん見た目が違うはずです。女性の服装をしていますし、髪も伸ばし、メイクもしています。ホルモン療法を通じて皮下脂肪が増え、もともと中性的だった顔立ちはさらに女性的になりました。顔立ちの変化はかなり大きく、女性ホルモンを使い始めて数ヶ月後に再会した知人から、私だと分からなかったと言われたほどです (私自身は、毎日鏡を見ていたので小さな変化の積み重ねに気づきませんでしたが)。

そんな外見ですから、あのときの私だと気づかれてはいないと思います。しかし確証はありません。果たして本当に気づいていないのか、気づいていても何も言わないだけなのか。気づいているなら、何も言わずに流して欲しいものです。

何だか漫画のような展開になっています。漫画だと、この後、元の性別がばれないように あれこれ気を回したり騒ぎが起きたりしてストーリーが展開していきます。リアルだとどうなるのか……。

私は、平穏な普通の生活がしたいだけなの。お願いだから、余計な波風は立てないでね。

(「リアルに漫画的展開・2」に続く)