
最愛のキャンプ同伴犬・シェラ(♀)が死んでしまって4か月あまりになる。
昨年の7月にむぎ(♀)を喪い、そしてまた2月6日にシェラを見送った。むぎは突然だったが、シェラはガンを宣告され、苦痛に耐えての最期だったのが辛かった。痛みに苦悶するシェラを見かねて最後は安楽死を選択した。
前の晩、ぼくはシェラに朝まで添い寝をして、「明日は楽になろうね」と話した。じっとぼくを見つめてそれを聞いてくれたシェラの目がいまも忘れられない。
睡眠薬を注射してもらい、穏やかに安らかに息を引き取ったシェラの姿にむしろほっとしたものだった。
「シェラ、よかったね。これでゆっくり眠れるね。お疲れさま。むぎが待っているよ。17年間、幸せをくれてありがとう」
ぼくは心からそう思い、覚めることのない眠りについたシェラに語りかけた。

シェラが亡くなる4か月前、わが家はむぎ(上の写真)のいない喪失感に負けてコーギーのパピィを迎えていた。このルイ(♂)と名づけたコーギーがやってきたのは10月1日だった。
むぎが消えてしまい、いかにも寂しそうなシェラがどんな反応をみせるかなと期待したが、容易には心を開いてくれなかった。ルイのほうはシェラに近づきたくてウズウズしていた。だが、すぐに跳びつくので、足腰の弱っていたシェラにはただただ迷惑以外のなにものでもなかった。一日の大半を寝てすごすシェラのじゃまにならないようにと、ルイは大半の時間をサークルの中へ閉じこめた。
この子たちをキャンプに連れていったらどうなるだろうか。ぼくは暗澹たる思いで二匹の犬をながめていた。
シェラの首にあるしこりの検査の結果、悪性だとわかったのは、ルイがきてまもなくだった。おそらく、年は越せまいと覚悟した。
そうこうしているうちに年末になり、幸い新しい年を迎えていた。当然ながら恒例の年越しキャンプは見送った。キャンプ場から「予約をいただいていますが、どうなさいました?」という電話が暮れの30日の夜にあった。キャンプ場のスタッフのどなたかが気を利かせて予約を入れておいてくれたのだろう。
2月にシェラを送り、5月のキャンプに躊躇したが、連休の前半を使って松本にある「美鈴湖もりの国オートキャンプ場」へ出かけた。
ここはシェラやむぎと数回きているが、4年前のゴールデンウィーク以来である。直前にキャンセルが出たのか、幸いにして滑り込むことができた。

ルイのキャンプデビュー(上の写真)である。
4年前には場内のサクラが満開だったが、今回はまだツボミが固い。下界の松本市内がちょうど満開だった。
ルイのために折りたたみのケージを買って持参した。クルマも買い換えていた。2週間前に衝動買いし、キャンプ出発の前日が納車という、わが家らしいドタバタぶりだった。
結局、ルイのキャンプデビューは課題を残して終わった。音に対して敏感に反応するルイの性格が裏目に出たのである。夜、よそのサイトから聞こえてくるイビキに神経質になり、ときおり吠えて朝を迎えた。
まだ薄明のなかをぼくはルイを連れて散歩に出た。どこからイビキが聞こえてくるかを教えるためもあったが、その夜も同じだったから効果はなかったといっていい。ただ、ルイのおかげで最初の朝は林道を歩き、二日目の朝は美鈴湖を一周することができた。
さて、次は梅雨明けのキャンプとなるが、どんな展開になることやら……?
ただ、シェラとのキャンプでもハプニングはときたまあった。1歳のときのゴールデンウィークはキャンプ場のたくさんの人の気配に落ち着かず、最初の夜をぼくとクルマの中で寝た。晩年にも何かに怯えて寝られず、やっぱりクルマに移動してぼくとひと晩を過ごしたことがある。そんなことが何度かあった。
ルイはシェラのような神経質な犬ではないと思っていたが、デビュー戦での意外な展開に面食らった。そいうい意味では、むぎがいちばんキャンプ犬としての資質を備えていたといっていいだろう。まったくぼくたちに手間をかけず、いつも、テントの外で見張りをしてくれたのだから。
ルイの今後に期待したいところだが……。