私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

カセットガスこそが最強ではないだろうか

2015-05-27 20:17:52 | Weblog

■入手の容易さとコストパフォーマンスで
 キャンプでの食事作りの熱源は、焚火にはじまりホワイトガソリンを燃料とする各種のストーブから、いまでは家庭の食卓で鍋料理のときなどに使うカセットボンベのコンロへと変わってきた。具体的には、スベア123やオプティマス8R、ピークワンストーブ、そして、ふたつのコールマンツーバーナーと使い継いできて、その間もいろいろと試したものはあるが、この10年ばかりはすっかりカセットボンベのコンロに頼り切っている。
 
 カセットコンロは、真冬のキャンプでいくぶん火力が落ちる不便以外、それをカバーしてあまりある便利さのためにわが家のキャンプでの調理用ストーブの主力となった。燃料が日本のどこへいっても手に入るし、安価だし、安全性も高い。使い終わった空のカセットは再資源として活用できるからだろう、たいていの自治体で引き受けてくれるので、ぼくが利用しているキャンプ場では「持って帰れ」というところはない。
 
 わが家がキャンプで使うようになった初代のコンロは家庭の食卓用だったから風防もなく、風よけを別に用意したり、工夫したりして使ってきた。
 右の写真のマーベラスが発売されたころでも先代のコンロは満身創痍ながらまだまだじゅうぶん使用に耐えていたが、マーベラスのもつ堅牢さと風防を兼任するフタが決め手となって、値段が高いとは思いつつ購入した。
 
 日本という国で、ましてやクルマを使ったキャンプならこのカセットボンベを燃料とするコンロに勝るものはないと思う。ただ、煮炊きのコンロにはカッセットボンベを使いながら、ランタンはホワイトガソリンをいまも使い続けている。
 キャンプの入門書には判で捺したように、「燃料は統一しましょう」と書いてある。そんなセオリーなどぼくはまったく無視して、ランタンはホワイトガソリンを燃料に使うコールマンのランタンたちをケースバイケースで使いわけている。ぼくにとって、これらのランタンこそがキャンプの象徴なので、今後も退役させる気はまったくない。

■コンロもランタンも無駄ではなかった
 この春のキャンプにデビュー させた小道具たちの中にカセットボンベを使うユニフレームの「ツインバーナー」と「フォールディングガスランタン」があるのは「災害対策用品」を兼ねたからである。言い訳ではない。本気でそう思っている。ボンベは予備を分散して保管してあるし、古い備蓄分からキャンプで使っては交換している。
 
 コンロはマーベラスがあるし、家にも食卓でたまに使うのもあるし、倉庫にはキャンプでこれまで使い倒してきた古いタイプが保存してある。クルマの中には非常用にSOTOのコンパクトなシングルバーナーが入っている。
 それでも災害時に向けて安定感のあるツインバーナーがほしかった。専用のスタンド(今回は調理台として使ったが)まで買ったのはそのためである。
 ランタンだが、キャンプではテントの中で使うのにカセットボンベのほうがホワイトガソリンよりも安全性が高いのではないかと思ったからだ。EPIやプリムスなどのガスカートリッジのランタンを卓上で使うという手もあるし、経験ずみだが、さすがに燃料を三種類用意するのは面倒である。まずは、未経験のカセットガスのランタンを使ってみたかった。
 
 もうひとつ、もし、災害に見舞われたときもガソリンよりもカセットボンベが救援品でくるのではないかと思うからだ。そんなわけでランタンも用意した。
 ツインバーナーの使い心地は想像以上だった。火力が強く、コールマンのツーバーナーを怖がってきた家人は自動点火のこちらでも使うのをためらった。それほど火力が強かった。
 ランタンの真価は使い続けてこれからわかってくるだろうが、ガソリンに比較してさほど照度が落ちていないし、むしろ、明るすぎるコールマンのランタンにくらべて適度な光量とさえ思える。マントルのせいもあるが柔らかな光は好感が持てる。シェルター内の専用ランタンにしたい。
 
■クルマのキャンプなら予備のコンロを
 キャンプでのマーベラスの出番はもうないのかというと、それはない。少人数ならツインバーナーではなく、マーベラスを持参する。凝った料理は作らないで、手抜きとはいわず、シンプルを旨としているからだ。
 それでも、たまには調理をしながらご飯も炊くから、焚火をする季節以外はやっぱりもう一個熱源がほしくなることがある。こんなときは、クルマに放り込んだままのSATOの折りたたみ式のシングルバーナーが役に立つし、寒い季節ならコールマンのピークワンストーブも持っていってたまには使ってやりたい。
 
 クルマでのキャンプの場合、カセットにせよ、EPIなどのカートリッジ式にせよ、ガスを使う器具だったら、ぜひ、予備を持参したほうがいい。なんらかの理由で故障しないともかぎらないからである。
 ぼくの経験だと、ホワイトガソリンを燃料とするコールマンのツーバーナーが使えなくなったことがあったし、EPIのカートリッジ式もキャンプ中に故障したことがある。どちらも使用後にきちんと清掃し、メンテナンスをしてやっていなかったからで、原因と責任はすべてぼくにある。

 火器類が故障しても、キャンプ場を使うキャンプならたいてい管理事務所にレンタル品がそろっている。だが、24時間管理人がいてくれるとはかぎらない。こういうときこそ、ランタンなどと同じ燃料で使えるストーブがあるといい。

 ほかに、いざというときのためのストーブなら、本当はそのへんに落ちている木の小枝や枯葉を燃料に使うサバイバルストーブの類が理想かもしれない。クルマの常備品にするなら、左の写真のFireBoxのような折りたたみ式もある。
 ぼくもFireBoxのほかに似たような新旧の製品をいくつか持っているので、近いうちに実際に使ってレポートしたい。買った動機は、もちろん、「災害用品」としてであるが、誰も信じてくれないままだ。

なめてかかって大失敗したスクリーンタープの設営

2015-05-22 20:48:01 | Weblog

■キャンプ心を奮い立たせるために
 連休のキャンプが嫌いになっている。往復の道路の混雑もさることながら、あきらかにキャンパーのモラルがどんどん低下しているからだ。とりわけ、昨今は何度目かのキャンプブームである。しかも、キャンプのスタイルも昔と違って洗練されてきて、道具やファッションにおしゃれを楽しむ要素も多分に盛り込まれている。その分、キャンパーもふえた。

 だからといってキャンプでやることが大きく変わったわけではないが、キャンプそのものを楽しむのではなく、旅館やホテルに泊まらずに宿泊代を安くあげるためのキャンプが増えたようだ。それはいっこうにかまわないが、せめてルールやマナーだけは守ってもらいたい、とつい繰り言になってしまう。
 
 そんな不愉快な思いをする確率の高いゴールデンウィークに出かけるかどうか、今年も少し迷った。しかし、キャンプで誕生日を迎え、70歳となるのに、いまだ会社勤めの身だから、暦どおりの休みが基本となる。肩書の重さとともに以前のように簡単には休みが取れず、しかも遊びでつづけて休みをとるのがどうにもうしろめたい。

 ゴールデンウィークを前に天気予報次第で決めると口にはしても、内心では「晴れてくれ!」とひそかに祈っていた。かくして、晴れマークに恵まれた今年のゴールデンウィークもいそいそとキャンプに出かけた。5月2日(土)から5日(火)までの3泊4日のキャンプである。体力に自信がなくなってきているから最終日の6日(水)は、せっかくの休みだったが休息日にあてた。
 
 訪れたのは例年のとおり、いまだ冬の名残を覚悟の長野の高原だった。
 このところ、歳のせいかときとしてだんだんキャンプが大義に感じること増えた。そんなときに、モチベーションを維持する特効薬が新しいキャンプ道具である。今回は大物を用意した。この8年ばかり使い続けてきたスノーピークのシェルターとインナーテントの組み合わせを変えたのである。
 去年の夏に追加したモンベルのムーンライトⅤに合わせて、シェルターを同社の「アストロドーム」に変えた。いままで愛用してきたスノピのリビングシェル シールドよりは簡単に設営できそうだったからだ。現地に着くまで女房には内緒だった。
 
 ほかにも、ユニフレームの「ツインバーナー US-1900 ブラック」と専用の「バーナースタンドⅡ」に「WOOD天板」、同社の「フォールディングガスランタン UL-X ブラック」をケースとともに、これまた内緒で買ってあった。バーナーとガスランタンはいつものとおり「防災グッズ」というエクスキューズで自分を納得させている。
 このふたつのぼくなりの評価はあらためてテーマにするつもりなので、先に感想をいうと「買ってよかった」と思える道具だった。これからのキャンプの標準装備品になってくれるはずである。
 

■設営に四苦八苦する
 さて、メインのアストロドームへの期待は大きかった。リビングシェルへの不満は、ヘビーデューティーではあっても、いかんせん重いし、取り回しに手間がかかる。長めの滞在キャンプならいいが、短期滞在の予定だと設営と撤収を考えただけでうんざりする。
 去年、ムーンライトⅤを買ったときにビッグタープHXもそろえた。しかし、季節によって、場所によってはシェルター型のリビングスペースのスクリーンタープがやっぱりほしい。そこで目をつけたのがアストロドームだった。
 
 一度も試し張りもせず、いきなり本番に臨んだのは、モンベルへの信頼と、「モンベルは設営が容易」という先入観があったからである。そして、ウェーブ上のレビューもいくつか読んで、アストロドームの弱点というか、どんなことに気をつけなくてはならないかもおおざっぱに把握したつもりになっていた。だが、これがすっかり油断となって現地で四苦八苦するハメになる。 
 
 幕体を広げ、ポールを準備し、ポールをすべてスリープに通した。ムーンライトのテントはすべて吊り下げ式がウリだから、スリープにポールを通す方式はムーンライトのファンにとっては異端である。先輩たちのレビューではこれが「大変だ」とけっこう深刻に報告されていた。
 だが、ポールをスリープに通す構造のスリープ式は、テントでもスクリーンタープでも世間ではむしろ主流である。ぼくの最初のコールマンも、次の小川テントも、スクリーンタープはスリープ式だった。
 
 慣れているはずのスリープ式にぼくは四苦八苦した。幕体側のフックにポールの末端がひっかけられない。逆流性食道炎が完治しないままこのキャンプに参加してきた女房を手伝わせてもうまくいかないのである。悪戦苦闘しているぼくを見かねたまわりの人たちが「手伝いましょうか」と声をかけてくれた。
 ありがたいのだが、力まかせにフックをはめようとするのはどうやら間違っているらしい。つまり、張り方がよくわかっていないのである。「ありがとうございます。お手伝いしていただける場面になったらお願いしますから」といって、もう一度最初からやり直すことにした。
 
 ここで女房がむくれた。なぜ手伝ってもらわないのだ、と。彼女は、ぼくが自分のメンツから頼まないでいると勘違いしたらしい。しかし、まず、ちゃんとした張り方を把握しないと、何を手伝ってもらったらいいのかお願いすることもできない。それでも食い下がる女房に、「もうあんたも手伝わなくていい。オレひとりでやるから手を出すな!」とブチ切れていた。
 全部ポールを抜き、最初からやりはじめて肝心なミスにようやく気づいた。ジッパーをすべて全部閉じたままだったのである。なんとも初歩的なミスだった。


■やっぱり買ってよかったアストロドーム
 全開にして、設営を再開するとあとはスイスイだった……と書きたいところだが、このころには、晴天下の四苦八苦した作業で大汗をき、それでもなかなか張れなくて「カッコ悪いなぁ」という焦りも手伝って疲労困憊していた。アストロドームの設営が楽だったのか、そうでもなかったのか、まったく印象にない。 
 建ち上がったアストロドームが風に飛ばされないように仮ペグを2本対角線上に打ってからムーンライトⅤを組み立ててシェルターに連結させた。設営が完了してから手伝いを申し出てくれたおふたりにお礼を申し上げたのはいうまでもない。
 
 リビングシェルよりはいくらか狭く、床の形が六角形なので荷物の置き方にひと工夫いるが、ふたりで使うリビングスペースとしてはじゅうぶんである。今回も同じサイトの離れた場所にテントを張った従姉夫妻を招いた夜の談話室に使っても手狭ではなかった。

 2日目の夜、前線の通過に伴う雨に見舞われたが、モンベルの製品の雨に対する強さに対してぼくらは全幅の信頼をおいている。アストロドームもまた例外ではなかったが、ムーンライトⅤの連結がいい加減だったので少しばかり濡らしてしまった。モンベルが悪いのではなく、ぼくがヘタくそなのである。
 
 アストロドームの撤収の容易さは想像どおりだった。これなら一泊キャンプで使っても苦にならない。気をよくしてさっそく6月のホタル観賞キャンプを計画した。
 今回はビッグタープHXも予備に持参した。アストロドームが建ち上がって、もう必要ないだろうと思っていたのだが、2日目からの必須アイテムになった。この件は、また稿をあらためて報告したい。


苦労はあったけど思い出深いキャンプだった

2015-05-21 20:31:17 | Weblog

■延泊は当然でしょう
 年末から正月にかけての年越しキャンプが終わって気持ちがゆるみ、精神的な冬眠状態に落ち込んでるいたら春を迎えてしまった。新緑はまたたくまに若葉へと装いを変え、季節はすでに初夏である。
 年越しキャンプで元旦の夕刻、突然の雪でサイトへ戻れなかったあとのこのブログでの記録も放り出したままだった。順番として続きの記録だけでも簡単に記しておきたい。

 あの日、すなわち1月2日、元旦の夜に自宅へ舞い戻り、風呂を浴びてからベッドで朝までぬくぬくと過ごしたあと、かりそめのシャバ気分を断ち切って再びキャンプ場へと向かった。昨夜の天候の荒れ方が信じられないほどのいい天気だった。
 この日、予定では例年のとおり撤収してキャンプ場の餅つき大会に参加後帰宅するはずだったが、一晩棒に振ったからぼくの腹のなかではもう一泊を目論んでいた。

 昨夜手こずった宇佐美から亀石峠へ到る坂道はまだ残雪で通れそうにないとの現地情報を聞くまでもなく沼津からまわりこむことにして東名道を走っていると、現地に残っているF家のパパさんから一夜明けたテントサイトの写真(カット写真に使用のもの)とともに昨夜の状況も含めての詳細なルート情報が入ってきた。
 正月2日の東名道は予想外の渋滞だった。大井松田の先での除雪作業に手間取っていたからだ。御殿場を抜けてから沼津までは快調だった。!!伊豆縦貫自動車道もほぼ順調ながら、反対側の上り車線の渋滞のひどさを見てこの日の帰宅の困難さに内心ほくそ笑んでいた。

■しんみりしゃべった最後の夜
 予定より遅れて2時過ぎにキャンプ場へ着くと、今年は餅つきが早々と終わったところだった。出迎えてくれたFファミリーとは一晩離れただけだったが、小学3年生のユウキ少年がまたひとまわりたくましく成長したのがわかる。
 何よりもF家の皆さんが無事に2015年の元旦の夜を過ごすことができたと知ってうれしかった。こうしたアクシデントが家族の絆をさらに強固にしてくれる。このあと数時間後にキャンプ場で合流したファミリーの落ち着きはらった笑顔にぼくは収穫の大きさを痛感した。パパの存在感、ママの胆力、そしてふたりのお子さんたちの両親への揺るぎない信頼の確かさを瞬時に読み取ることができた。
 パパやママももう一泊の延泊に依存はなく、ぼくもキャンプ大好きのユウキ少年ともう一晩過ごせることになってホッとした。

 その夜は下界へ降り、ファミレスで夕飯をすませた。臨機応変、そんなキャンプもいいじゃないかと思う。テントサイトへ戻ったぼくたちは、キャンプ場がすっかり静かになっていたこともあって翌日の撤収を忘れてシェルターのなかでしんみりと語り合った。おかげで雪でひどい目にあって失った楽しみを取り戻してさらにお釣りがくるほど有意義な一晩を過ごすことができた。

 きっとこのキャンプは忘れることができないだろう。そう思いつつ去年の最後にして、今年最初のキャンプは終わりを迎えたが、翌日の帰路の大渋滞もまた忘れることができない。正月で出かけていたみなさんが雪で予定が狂っって集中したのだろう。伊豆スカイラインがチェーン規制だったのも痛かった。
 元旦の夜、雪でテントサイトへたどりつけず、自宅へ追い返されたときのがら空きだった海岸沿いの道がクルマで埋まって、ようやく家にたどり着けたのは、たしか夜の8時くらいだったと記憶している。品川が自宅のF家も同じころに東京ICを通過していた。
  
 苦労はいつだって楽しくなんかないが、終わってみれば思い出深い年越しキャンプになった。