彷徨者のネット小説レビュー

ネット小説サイト「Arcadia」や「ハーメルン」をメインに、あちこちで見かけたネット小説をレビューするブログです。

ようこそ

 このブログの管理人、彷徨人です。名前の通り、あちこちのサイトをさ迷っています。ネット小説に限れば『Arcadia』と『小説家になろう』がメインになります。
 初めての人は、まずこちらを一読下さい。→はじめに
 これまでレビューした作品のリストです。→五十音順リスト

こーかくのれぎおす

2012-05-19 18:00:00 | 鋼殻のレギオス

原作名:鋼殻のレギオス
作者:天地
最終更新日:2012年5月12日 完結済
評価:B
サイト:Arcadia
    http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=32355&n

[あらすじ]
 グレンダンを遠ざかる放浪バスの車内、レイフォン・アルセイフの気分はどん底にあった。闇の賭け試合出場の発覚、天剣のはく奪、孤児院の家族からの刺々しい態度、そしてグレンダンからの追放。
 こんな境遇になる前に、もっと何か手立てはなかったのだろうか。もっと上手い方法があったのではなかろうか。自責なのか後悔なのか、鬱々と慣れない思考に沈んでいるうちに、耳に届く衣擦れの音。出所は自分の荷物。しかも何やらもぞもぞ動いている。
 嫌な予感に駆られつつ、恐る恐る荷物を開け……出てきたのは小さな女の子。リーフェイス・エクステ、愛称リーフィ。
 今さらグレンダンに戻る訳に行かず、小さな女の子を一人で送り返す訳に行かず、やむなくツェルニに連れていく羽目に。
 あっちで人攫い、こっちで人攫いと騒がれ、神経性の胃痛と戦いながら、新生活を始めるために奔走する子連れ狼レイフォンの奮闘記。

[文章]
 三人称。誤字少々。「~だが」の疑惑法で文章を終える時が多く、少々鼻についた。作者氏の癖なのだろうけれど、この用法を控えればずっとテンポが良くなると感じる。

[総評]
 お前はどこのキョンだ、と突っ込んでしまった意外すぎるレイフォンの子連れ入学。勿論実子ではなく、同じ孤児院の仲間で剄持ち。
 原作通りの入学式での乱闘の後、カリアンの呼び出し。武芸科への転科条件に、付け加えた条件がリーフェイスの滞在許可。なし崩し的に第十七小隊に編入されるのも原作同様の流れ。
 しかしリーフィの影響は小さくなく、メイシェンとフェリの人格がかなり愉快な事に。特にフェリは、リーフィの親権を本気で狙うとか、何やっているのやら……。シャンテはシャンテで、精神年齢の近いのが現れたせいかテンションが上がり気味。
 反面、レイフォンのダウナー思考は原作の比ではない。小隊戦のグラウンドに出るのにすら、カリアンの恫喝があってどうにか、という具合。このまま鬱々した流れでいくかと思いきや、ここはやっぱり主人公、立ち上がるべき場では立ち上がってくれる。
 守るものがあるから強くなれる。支えてくれる人がいるから立ち直れる。父親を目指すレイフォンの活躍に期待する作品。