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私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

「ウェルキャンプ西丹沢」での水難事故に思う

2014-08-03 13:28:09 | Weblog

■ 下見で二度訪れたキャンプ場
 8月1日に「ウェルキャンプ西丹沢」で起こったキャンパー3名の死亡事故にひと晩よく眠れないまま朝を迎えた。亡くなったのは41歳の母親、その子供である9歳の女児と7歳の男児である。43歳の父親だけが助かった。15年前にこの下流部での玄倉川での事故も思い出されて心が痛む。
 
「ウェルキャンプ西丹沢」で実際にキャンプをやったことはないが、10年ばかり前、二度ばかり下見にいっている。また、下見とは別に当時おつきあいがあったキャンプ仲間のご家族がここでキャンプ中と聞いて、近くを通りかかったついでに差し入れを持ってキャンプ場に併設された焼きたてパンの店先へ急襲した思い出もある。

 何よりもショックだったのは、今回犠牲になったご家族と似たような年代と家族構成のご一家と昨年11月から一緒にキャンプへいっているからである。
 まして、ウェルキャンプ西丹沢は、「神奈川のキャンプ場がいい」というリクエストもあって彼らの最初のキャンプの候補地のひとつに推薦し、キャンプ場へ電話をかけて予約のシステムも訊いている。

■ 自己責任という名の重み
 このご家族とのデビューのキャンプは、11月という季節だったのでほかのキャンプ場に変更したが、夏場だったらお子さんたちの川遊びができるからとここでのデビューキャンプとなっていたかもしれない。つい先日も、いずれこのファミリーと一緒にいくキャンプ場のリストにも入れて、提案している。

 犠牲となったご家族を批判するのはたやすい。川の中州でキャンプをする愚は報道記事にも多々散見できるが、四輪駆動車専用の「アドベンチャーゾーン」と銘打ってキャンプ場が用意したサイトであれば安全だとの勘違も生まれやすい。それに「四輪駆動車専用」というのは、もはや四駆ブームではないが、四駆乗りの優越感をくすぐるにはじゅうぶんであったろう。当然、彼らには人気のサイトだったろうからここを利用してきた四駆乗りは多数いたにちがいない。

 常識あるキャンパーは、たとえ四輪駆動車でも中州のサイトなどでキャンプをしようとはしない。今回も実際にそうした四駆乗り方々もいただろうと思う。報道によれば、事故当日にこのゾーンに設営していたのは犠牲となったご家族だけだったそうだが、かつてのように四輪ブームの時代だったらどうだっただろうか。

 事故の原因はキャンプ場の側にも、そして当事者たるキャンパーの側にもあった。そもそも危険なアドベンチャーゾーンなどを造り、そこをサイトにしていたキャンプ場の責任は免れない。
 だが、キャンプは最終的にキャンパー個々の自己責任に帰する。大雨と川の増水に対する備えはそのサイトにテントを張ったときからキャンパーが担わなくてはならない。

■ 台風の接近も怖れない愚かさ
 ウェルキャンプ西丹沢はこのアドベンチャーゾーンばかりではなく、キャンプ場全体が河川敷にある。サニタリー棟、バンガロー、風呂などの施設もたしか同じ河川敷の中にあった。
 大雨が降れば、いつ川の流れに洗われてもおかしくない地形とぼくには思えた。そうそう大雨が降るわけではないが、二度も下見に出かけながら実際のキャンプを躊躇しつづけてきたのはこの一点にある。

 キャンプへいって設営後に逃げ出す決断の容易でないであろうことも想像に難くない。ぼく自身はキャンプ中に台風の接近の報で予定を切り上げて逃げ帰ってきた経験が二度ある。一度は水上の奥の山中にある公共の無料野営場から、次は昨年、清里のキャンプ場からである。どちらもそそくさと撤収するぼくたちと入れ替わりに、連休をひかえてたくさんのキャンパーがやってきたのには驚いた。
 
 今回の西丹沢での水難事故は、15年前の子供4名、女性2名を含む13名が亡くなった玄倉川のキャンプ水難事故とはだいぶ違う。ダム管理の職員、警察、それに先に避難した仲間たちの避難勧告をことごとく無視して起こったのが玄倉川の事故だったという。

■ 危うきには近寄るまい!
 こうしたたぐいの人々の存在はさほど珍しくない。ぼくの身近にも無謀な真似を繰り返す似たような自称の「プロキャンパー」がいた。一例をあげれば、台風のさなかにキャンプをして、スクリーンタープをみんなで中から押さえてしのいだなどという愚行を誇らしげにウェブ上に書き込んているのを知ってあきれかえった記憶がある。
 事故になっていないのがせめてもの幸いである。静岡のキャンプ場では倒壊した家型テントが長い間放置されているのをキャンプの度に見ていた。子供のおもちゃがテントの下に散乱しているのは、親たちの蛮勇のツケであろう。

 ウェルキャンプ西丹沢の事故では、キャンプ場の売店のスタッフから「危険だから避難したほうがいい」と告げられてはじめて避難する気になったらしい。もはや自力での渡渉が不可能だったのでクルマに頼ったのだろう。そして、家族もろともクルマが流れに呑み込まれた。
 四駆だからなんとかなるだろうとのおごりはなかったろうか? 過去の四駆事故はこうした過信によるものが大半だった。

 3人が犠牲になった翌日の水が引いた川の中、無惨に横転した高級車のむこうに無傷のまま見える高価なテントの写真がむなしい。クルマやテントは立派だが、キャンプ慣れしていないためにサイトからの撤退のタイミングがわからなかったのかもしれない。
 クルマを過信したからだとか、サイトに残っていれば死なずにすんだとの批判はあとになってからの非難にすぎない。ぼく自身だって、まったく同じ状況に遭遇して、同じ轍を踏まないと断言できる自信はない。
 今回のこの事故から、キャンパーが個々に学ぶ教訓はたくさんある。何よりも「君子(ではなくても)危うきに近寄らず」という真理を最優先で肝に銘じておきたい。

<2014年8月5日追記>神奈川新聞の8月4日付電子版サイト記事によると、1999年の玄倉川水難事故のとき、「ウェルキャンプ西丹沢でも139人が一時対岸に取り残された」とある。


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3 コメント

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ウェルキャンプ西丹沢の秘密 (ワカウシ)
2015-07-01 15:04:31
もうすぐ痛ましい事故から一年が経ちます。
経営悪化の為、現地スタッフが1~2名居るのみです。
安全、セキュリティを確保できていないようだ。
夕方6時を過ぎると受付、食堂、売店がしまりスタッフは、誰も常駐していない。
朝は、9時にならないと誰もいない。
事故の教訓を忘れているようです。
少なくともキャンパーの安全を図る為、泊まり込みスタッフを置いていなければ、昨年と同様の事故も起り得なくは無い。
広大な敷地ですが、日中、夜間の巡回は、誰も来ません。
外人スタッフらしき方が居るが日本語が通じません。

残念な状態でした。
昨年の事故で亡くなられた方は、3人となっていますが4人なんです。奥様のお腹の中に赤ちゃんがいたそうです。なんとも悲しい事故です。

ご冥福をお祈りします。



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なんともいたましい事故です (Hiro)
2015-07-26 19:46:15
ワカウシさん、コメントいただきありがとうございました。

あのキャンプ場はそんな状態になっていましたか。
以前はとても丁寧なスタッフが何人もいて、下見のときにとても好印象でした。
一度、電話で問い合わせたことがあり、その応対もとっても丁寧でした。
ただ、キャンプサイトはやっぱり二の足を踏む環境でした。

たまたま亡くなった奥様とおつきあいがあったという女性のご主人が仕事の関係者でした。いまも同じキャンプ好きとして辛く、いたましい事故に言葉がありません。
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キャンプ場でも自然を侮ってはいけませんね (丹沢キャンパー)
2016-08-11 13:26:19
事故の直後、また昨年8月、今年も来週訪問しますが、私のt期はスタッフは多数いました。
定期巡回を兼ねたゴミの清掃も2~3名一組で行っていました。
ただ、状況はどうあれ事故は悲しいものです。
どうしても、管理されたところは安全と過信しすぎている部分もありますし、運営側も利益優先で無理なサイト設定等と、負の連鎖が重なった不幸な出来事と感じます。
私は、渓流釣りも行いますが、水の力は想像以上に大きく、遡行は斜めに横切り、水の力を逃がしながら歩くが基本。
しかし、知識が無いとつい最短ルートの流れに対して直角に渡ってしまう・・・。
運営側も川の横断、遡行といった注意も必要だったのかもしれません。
玄倉・世附に比べ、中川川は滅多に増水・濁流というのが無い川だったのでがね。
亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、キャンプ場も所詮自然の中にあり絶対安全では無いという事を認識しながら楽しみたいと思います。
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