野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

高いところで風にそよぐ石斛の花

2019年06月21日 09時30分58秒 | 

昨日ご紹介した高尾山のセッコクは、野草園だけではなく、ケーブル駅のすぐ近くでも咲いていた。ここは大きな木に群生していて、圧巻である。たくさん群れている写真と、咲きこぼれている写真をご覧にいれる。

 

次は群生しているところを。つくづく不思議な花だと感じる。

俳句では石斛の花が夏の季語である。手の届かない高いところに咲くので、風情がある。

「石斛の花に風あり高きより 池上不二子」。

(2019-06 東京都 高尾山)

セッコク
開花時期 5月、6月
花の色 白、ピンク
名前の読み せっこく
分布 本州の東北地方から九州
海外では、中国にも分布
生育地 山中の樹木や岩の上
植物のタイプ 多年草
大きさ・高さ 5~25センチ
分類 ラン科 セッコク属
学名 Dendrobium moniliforme
花の特徴 茎の節ごとに花径2~3センチの花をつける。
花の色は白ないし淡い紅紫色である。
萼片3枚と側花弁2枚はほぼ同じ長さである。
唇弁はやや短く、先が尖る。
葉の特徴 葉は幅の広い披針形で、互い違いに生える(互生)。
葉のつけ根の部分には葉鞘(茎を鞘状に包むような形になった葉のつけ根)があり、茎を抱く。
実の特徴 花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
この花について ―
その他 園芸品種のことを長生蘭(チョウセイラン)と言い、美しいものや特殊なものが多い。
蕾のときに全草を乾燥させたものを生薬で石斛(せっこく)といい、健胃、解熱、消炎、強壮などの薬効がある。
俳句では「石斛の花」が夏の季語である。

 

石斛の花

声あげて石斛の香を感じをり 加藤楸邨
石斛に庭の歳月たゞならず 秋吉方子
石斛に瀑落つる巌のはざまかな 松瀬青々
石斛の花に風あり高きより 池上不二子
石斛の花のをはりし一字塔 安食彰彦(白魚火)
石斛の花の白きに雨上る 金堂豊子
石斛の花を宿してみな古木 古沢京
石斛の花咲き垂るる雲の中 高橋悦男
石斛の花海境の照りわたり 黒田杏子 花下草上
石斛や崖めぐらせて宮家住む 小谷久子
石斛や朝雲ひかる峰の寺 高田蝶衣「青垣山」
老杉の枝の石斛七星めく 田中英子


宝石のような白い花をこぼすオカトラノオ

2019年06月21日 07時58分40秒 | 

昔はよくみかけたものだが、最近はあまりみなくなったオカトラノオ。
近くの道端でみつけてうれしくなった。あまり虎の尻尾にはみえないが、白い花が雪崩れるようにこぼれて、宝石のようにもみえる。散歩する者にとってはうれしい贈り物だ。
俳句の世界では虎尾草として夏の季語になっている。「とらのをの尾の短きへ日が跳ねて 大石悦子」。日の光をあびているトラノオの姿をよく表している。

(2019-06 川崎市 路傍)

オカトラノオ

オカトラノオは平地から低い山地の日当たりのよい草地や道端に見られる多年草です。冬は地上部が枯れます。茎はまっすぐに立ち上がり、多数の卵形の葉をつけます。茎の先端に長さ15cm前後の花穂をつけ、多数の花を咲かせます。花穂は途中で横向きに曲がっているのが特徴です。葉や茎に短い毛があります。地下に細長い地下茎が多数あり、これを伸ばしてふえていきます。そのため群生しているのが普通です。

※科名:ヤブコウジ科で分類される場合もあります。

基本データ

園芸分類 草花,山野草

形態 多年草 原産地 ロシア東部から朝鮮半島、日本列島、中国東部から南部、台湾

草丈/樹高 40~100cm 開花期 7月~8月

花色 白 

 

虎尾草

やまかぜに堪へ虎尾草に目をおとす 瀧春一 菜園
夕虹や虎尾草はまだをさなかり 青柳志解樹
白揺れて少し虎尾草らしくなる 山田庄蜂
虎尾草に水やり一日外へ出ず 小熊一人
虎尾草に黒姫山の霧匂ふ 亀田英子
虎尾草のはつかなものを蝶が吸ふ 藤田湘子
虎尾草の咲くべく木曽の高曇 宮坂静生
虎尾草の思ひ思ひに尾を振りし 斎藤 幸一
虎尾草の風に払子を振るごとし 高澤良一 さざなみやっこ 
虎尾草や日の通りみち子が通る 磯貝碧蹄館
虎尾草や鐘掛岸は屏風立ち 本田一杉
とらのをの尾の短きへ日が跳ねて 大石悦子