私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

自分たちさえよければいいという風潮

2015-11-24 21:56:59 | Weblog

■ ブームはかならず荒廃を招く
 11月三連休のキャンプはなんとも後味が悪かった。
 この何十年かの間、キャンプは、何年かごとにブームがきてはまた廃れていった。ブームのたびに市場は活気づき、道具の進化も著しい。しかし、いつもぼくはひたすらブームが終わるのを待った。春から秋のシーズンともなると、にわかキャンパーがキャンプ場へ押し寄せ、狼藉のかぎりをつくしているからだ。
 5月の大型連休や8月のお盆休みのころは特にひどくなる。そんなさなか、ある人気キャンプ場の管理人さんが、「ゴールデンウィークや夏は、みんな正気じゃなくなるからここへはこないほうがいい」と教えてくれたほどだった。
 
 今年はどこへいっても、その賑わいからふたたびキャンプブームが到来したのがわかった。いきつけのキャンプ用品の店も春から繁盛していた。ゴールデンウィークと7月の海の日がらみに出かけた信州のキャンプ場も覚悟した以上の混雑だった。それだけにびっくりするような経験も少なくない。
 たとえば、9月のキャンプでは、テントの前にテーブルを出し、椅子の座ってくつろいだり食事をしているすぐ横を家族連れが平然と通り抜けていく。あるいは、子供たちの集団が興奮して駆け抜ける。他人のサイトは迂回するものというマナーなど気づかない連中がたくさんいた。マナー以前の非常識といってもさしつかえないのだが。

■ 子を見れば親がわかる
 そうやって秋を迎えた10月のキャンプが最悪だった。
 そろそろ静かになるだろうと思って出かけたのは山梨・道志村の奥まったキャンプ場である。夕暮れどき、隣のサイトへ四人連れの若い家族がやってきた。設営を急ぐ父親から、「(じゃまだから)あっちで遊べ」とでもいわれたのか、ぼくらのサイトへやってきてサッカーボールを蹴りはじめた。
 焚火の炎があがるバーベキューコンロも、そこに駐車してあるクルマも、ローテーブルの上にならぶ食材も目に入らないらしい。

 火があるからボール遊びはやめなさいと穏やかに注意すると、その子は顔をしかめて戻っていった。だが、1時間ほどしてこちらが食事をしていると、今度はほかのサイトの小学生たち数人を連れて戻ってきた。暗い中、われわれのサイトの明かりをあてにしてサッカーボールで遊ぼうという魂胆らしい。
 その喧噪たるや尋常ではない。それぞれの親たちがかまってやれないので、「よそで遊んでこい」と追っ払われた子供たちが集まってきたのだろう。

「きみたち、いいかげんにしろ!」
 さすがに今度は大声だった。子供たちはなぜ怒られたのかわからいという顔でぼくを見ていた。ふだんから親が家にいない同士で集団をつくるのに長けた子供たちにありがちな反応だった。子供たちのみならず、隣のサイトの父親もぼくがなぜ怒ったのかわからなかったようだ。他人の食事の邪魔をすることがよくないことだと思いいたらないらしい。
 このあと、よそのサイトにいる親たちの多くが夜遅くまで飲んで騒いでいた。ぼくのサイトからは離れていたが、近くにいたまともなキャンパーにはさぞや迷惑千万だったろう。

■ もうこのキャンプ場は使えないか
 11月の清里高原のキャンプ場は、例年なら数えるほどしかテントがないが、今年はブームに加えて陽気も温かかったので、この時季としては信じられないような賑わいだった。
 初日からキックボードやらスケートボードがわがもの顔で場内の車道を走り、夜になっても同じだった。暗闇の中から突然あらわれるのだから危険きわまりない。夜、トイレへいこうとして歩いていて、猛スピードでやってくるキックボードやらスケートボードに衝突されたら深刻な事故になってしまうだろう。

 とくにキックボードはキャンプ場が24時間1,000円で貸し出しているため、その数もハンパじゃなかった。キャンプ場が定めたルールなど無視して大人もまじってせまい場内の車道を走りまわっている。目の前で大きな事故が起こらないほうが不思議なほどだった。
 キャンプ場が営業収益を上げる手段としてはキックボードの導入は有効だろうが、老舗の人気キャンプ場とは思えない方策である。おおいに失望した。
 オーナーではないが、朴訥な管理人さんと、人柄のいい奥さんがよくて、もうずいぶん長い間通っているキャンプ場だが、これじゃ今後は使い方を見直さなくてはならない。
  
 二泊三日のキャンプ期間中、夜遅くまで大人と子供の興奮した声が場内にこだまして迎えた最終日の朝、キャンプ場あげての撤収がはじまると、子供たちはここでも親たちから、「あっちで遊んでこい」と追い払われてやってきた。
 ぼくのクルマのすぐ前の道路で、興奮していつまでもわめき散らす子供の声に、とうとうぼくは切れた。だが、「うるさい!」と注意してもさっぱりわからないらしい。大声で怒鳴りつけても効果はない。こうなるともはやサル以下である。

 呆れてあきらめ、後味の悪さだけが残った。

どこまでキャンプをシンプルにできるだろう?

2015-11-04 21:55:12 | Weblog

■ 週末一泊で山梨の道志村へ
 一泊のキャンプはせわしない。だから、近年はほとんどやってこなかった。
 若いころ、ソロキャンプが当たり前だったころは、ひと晩、森で焚火をして寝るためだけに思い立って出かけたものだった。小さなテントとロールマットにシュラフ、最低の調理具、コップ一個で楽しめた。
 
 10月31日から11月1日の週末、一泊キャンプを計画したのは、そんな昔のシンプルキャンプをとりもどしたいとの思いからだった。11月2日の月曜日に出社しても翌日の3日は文化の日で休みとなる。一泊キャンプには願ってもない日程である。
 このキャンプで、どこまで道具が削れるか試してみたかった。女房のほかに、最近、コールマンのランタンにハマっている愚息を誘ったらついてきた。

 目指すは山梨の道志村である。
 道志とのつきあいは、かれこれ40年になる。「道志みち」と呼ばれる国道413号線がまだ全線舗装されておらず、道も細くてカーブとアップダウンにとんだ楽しいルートだった時代からさんざん走ってきた。
 そのわりにキャンプをおこなった頻度が低いのは、キャンプ場の数は多いがいまひとつ楽しめる環境に乏しかったからである。

 毎年、紅葉のころ、日帰りで山中湖をめざし、勇んで出かけていた道志村だった。たまたま訪れた時期がよかったのか、今年の道志村の紅葉は、例年になくきれいだった。
 これならほかもさぞやというので、初日に設営を終えてから139号線を本栖湖まで走り、途中の紅葉台や青木ヶ原の紅葉に期待したがみごとに裏切られた。


■ 道具はこんなに削ったはずなのに
 御殿場のスーパーマーケットで夕飯の買いものをすませてキャンプ場へ戻ったのは夕闇が迫る時刻だった。シンプルキャンプなので夕飯はBBQ。まずは炭火を熾す作業をいそいだ。
 どこまでシンプルにしたつもりかというと、テントはモンベルのムーンライトⅤにアストロドーム。いつもは二台のテーブルを一台にして、その代り簡易テーブルを人数分持参した。ジャグは持たないが、念のため大きめのプラスティック製カンティーンを用意した。だが、これは不要だった。
 
 焚火キャンプの予定でもあったので、スノーピークの焚火台(L)一式と焼き網。調理具は、使わないかもしれないと思いつつ、火に直接かけるステンレス製のビリーカン(タイ製)を購入後はじめて持参した。ヤカンは、ユニフレームのキャンプケトル。 
 食器はMSRのステンレス製の皿3、チタンのロッキーカップ3、スノーピークのチタン製シェラカップ3、同じくチタンシングルマグ300と450×2個。包丁がわりのナイフに小さなまな板、箸、スプーン類といったころである。
 
 道具を削ったつもりではあったが、クルマに積み込んでみるといつものようにルーフキャリーまで満載となり、なにを削ったのかよくわからないありさまだった。
 言い訳すると、前回残した炭と薪を積み込んだ。とはいえ、さほどの容量ではない。ソロのときにくらべてなにが増えているかといえば、テントの床に敷くキルティングのインナーマット(小川キャンパル)、カセットコンロ(イワタニのマーベラス)あたりだろう。


■ なにがムダかはわかっているけど
 ほかに、昔は直火が当たり前だったからわざわざ焚火用の器具など持たなかった。ランタンもなく、ソロだったら手のひらにおさまるようなフラッシュライトでことたりた。
 食事もビリーポットから直接食べていたから皿などの食器は使わず、飲み物用のカップが一個ですんだ。

 クルマを使ったオートキャンプと呼ばれるスタイルのキャンプは、やっぱりどうしても道具が大型化してかさばるのを避けられない。それに大人が三人と犬一匹のチーム構成もクルマに負担をかける。犬用のケージも大きいタイプのものを荷台に積んでいる。
 そして、わが家の場合、なによりも各自が持参する荷物が多すぎる。ぼくはノコギリがあるのに鉈や斧を持っていってしまうし、それ以外の細々としたキャンプ道具を入れた工具バッグがある。せがれはカメラバッグを持ってくるし、女房は着替えのダッフルバッグを複数持ち込む。

 若いころは、「やっぱり荷物をザックに詰め、歩いて出かけたキャンプだけが本物のキャンプだ」などとうそぶいていたが、もう、そんなストイックなキャンプに戻れる体力がないし、それより先に根性がヤワになって、ただただ堕落の一途をたどっている。
 クルマは使うが、久しぶりに犬だけつれてキャンプへ出かけ、ほんとうのシンプルキャンプを楽しみたいと思うのだが、いまやぼく以上にキャンプにハマってしまった女房の許しが出るはずもないだろう。