不朽の名作「宇宙戦艦ヤマト」で、ガミラス帝国のドメル将軍率いる大艦隊と
ヤマトの決戦の舞台になったのが七色混成発光星域-通称「七色星団」でした。
その星域は、それぞれ習性の違った6つの星とガス状の暗黒星雲とから成る
混成星団という設定で、とてもカラフルなイメージに描かれていました。
もちろんフィクションですが・・・
でも、実際にあるんですよ、それに近い星域が。
ただし、星たちの色がカラフルなのではなくて、
星間ガスなどによる星雲が様々な発色を示しているところです。
その写真がこちら↓
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キヤノンEOS Kiss Digital X + EF200mmF2.8LⅡUSM
ISO800 F2.8 総露出時間60分(5分×12コマ加算合成)
[5月2日未明 山梨県甲州市大菩薩湖付近にて撮影]
この星雲群は夏の代表星座である「さそり座」にあります。
左下寄りで一番明るく写っているオレンジ色の星が、さそりの心臓にあたる
一等星アンタレスで、その周辺にある星雲は黄色や橙色に発色しています。
おそらく赤色巨星であるアンタレスからの光を星間物質がそのまま反射して
暖色系の色に見えているんでしょう。
その右の星がごちゃごちゃ集まっているところは球状星団M4で、
白っぽい色に写っています。
一方、写真上部には高温の青色星があって、その周辺のガス星雲は
やはりその星の色を反映して青色に発色していますが、
アンタレス周辺の星雲と混じり合うエリアは水色や紫色にも見えますネ。
その左からは暗黒星雲が突き刺さるように伸びてきており、
黒~茶色の発色を示しています。
画像右寄りに目を転じれば、青色の星に赤色の星雲が纏わりついているのが
わかりますが、これは電離した水素ガスが、青色星の発する紫外線のエネルギー
を受けて特有な波長の光を発する原子発光現象に基づく星雲で、
いわゆるHII(エイチツー)領域と呼ばれる星雲に相当します。
左下端の方にも似たような星雲があるようで、赤色の広がりが認められます。
全体として様々な色の天体が寄り集まったイメージで、
全天一カラフルなエリアとも言われています。
ただし、どの星雲も淡いため、肉眼ではもちろん
大きな望遠鏡を使っても目で色を感じ取ることはできません。
写真に撮って初めて色彩豊かであることがわかる星域なのです。
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