私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

愛しのピークワン・ランタン

2009-10-26 00:53:57 | Weblog
 10月のキャンプに久しぶりでピークワン・ランタンを連れて行った。
 いつ、このランタンをぼくの愛するギアに加えたのか正確には定かでないが、かれこれ20年ほどのつきあいになるだろう。ずいぶん久しくキャンプ道具を収納してあるコンテナの中で眠らせたままになっていたのは、それだけ、ぼくがひとりでキャンプに出かけなくなったためである。
 
 ソロ・キャンプのとき、ぼくはランタンはほとんど使わない。作業にはフラッシュライトがあれば事足りるし、灯りがほしければキャンドルランタンでじゅうぶんだ。
 ひとりフィールドに身を置く夜、ガソリンランタンの灯りは明るすぎてかえって苛立つ。焚火の美しさだって損なわれる。
 
 それでもあえてピークワン・ランタンを買ったのは、クルマでキャンプをするようになって、調理用のストーブをスベアやオプティマスからコールマンのピークワン・ストーブに変えたらとても調子よかったことと、何よりもピークワン・ランタンの姿がなんとも可愛らしかったからである。
 
 ピークワン・ランタンの燃焼時間は3時間。ぼくにはじゅうぶんすぎる時間である。暗くなってキャンプ地へ着いたり、焚火の最中に足りなくなった薪を拾いに河原へ行くときなど、フラッシュライトだと狭い範囲しか照らしてくれないが、ランタンを提げていくとかなり広い範囲を探すことができる。 
 もっとも片手がランタンでふさがるから抱えて戻れる薪の量もタカがしれているけど、たいして大きな火は焚かないから不都合は感じない。
 
 今回、久しぶりにキャンプに連れ出したのは、スクリーンタープの中でテーブルトップに置いておくランタンににちょうどいい大きさと光量だと気づいたからだった。
 最初はEPIのマイクロランタン(これも遊ばせたままになっている)を使おうと思ったが、カートリッジが増えるのが厄介なのでやめた。オレンジ色のやさしい光がなんともいい雰囲気なのだが……。
 
 今回、ピークワン・ランタンを使ってみてよかったのは、燃料タンクが空になり、灯りが消えたら、「さ~て、寝るか」とのきっかけができたことだ。いつまでもダラダラと起きていないでさっさと寝る準備に入る。
 
 使い続けていくことで愛着を増すキャンプ道具だけに、数こそ少ないけど、濃密な思い出が詰まったこの愛らしいピークワンをこれからまた親密なキャンプの友にしていきたい。まだ新品同様の輝きを持ったランタンなのだから。


浅ましきゲリラキャンパー

2009-10-25 09:41:41 | Weblog
★入口に設けられたゲートの意味
 キャンプ場にゲートがあって、夜、決められて時間になると閉じられてしまう。
 ときおり、そんなキャンプ場に出かけることがある。おかしなことをするものだと思っていた時期もあったが、ある年の夏、東信州の公営オートキャンプ場でゲートの意味を知る情景を目にした。
 ただし、そのキャンプ場にゲートはない。ないからこそわかった呆れた光景だった。
 
 夕暮れとともに管理棟が閉まり、下界の役場からきていたスタッフが帰った直後、まるで湧き出でたようにクルマが次々と入ってきた。
 空いているサイトを物色すると、手早くテントを建てる。大型テントはなく、コンパクトなテントばかりである。キャンプ道具もきわめて簡素。手早く簡単な食事を終え、夜も早めに消灯していた。キャンプの原点を見るようなスタイルである。
 
 はは~ん、こいつらキャンプ場の料金を払わずにキャンプをやろうとしているな――彼らの腹はすぐにわかった。やはりうしろめたさが少しはあるのだろう、どのファミリーも硬い表情で終始おとなしくキャンプをやっていた。
 
 朝、管理人が下界から上がってくる前にさっさと撤収を終え、次々と逃げて行った。設営も撤収も鮮やかきわまりない。このゲリラども、集団でやってきたわけではないのに、まるで統制の取れた組織のようだった。
 なるほど、こういう手合いの侵入を阻止するためにキャンプ場によってはゲートを設け、出入りの門限を定めているわけだ。

★そこまでして楽しいか 
 ぼくもキャンプ場の料金を聞いて「ふざけるな!」と思うことがある。むろん、キャンプ場経営者からの反論もあるだろうが、高額の料金に見合わない施設、設備のキャンプ場が大半である。納得できる料金ならしぶしぶだけど払って利用することがある。
 しかし、キャンプ場の料金が払いたくないからと言って管理人の目をかすめてキャンプをしたり、キャンプ禁止の道の駅やサービスエリアでキャンプをやるほど落ちぶれたくはない。そんな浅ましい心根のキャンプをして楽しいとは思えないからだ。
 
 今年9月のキャンプで、夜中、それもかなり遅くなってから、キャンプ場の駐車場に入ってきた1台のクルマがライトを点けたままで停車していた。
 こちらのクルマも停めてあることだし、あるいは、何かあったのかと見に行くと、クルマのライトを頼りにさして若くもない男性が小型テントを組み立てていた。隣には女性がひとり……。
 
 クルマは東京の近県ナンバーのポルシェ。
 こんなクルマでキャンプならテントも小型でやむをえまい――とは思わなかった。直感的に、「こいつも金を払わずにキャンプをやってるクチだな」とわかった。
 もちろん、翌朝、管理棟が開く直前にポルシェがさっさと逃げて行ったのは言うまでもない。
 
 ポルシェでやってきたカップルだけにそのさもしい姿がなおさら笑えた。


ダッチオーブン<性能の違い>

2009-10-19 22:14:46 | Weblog
☆奈良地方の郷土料理
 ダッチオーブンの話題に触れたので、忘れないうちに7月の経験を書きとめておきたい。
 
 7月20日にからむ三連休を、ぼくは例年どおり北八ヶ岳の森で過ごした。
 いつもと違っていたのは、グループキャンプだったことだ。しかも、ふたつのグループの合同キャンプとなった。

 若い人たち主体の5人グループが二日目にトレッキングに出かけるというので、それじゃ、その日はこちらで夕飯の食担をするから、初日はそちらで食担をしてくれないかと提案してあった。
 
 人数が多くなったときのメニューは汁ものにかぎる。カレーとかシチューの類である。
 以前、アメリカのアウトドア誌に載っていた「ハンターズシチュー」を作るつもりでロッジの12インチダッチオーブンを持参していた。

 買い出しの段になって、ぼくのフィッシングの師であるM氏が持ってきたキャンプ料理本に「牛乳鍋」というのを見つけた。奈良地方の郷土料理だという。
 見かけは洋風だけが、うどんを入れるのでボリュームも申し分なく、なかなかうまそうである。「よし、これに変えよう!」とメニューを変更した。
 本に記されたレシピに、家人のアドバイスをプラスして火から下ろす直前、においの強いチーズと白味噌を加えることにした。
 これをダッチオーブンでじっくり煮込もうというわけである。
 
 うどんを入れるので、12インチDO1個で合計11人分をまかなうのはつらい。M氏のDOも使わせてもらうことになった。ロッジではなく、某アウトドアメーカーがブランド名を変えて出している中国製のDOである。
 
 2個のDOを同時に使うので持参したスノピの焚火台(L)では乗りきらない。キャンプ場の炊事棟に備えつけの炉を使うことにした。

 ゆっくり煮込むために炭火を使いたいのだが、この炉が本来は薪を燃やして飯盒炊爨(はんごうすいさん)するための構造なので熱源と鍋との距離が大きくなってしまう。炭火の上に直接DOを置いてもいいが、炉が狭くてDOのコントロールに不安があり、そのまま炉に取りつけてあるグリルの上に置いた。

☆愕然とする格差 
 30分もたったころ、大きいほうのロッジのDOが噴きはじめた。
 「さ~て、焦げつかないように気をつけないと……」
 炭火の量を調整しながら最初はのんきに構えていた。だが、まもなく噴きはじめるだろうとタカをくくっていたもうひとつの鍋にいつまでたってもにさっぱり変化が見えない。
 鍋に触って驚いた。ロッジのカバー(蓋)は熱くて触れないのほどなのに、中国製のそれはまだカバーが素手で触れるほどぬるいではないか。
 
 写真のとおり熱源の条件はまったく同じである。
 明らかに熱伝導率の優劣の差だろう。はからずも、DOの老舗というか本家のロッジの優秀性が証明された。
 
 出来上がった料理の味にどれほどの差が生じるかまでを検証する余裕はなかった。はっきりしているのは、熱伝導率がいいだけ、ロッジは燃費が低いわけだから時間と燃料の節約になる。
 ふたつの鉄鍋の価格には大きな開きがある。燃費など無視して鍋の値段を取るか、多少値がはっても伝統の鍋を持つかは人それぞれだろう。
 
 ちなみに、「牛乳鍋」の味だが、わが家のキャンプメニューの上位にランクしたほどの美味さだった。
 関西在住の知人にこの話をしたところ、こともなげに「ああ、飛鳥鍋な」とひとことで片づけられてしまった。関西ではポピュラーな料理らしい。
 むろん、鉄鍋でなくても土鍋等でも美味しく作れるはずで、正式な作り方はネット上でいくらでも紹介されている。
 
 来月のキャンプでは、もうひと工夫してまた作ってみるつもりでいる。 

ステーキな日々

2009-10-18 21:56:29 | Weblog
 キャンプの楽しみのひとつ……というより、究極の楽しみがその土地の産物を美味しくいただくことにある。
 野菜、魚、肉――それらをキャンプという不自由な状況下でいかに美味しく野趣あふれた料理に変えていくか知恵をしぼり、慣れない手つきで料理する非日常性がまた楽しい。
 その土地ならではの果物の美味しさもこれまた捨てがたい。
 
 10月の八千穂高原は、20年余り通ったお気に入りのフィールドである。四季折々に美味しい野菜や果物などを味わってきたが、今回、これまで肝心なものを忘れていたことに気づいた。
 肉である。
 岐阜の高山では飛騨牛を、八ヶ岳の南麓では甲州牛をといった具合に、土地の肉屋さんへ出かけてステーキ肉を仕入れ、一夜のご馳走としてきた。八千穂へはさんざん通いながら、信州牛を失念していた。

 キャンプ初日、キャンプ場へ向かう道すがら、佐久穂町の佐久甲州街道(国道141号)沿いにある肉の専門店「やまぐち」へ行き、サーロインを300グラム切ってもらった。見るからにうまそうな肉である。

 これまで「やまぐち」さんの前はさんざん通って店の存在を知っていたのに「八千穂高原でステーキ」の発想がなぜか欠落していた。悔やんでも悔やみきれない。

 調理をする段になって、300グラム強の肉を家人が三分割した。
 いちばん大きいのがぼくの分、中くらいが家人、小さいのがわんこたちへの分け前である。わんこたちのはニンニクが使えないので、あとからフライパンで焼くことにする。
 
 まずは、10インチのダッチオーブンをツーバーナーで熱し、家人の指示にしたがって焼いた。
 以前、五光牧場キャンプ場のとき、野辺山駅の近くの肉屋でリンゴで育てたというぜいたくな牛肉を仕込み食べたステーキが忘れらない。あのときはフライパンだったけど、今度はダッチオーブンを使った。

 ダッチオーブンで焼いた信州牛がどれだけ美味だったかは絶筆に尽くしがたいしか言えない。帰りがけにまた同じ肉を買ってしまったことを記せば、その感激が伝わると思う。
 「やまぐち」さん、また来年お世話になります。

 家では家人が調理したのでダッチオーブンを使わなかった。味の違いは歴然だった。

 今日、家人の求めに応じてロッジの「スキレット」を買った。どうやら、やっとダッチオーブンの威力がわかったらしい。
 カバー(蓋)も一緒に買うつもりだったが、本体と同じ値段だから両方だとちょっといい価格になってしまう。オレのヘソクリで買うのだから遠慮はいらないはずだけど、「そんなに余裕があるの?」なんて見抜かれたらまずいので次回にまわした。

 店頭にはシーズニングずみのものしかなかった。11月のキャンプの楽しみに、自分でシーズニングをやりたかったが、シーズニングをしていない製品は置いていないというので渋々あきらめた。
 帰り道、ちょっと高級素材を扱っているスーパーで家人が国産ステーキ肉を買ってきた。さっそく、スキレットを試してみようというわけだ。やっぱりシーズニングずみでよかった。
 
 国産牛とはいっても味は信州牛にまるで及ばない。なんせ値段が違う。
 11月のキャンプでは、リンゴを食べて育った甲州牛をこのスキレットで焼くという楽しみができた。いましがたステーキを食べたばかりなのに生唾が出てくる。