彷徨者のネット小説レビュー

ネット小説サイト「Arcadia」や「ハーメルン」をメインに、あちこちで見かけたネット小説をレビューするブログです。

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 このブログの管理人、彷徨人です。名前の通り、あちこちのサイトをさ迷っています。ネット小説に限れば『Arcadia』と『小説家になろう』がメインになります。
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2012-05-13 18:00:00 | オリジナル作品

原作名:オリジナル
作者:雛
終更新日:2012年5月10日 2013年3月31日
評価:B
サイト:小説家になろう
    http://ncode.syosetu.com/n7072bd/

[あらすじ]
 父の残した多額の借金の返済に、家も保険金も僅かな貯蓄も全て失った主人公。人生どん底なところで目にしたのは、高級リゾートホテルのシェフの求人広告。
 次の職も住み家も当てがないからと申し込み、行き着いた先は異世界だった。
 この異世界のとある小国には、有史以前からの巨大迷宮が存在し、そこに潜む魔物目当ての冒険者が多く集う。ならばそれを観光事業として成り立たせようと、3年ごとに開くゲートを通じ、異世界(なぜか日本)から技術者を雇用していた次第。
 3年周期とは言え確実に往復できる異世界の高級リゾートホテルで、料理人として腕を振るう主人公の奮闘記。

[文章]
 三人称。たまに誤字。一話平均2千8百字程なので、物足りない感がある。描写の薄さが気にしなければ読める文章。

[総評]
 異世界漂着物の料理物。漂着と言っても3年間の労働契約なので、契約が切れれば元の世界に帰れる設定。しかも国家事業として、国が異世界(日本)から技術者(料理人)を招致しているので、本人は気づいていないながら国賓待遇。警護体制も万全。そんな訳で、異世界に漂着したので、身元を得るために『冒険者ギルド』に入会、というありがちな流れはない。
 タイトル通り、物語のメインは料理。食材は異世界の、それも地下迷宮で狩った魔物ばかりなので、異世界(日本)の料理人としては毎回試行錯誤の連続。やってきた当時は散々失敗作を作りまくったそうだけれど、渡来1年後の設定なので、そういう失敗は早々ない模様。失敗の話こそ読みたい心境。
 肝心の食材調達はどうしているかと言えば……経営者の第三王子が視察ついでに狩ってきたものか、ギルドを通じての購入。ここでのギルド入会には、筆記と実技試験の他、紹介状が必要という事で、身元不明の異世界人が身元確保のため、などと簡単に入れる仕組みになっていないのが好印象。勿論、料理人の主人公が、食材を得るために迷宮に潜るなんてことは……ない。
 グルメツアーは開催されるわ、住んでいた巨大な魔物が老衰で死ぬわ、そのせいで迷宮の生態系が狂うわ、何とも愉快な設定も楽しい。
 厨房を自らの城とし、虫(型の魔物)であれば容赦なく叩き潰す料理人な主人公に期待。