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私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

いちばん幸せなのはだれだろう

2018-05-03 15:02:45 | Weblog

■ 動機なんかなんでもいいのさ
 4月末からの大型連休で、今年、ようやくキャンプに復帰した。
 正月以来だから、おおむね4か月ぶりということになる。さまざまな事情が重なって、4月28日から30日までの2泊3日の日程だった。
 幸いにして、3日間とも好天に恵まれ、初夏の素晴らしいキャンプを堪能した。まわりは若いキャンパーばかりだったが、今年も素晴らしい出逢いがあった。

 いまのキャンプは、グループで出かけていって酒を飲んで夜中まで大騒ぎをする迷惑な宴会キャンプは影をひそめ、家族単位で楽しむ健全キャンプが主流になっている。
 キャンプ場は、昨今のブームを反映して、若いファミリーがひしめき、ロートルのこちらは居心地が年々悪くなってきた。それが少なからずうらめしい。

 前回でも書いたが、あるタレントのキャンプスタイルが同年代のファミリーをキャンプに駆り立てているらしい。このタレント、もう終わっている人と思っていたら、また、復活してきた。
 たしかに、お笑い芸人やらホストっぽいタレントたちが幅をきかせるテレビ界にあって彼は異色だ。しかも、奥さんは元アイドルにして、いまや現代風理想の良妻賢母である。きっと、彼らの「家族愛」が同世代のファミリーの琴線にふれたのだろう。



■ バーベキューを楽しむキャンプ
 家族でキャンプを楽しむというスタイルは、非日常で寝食を共にできる究極の遊びである。とりわけ焚火を囲んでのバーベーキューはファミリーでのキャンプにはピッタリだ。
 子供の成長とともに、彼らの大半がキャンプを卒業していくだろう。だが、バーベキューが楽しいうちはまだだいじょうぶだ。

 焚火奉行のお父さんが、焼けた肉や野菜、魚介類を家族それぞれの皿に取り分けていく。ここには「父権」がある。場を 仕切っているのはお父さんである。子供たちの好みから、食べる分量、焼け具合までを熟知していて、不公平のないように巧みに配分していく。

 町の焼肉屋でそんなお父さんをときおり見かける。肉を前にしてひとりテンションを上げているお父さんが次々と追加を注文して網の上を賑やかにする。
 となりにはゲームに夢中でシラケている男の子がいる。かと思えば、こっちの席では、「パパ、このお肉、すごくおいしい!」と大声で叫ぶ幼稚園児くらいの女の子がいて、思わずこちらの頬もゆるんでしまう。


■ 頼もしいお父さんがいる
 キャプのフィールドだと、街の焼肉屋と違って最初から全員のテンションが高くなってるから楽しくないわけがない。キャンプで食べる焼き肉は、町の焼肉屋のそれよりもはるかにうまい。なんせ、アウトドアという隠し味が濃密だからだ。

 キャンプでのお父さんはやたら頼もしい。
 設営のときから主役はやっぱりお父さんだ。作業用の黒いグローブがまぶしい。テキパキとテントやタープを張り、自分たちのサイトを作っていく。あの黒いグローブを、ぼくもさっそく買うつもりだ。

 バーベキュー用の火熾しだってお父さんはソツがない。トングの扱いは町の焼肉屋のときよりもはるかにカッコいい。横からお母さんがあれこれ指図しても無言で作業を進めていく。それだけでも非日常なのではあるまいか。お父さんが真に男の姿を見せることができる場こそがキャンプである。
 その姿は、火を手に入れた原初の人類にも共通するだろう。かくして、忘れることのできない家族の思い出がまたひとつ刻まれる。



■ お母さん、あなたは……
 若いころのぼくのキャンプは、たいてい、ひとり孤独を愉しんでいた。山の中の渓流のほとりにツエルトを張り、漆黒の闇の中で小さな焚火にあたっていると、イヤでも孤独を痛感する。孤独は、そのときどきで心地よかったり、心細かったり目まぐるしく変わる。それがまたよかった。

 野生の小動物たちがそんなぼくを草の向こうからときどき見ているのも気配でわかる。フラッシュライトを向ければ、彼らの目が光り、居場所を教えてくれるだろう。だが、むろん、そんな無作法な真似はしない。
 彼らが襲ってくるはずはないが、見張られているというちょっとした緊張感が悪くなかった。

 だが、もう、ぼくのような被虐的なキャンプは時代遅れだ。
 キャンプへきて、家族のためのバーベキューに集中するあまり、寡黙になっていくお父さんの雄々しさに共感する。若いお父さんみずからがお父さんであるのを証明する姿をまのあたりにして、あらためて「いいな」と心から思う。
 
 お父さんたちが黙々と活躍する夕飯どきの時間帯は、なぜかお母さんたちの甲高い声があちこちから響いてくる。「ほら、こぼれるでしょう」「好き嫌いするんじゃないの」「黙って! 静かにしなさい!」……。
 お母さん、あなたがいちばんにぎやかなのですけど。ひらたくいうとうるさいのですよ。でも、家族のだれよりも、いま、あなたがいちばん幸せなのでしょうね。

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