野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

葉を煎じて甘酒代わりにも使われるアマチャ(紫陽花シリーズ5)

2019年06月26日 08時45分41秒 | 

アジサイの葉には毒があるが、アマチャの葉は名前どおりに煎じて飲むと甘いらしい。ガクアジサイと似ていので、アジサイの葉を煎じて飲んで集団中毒事故が起きたこともある。砂糖の数百倍の甘さというから、すごい。
寺院に植えられることが多いが、これは四月の釈迦の生誕記念日に行われる花祭りに、アマチャを飲む風習があったからだという。「木の花の咲くや甘茶の春が来て 平畑静塔」。
装飾花そのものは、シンプルで美しい花だ。青くなるらしいが、写真のはまだ白くて、清楚な感じを与える。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

 

 

アマチャ

甘茶(あまちゃ)は、ユキノシタ科の落葉低木落葉性の低木アジサイの変種である。 アジサイ科のガクアジサイと酷似しており、間違われる事が多い。 アマチャ(学名:Hydrangea macrophylla var. thunbergii)。また、その若い葉を蒸して揉み、乾燥させたもの、およびそれを煎じて作った飲料のことも指す。ウリ科のつる性多年草であるアマチャヅルの葉または全草を使った茶も甘茶ということもあるが、前者の「アマチャ」を使った甘茶が本来の甘茶である。

甘茶の茶葉に「御法楽」という御祈祷を神社で行った茶葉のみ「天茶」の称号が許される(読みは同じ「あまちゃ」)。

風習
飲料としての甘茶は、黄褐色で甘みがあり、灌仏会(花祭り)の際に仏像に注ぎかけるものとして古くから用いられた。これは、釈迦の生誕時に八大竜王がこれを祝って産湯に甘露を注いだという故事によるものである。また、潅仏会の甘茶には虫除けの効能もあるとされ、甘茶を墨に混ぜてすり、四角の白紙に「千早振る卯月八日は吉日よ 神下げ虫を成敗ぞする」と書いて室内の柱にさかさまに貼ると虫除けになるという風習がかつて全国的に行われていた。

薬用
甘茶は甘味成分としてフィロズルチンとイソフィロズルチンを含み、その甘さはショ糖の400あるいは600 - 800倍、サッカリンの約2倍である。葉を乾燥させることにより甘味が出る。また苦味成分としてタンニンを含むが、カフェインは含まない。

生薬としては、抗アレルギー作用、歯周病に効果を有する(日本薬局方に収載)。

茶・麦茶などに砂糖を入れたものは本来の意味での甘茶ではない。

毒性
昔から食用とされてきた植物であり、これまでアマチャから毒性のある成分が検出されたことも無く、毒性はないと考えられているが、濃すぎるアマチャを飲むと中毒を起こして嘔吐する恐れがある。


甘茶 の例句 

いただいてくちびる甘き五香水 上田五千石『森林』補遺
お甘茶や一人貌なる疲れ尼 阿波野青畝
かすみたる眼をこらしては甘茶佛 石田勝彦 百千
きのふ甘茶の日なりし寺に詣でけり 村山故郷
くろがねの丹田ひかる甘茶仏 野澤節子 鳳蝶
くろがねの御身甘茶の行に耐ふ 平畑静塔
さし入れし我が手醜し甘茶仏 右城暮石 天水
しほしほと媼が眼あらふ甘茶かな 松村蒼石 寒鶯抄
しりへにす東京タワー甘茶仏 阿波野青畝
とんとんと土橋を駈けて甘茶貰ひ 大野林火 飛花集 昭和四十六年
またたきをされしか甘茶目をつたひ 平畑静塔
み仏の産湯かはりてにほひけり 阿波野青畝
ゆれ合へる甘茶の杓をとりにけり 高野素十
一末寺曹洞を守り甘茶布施 阿波野青畝
一束に甘茶の杓の束ねられ 清崎敏郎
丈六の見下し給ふ甘茶仏 大野林火 月魄集 昭和五十六年
乾の手の一指を立てて甘茶仏 野見山朱鳥 運命
佛性もゆらぐ甘茶に酔ひたまひ 平畑静塔
修験寺の甘茶佛痩せ給ふなり 石田勝彦 雙杵
冷めきりし佛の産湯汲みにけり 上田五千石 森林
喉仏いづこ甘茶の迸る 阿波野青畝
地を指せる御手より甘茶おちにけり 中村草田男
坤の手の雫玉なす甘茶仏 野見山朱鳥 運命
壜に入れいただいてゆく甘茶かな 山口青邨
大空に田がひらめけり甘茶佛 永田耕衣
大釜の甘茶をのぞく童子かな 松村蒼石 寒鶯抄
寛永寺甘茶の杓の揺れ合へる 高野素十
山寺に甘茶の茶碗十余り 阿波野青畝
山寺や花さく竹に甘茶仏 飯田蛇笏 山廬集
山寺や花咲く竹に甘茶仏 飯田蛇笏 霊芝
山高く登りて小さき甘茶仏 松村蒼石 雁
御人品甘茶千年かけ申し 平畑静塔
御顔も夕暮のいろ甘茶佛 森澄雄
念々に甘茶の杓を傾けよ 石田勝彦 百千
掌へ甘茶を甘露の一滴に 中村草田男
掌を立てしほどの高さの甘茶仏 山口誓子
旅すがら今日の甘茶は甘かりし 阿波野青畝
日の暮れていまだにぎはふ甘茶寺 森澄雄
木の花の咲くや甘茶の春が来て 平畑静塔
末法の甘茶を灌ぎたてまつる 日野草城
本堂に幕打ち張つて甘茶かな 村上鬼城
杓の下小さくかなしや甘茶佛 松本たかし
桶の中の甘茶減りぬと子が覗く 高野素十
椿寿忌の南無一杓の甘茶受く 上田五千石『琥珀』補遺
欠け湯呑かずのうちなる甘茶かな 阿波野青畝
浮びをる甘茶の杓をとらへけり 後藤夜半 翠黛
漆黒の檀(たん)の生れか甘茶さま 平畑静塔
濡れづめにして夕暮れぬ甘茶仏 桂信子 草影
灌ぐとき甘茶の杓のうちあへる 上田五千石『琥珀』補遺
灌仏や甘茶の四海波しづか 鷹羽狩行
甘茶てふ語の甘かりし灌仏会 細見綾子
甘茶仏おんふくよかにましましぬ 山口青邨
甘茶仏の顔かくすほど山つつじ 細見綾子
甘茶仏ほのかに湯気を立ててをり 清崎敏郎
甘茶仏幾世経にけむ減り給ふ 山口青邨
甘茶佛伊豆の入江の曇りそむ 藤田湘子 神楽
甘茶佛杓にぎはしくこけたまふ 川端茅舎
甘茶佛竹の声など聞かれけり 岡井省二 鹿野
甘茶寺 隣れば 老婆の問わず語り 伊丹三樹彦
甘茶布施茶碗は有田いさぎよし 阿波野青畝
甘茶汲む鶏鳴かくも遠きかな 松村蒼石 雪
甘茶浴ぶ異形異相の唯一人(ゆいちにん) 平畑静塔
甘茶照り異国の相の童子佛 山田みづえ 草譜
疾風に甘茶の杓の逆立てる 石田勝彦 秋興
百拝に仏の産湯濁り初む 上田五千石 風景
空き瓶の甘茶を帰路に少し飲む 細見綾子
童形の甘茶さまにて乳子ならず 平畑静塔
筍の桶にたゝふる甘茶哉 政岡子規 筍
背のびして甘茶注ぐ子仔犬抱き 福田蓼汀 秋風挽歌
胸広に立たしたまへり甘茶仏 下村槐太 天涯
腰衣をまとひ甘茶を浴びたまふ 平畑静塔
裏山に鴬鳴くや甘茶寺 山口青邨
誕生仏甘茶いくたび浴びにけむ 桂信子 草影
車酔ひせず甘茶仏出開帳 百合山羽公 樂土以後
里寺の仏小き甘茶哉 政岡子規 甘茶
長短の甘茶の杓の長を執る 上田五千石『琥珀』補遺
雨だれも甘茶も楽し増上寺 阿波野青畝
雨ふれば甘茶と思ふ仏生会 山口青邨
雨嘆く人のこゑして甘茶寺 岸田稚魚

 


花期だけ葉の半分が白くなるために半化粧とも呼ばれる半夏生

2019年06月26日 06時54分11秒 | 

神代植物公園の水生植物園で、半夏生が群生していた。あたり一面に咲いていたというのが正確だろう。半分だけ葉が白くなり、そばにオカトラノオを小さくしたような白い花がいくつか咲く。この穂の形の花を「トカゲの尾」とみなして、英語の名前と学名がつけられている。
あまりみかけない花だが、一度みると忘れられない。和名の「半化粧」や「片白草」も特徴をうまくとらえている。花期が終わると、葉の白さは消えるとしいうから、うまくできている。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

半夏生

半化粧 (はんげしょう)(半夏生(はんげしょう)片白草(かたしろぐさ))

(Lizard's tail)
・毒痛み(どくだみ)科。
・学名 Saururus chinensis Saururus : ハンゲショウ属 chinensis : 中国の
 Saururus(ソーララス)は、ギリシャ語の「sauros(トカゲ)+ oura(尾)」が語源。  トカゲの尾のような穂状の花序から。
・開花時期は、 7/ 1 ~ 7/20頃。
・上の方の葉っぱが、ペンキをべったり塗ったように白くなるのがおもしろい。

・「半化粧」「半夏生」「片白草(かたしろぐさ)」など、いろんな呼び名がある。

・花期に葉が白くなるのは、虫媒花であるために虫を誘う必要からこのように進化したのではないか、といわれている(白くて目立つ)。

・花は葉と同じく白で、紐状。
・花が咲き終わって夏の盛りの頃になると、白い葉の白い部分は色落ちして、ふつうの緑色っぽくなる。

・山の水辺に群生することが多いが、都会でもときどき植えられてるのを見かける。

■名前の由来
「半夏生」(はんげしょう) 夏至から数えて11日目頃(もしくはその日から5日間)を「半夏生」と呼ぶが、その頃に花が咲くことから。