野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

少女の赤面を思わせるピノコ(紫陽花シリーズ9)

2019年06月30日 12時52分20秒 | 

アジサイは愛好者も多く、さまざまに品種改良しやすい種だけに、商業的に育成された種も多いようだ。このピノコも名前からしてその一つであることが分かる。この名前で連想するのは漫画の「ブラックジャック」だし、ほかに関連はないだろう。だから名前の由来を探しても意味のないことだろう。それでも装飾花の縁のところがかすかに赤らんでいるところが、少女の赤面を思わせるかもしれない。

 (2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

 

 


万葉の昔から親しまれてきたオミナエシ

2019年06月30日 12時08分36秒 | 

オミナエシは万葉の昔から日本人がなじんできた花である。秋の七草として有名だが、春の七草とは違って食用にならない。名前が女郎花なので、万葉では女性にたいする思いを語ることが多いようである。「我が里に今咲く花のをみなへし堪へぬ心になほ恋ひにけり」などはその一例だろう。「手折りても霧をまとへり女郎花 水原秋櫻子 蘆雁」のように、俳句では旅の思い出とつながるようである。
敗醤の名前は中国由来で、乾燥させると醤油が腐った臭いがすることから名付けられたという漢方では今でもこの名で呼ぶという。血目草はもともとの日本名だが、由来はよく分からない。

 (2019-06 東京都 神代植物公園) 

オミナエシ

オミナエシ(女郎花 Patrinia scabiosifolia)は、合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。秋の七草の一つ。チメグサ、敗醤(はいしょう)ともいう。

特徴
沖縄をのぞく日本全土および中国から東シベリアにかけて分布している。

夏までは根出葉だけを伸ばし、その後花茎を立てる。葉はやや固くてしわがある。草の丈は60-100 cm程度で、8-10月に黄色い花を咲かせる。

日当たりの良い草地に生える。手入れの行き届いたため池の土手などは好適な生育地であったが、現在では放棄された場所が多く、そのために自生地は非常に減少している。 日本では万葉の昔から愛好され、前栽、切花などに用いられてきた。漢方にも用いられる。

 

女郎花(おみなへし)を詠んだ歌
万葉集には14首に登場します。秋(あき)のきれいな花として詠んでいる歌と、他の多くの花と同じように女性を表現している歌とがあります。また、「佐紀」の枕詞(まくらことば)として使われていることもあります。その当時、秋の佐紀には、女郎花が咲き乱れていたのでしょうか。

0675: をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも

1346: をみなへし佐紀沢の辺の真葛原いつかも繰りて我が衣に着む

1530: をみなへし秋萩交る蘆城の野今日を始めて万世に見む

1534: をみなへし秋萩折れれ玉桙の道行きづとと乞はむ子がため

1538: 萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花

1905: をみなへし佐紀野に生ふる白つつじ知らぬこともち言はえし我が背

2107: ことさらに衣は摺らじをみなへし咲く野の萩ににほひて居らむ

2115: 手に取れば袖さへにほふをみなへしこの白露に散らまく惜しも

2279: 我が里に今咲く花のをみなへし堪へぬ心になほ恋ひにけり

3943: 秋の田の穂向き見がてり我が背子がふさ手折り来るをみなへしかも

3944: をみなへし咲きたる野辺を行き廻り君を思ひ出た廻り来ぬ

3951: ひぐらしの鳴きぬる時はをみなへし咲きたる野辺を行きつつ見べし

4297: をみなへし秋萩しのぎさを鹿の露別け鳴かむ高圓の野ぞ

4316: 高圓の宮の裾廻の野づかさに今咲けるらむをみなへしはも

女郎花 の例句

あらくれの熔岩山のぼり女郎花 角川源義
いつの世に名づけし花や女郎花 森澄雄
その丈の揺れ出して来し女郎花 清崎敏郎
みちのくの山に姫神山女郎花 山口青邨
ゆらゆらと立つや冬野の女郎花 正岡子規 冬野
ドライブやかぞへられざる女郎花 阿波野青畝
一もとは誰が塚古りて女郎花 正岡子規 女郎花
一合目いま走り過ぐ女郎花 山口青邨
一様に風来る中の女郎花 高野素十
一茎のきちかうを添ゆ女郎花 山口青邨
休らへば手折りもぞする女郎花 河東碧梧桐
何うらむさまか枯野の女郎花 正岡子規 枯野
何戀ひて痩するぞ小野の女郎花 正岡子規 女郎花
信濃路は甘藷畑に立つ女郎花 富安風生
十里來て旅僧暮れぬ女郎花 正岡子規 女郎花
友に傘ささせて雨の女郎花 相馬遷子 山国
吹かるゝや薄の中の女郎花 正岡子規 女郎花
咲いてゐし頃には早き女郎花 清崎敏郎
四つ小屋という駅さびし女郎花 山口青邨
堀わりや此頃はえし女郎花 正岡子規 女郎花
夕ごころおのれいとしみ女郎花 森澄雄
夜にして月の出のいろ女郎花 森澄雄
女郎花かがやきぬるる駒岳の雨 山口青邨
女郎花こんな悪臭ありしとは 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
女郎花その黄の映ゆる日ざしかな 高浜年尾
女郎花たゞはづかしき許り也 正岡子規 女郎花
女郎花の宿を尾花に尋ねばや 正岡子規 女郎花
女郎花みだれてすべて国つ神 橋閒石 卯
女郎花やや略したる床の間に 松本たかし
女郎花より男郎花多くなる 右城暮石 句集外 昭和十年
女郎花刀のこじりさはりけり 正岡子規 女郎花
女郎花夏花に添へて供へけり(母の忌八月十五日) 細見綾子
女郎花女なからも一人前 正岡子規 女郎花
女郎花宮守ならば物語れ 正岡子規 女郎花
女郎花少しはなれて男郎花 星野立子
女郎花尾白の馬をあそばしむ 下村槐太 天涯
女郎花岨に滝見る老となりぬ 渡邊水巴 富士
女郎花押しわけ早瀬沼に落つ 水原秋櫻子 古鏡
女郎花日毎にのびてあはれなり 正岡子規 女郎花
女郎花昔の人のすがた也 正岡子規 女郎花
女郎花枝の出るこそわりなけれ 正岡子規 女郎花
女郎花根本を手折る男の手 阿波野青畝
女郎花汝朝顏を知るや知らずや 正岡子規 女郎花
女郎花滝白く土用明けにけり 渡邊水巴 富士
女郎花男郎花戀のはじめ也 正岡子規 女郎花
女郎花色と帯にも染めしなり 細見綾子 桃は八重
女郎花花の高さの揺れ交し 清崎敏郎
女郎花野馬かきくもる日なりけり 古舘曹人 樹下石上
女郎花關屋の厠やつれけり 正岡子規 女郎花
女郎花霧に咲き男郎花霧を抽き 水原秋櫻子 蘆雁
に心ゆるすな女郎花 正岡子規 女郎花
山がちに足寄は昏るる女郎花 古舘曹人 樹下石上
山蟻の雨にもゐるや女郎花 飯田蛇笏 霊芝
峠より折り来しものと女郎花 山口青邨
嵯峨野行く被衣姿や女郎花 正岡子規 女郎花
忘れゐしこの花の黄よ女郎花 右城暮石 句集外 昭和四十九年
患者らの朝は声高女郎花 石田波郷
戀塚や男芒に女郎花 正岡子規 女郎花
手折りても霧をまとへり女郎花 水原秋櫻子 蘆雁
新帰元供華の中なる女郎花 清崎敏郎
旅にをるおもひに折るや女郎花 森澄雄
日のあたるところといへば女郎花 星野麥丘人
晝月のうつろありけり女郎花 森澄雄
朝の汽車すこやかに露女郎花(丹後由良) 細見綾子
朝空の疑ひなさよ女郎花 細見綾子
松の外女郎花咲く山にして 河東碧梧桐
此邊を通ふ汽車あり女郎花 正岡子規 女郎花
波立てて霧来る湖や女郎花 水原秋櫻子 蓬壺
淋しさに堪へて廣野の女郎花 正岡子規 女郎花
淋しさや芒の中の女郎花 正岡子規 女郎花
玉の湯に浴み女郎花男郎花 阿波野青畝
男郎花折らず女郎花のみ折りて 山口青邨
皆やせけり男薄に女郎花 正岡子規 薄
秋立つと咲く雑草園女郎花 山口青邨
粟花とみちのくびとは女郎花 山口青邨
芒より一尺高し女郎花 正岡子規 女郎花
花野なほ裾をひきつつ女郎花 山口青邨
若君は駕にめされつ女郎花 正岡子規 女郎花
草に黄をふくむはじめの女郎花 右城暮石 句集外 昭和十四年
萩桔梗されど花野の女郎花 細見綾子
藪からしは偽女郎花患者らよ 角川源義
蟷螂もおなじ黄色や女郎花 阿波野青畝
行きいゆく雲の晴曇女郎花 森澄雄
裾山や小松が中の女郎花 正岡子規 女郎花
裾山や小松の上の女郎花 正岡子規 女郎花
裾山や小松の中の女郎花 正岡子規 女郎花
訪ねしが女郎花はや桔梗はや 高野素十
踏み込みてそこが野の径女郎花 稲畑汀子
逝く水や坊主めくりの女郎花 橋閒石 和栲
道ぶしんに刈られし艸の女郎花 右城暮石 句集外 昭和九年
遠くまでゆれかはしつつ女郎花 山口青邨
釣堀の池の出島の女郎花 上野泰
關越えて野道になりぬ女郎花 正岡子規 女郎花
雨ノ日や皆倒レタル女郎花 正岡子規 女郎花
馬柵潰え高く咲きけり女郎花 山口青邨
駕舁の裸て寐たり女郎花 正岡子規 女郎花
鷄頭はまだ下草よ女郎花 正岡子規 女郎花
鹿島槍消ぬるや露の女郎花 水原秋櫻子 玄魚