タイトルからは恋愛小説を連想させるが、実はまさにそれといった内容ではない。
旧友から打ち明けられたとある『秘密』がきっかけで物語は進んで行く。
何かにがむしゃらだったあの頃。
大人になるにつれ変わってしまった仲間。
そして事件の影に隠れるある真実。
誰もが何でも話せる仲だと思っていた親友達。
ところが実際はそれぞれ内に秘めた気持ちや事実があった。
それで本当に親友だったのだろうか?それだからこ . . . 本文を読む
華やかな大学時代に見え隠れする影。
学生から社会に出る時に誰しも通る変化の道。
そこで彼らが経験した事。起きてしまった事件の真相とは。
密室や凝りに凝った毒殺トリックなどが登場しますが、推理小説というよりは、ちょっと影のある青春小説といった印象を受けます。
きっと人生なんていうのは、ほんの些細な事から脇道に逸れたり、歯車が狂ったりするのだと思います。
後から振り返れば、何であの時...と思う事で . . . 本文を読む
「どこがトリックの支点になっているのか?」
特に本格と呼ばれるミステリーを読む時はそんな事を考えています。
本書はピエロという小道具が登場する。
十字型の屋敷にピエロ。
その不気味で分かり易そうなタイトルから簡単に物語の構成が見えそうだが、イマイチどこに支点が置かれているのか分からない。
そして淡々と進む物語。最終章を迎え
「えええ~、そこがキーだったのぉ?!」
といった感じです。
周囲の評価と . . . 本文を読む
『名探偵の呪縛』の続編。
小説という形はとっているものの、その内容は推理小説全般への思いを綴った独白書になっています。
前作『名探偵の掟』では本格推理小説との決別を思わせる書き方でしたが、その決別は嫌いだからではなく、自分が先に進むため敢えてそこを去る必要があった。そこには切なさ、つらさも含まれていた。そんな感情が本作で明かされています。
前作を読んだ読者は読んで問題ない一冊。
推理小説が好き . . . 本文を読む
そしてこちらがもう一冊。
科学というキーワードでまとめられた短編集ですが、初期作品よりも表情が豊かになった気がします。
『探偵ガリレオ』ではあくまで科学的なトリックがまずあり、そこから物語が作られた印象がありましたが、『聖女の救済』同様に本書ではレギュラーメンバーを含めたキャラクターへの重点が大きくなっています。本書から加わった女性の内海刑事の登場もひとつの要因かもしれません。
タイトルだけ見て . . . 本文を読む
ドラマ化を想定したのかガリレオシリーズが続けて2作品出版されました。
ひとつが『ガリレオの苦悩』という短編集。もうひとつが本作品であり長編です。
IT企業の社長が自宅で殺害された。
原因は毒殺。同時刻、妻には鉄壁のアリバイが…。
タイトルからしても内容的にも『容疑者Xの献身』の姉妹編のような感じを受けます。
トリック的には前作には及びませんが、科学に傾倒し過ぎない程度に科学を利用した結末は見事だ . . . 本文を読む
そこまで書くか!?というくらい推理作家とその業界をおちょくった短編集。
もちろん、すべてフィクションではあるだろうが、火のないところに煙が立たぬよう、火種となるエピソードくらいはあるのかもしれない。
あるような気もしてしまう…。
. . . 本文を読む
閉鎖山荘もの。
以前紹介をした同著者の作品『名探偵の掟』がきちんと踏まえられています。
・登場人物が館から出られなくなる明確な理由。
・なぜ閉ざされた山荘なのか。
ある程度ミステリーは読んだけど、最近良作がないなぁ…と思っている方にお勧め。東野作品をいまだ読んだ事のない方には特に。
ここからネタばれ。
とはいっても『ある閉ざされた雪の山荘で』と基本 . . . 本文を読む
フェアをやっていると、ついつい買ってしまう。
本格推理を名乗る安易な小説。
有名作品を元にした安易な映画、ドラマ。
暇つぶしの道具程度でしか読んでいない読者。
様々な対象への痛烈な批判を含み、また自らへの規律を立ち上げた作品。
単なる舞台裏拝見的ギャグ小説とも読めるが、それではあまりに勿体ない。
古今東西、推理小説を読み耽った方へこそお薦めな一品。
. . . 本文を読む
なぜこんなにも書店で東野圭吾フェアをやっているのかと思えば、ドラマで本作を実写化するという非常にシンプルな回答が用意されていた。
この数年特に思うのだが、一部の日本映画やドラマの企画が非常に安直になっている。
ヒットした小説やマンガを安易に映像化するのである。
例外を除いて、このパターンでの成功は稀だろう。
海外に目を向けてみる。
スティーブン・キングという超が付くほど有名なモダンホラー作家がい . . . 本文を読む
フランス帰りの飛行機の中で読んだ小説。
まずタイトルが悪いジョークです。
役者志望の男女がとある山荘へ向かう。
そこを"雪の山荘"と見立てて"仮想劇"がはじまるのだが、ひとり、またひとりと人が消えて行く。
これは現実の殺人なのか?それとも仕組まれた芝居なのか?
何が現実で何が劇なのか?
巧みに練られたシナリオに最後にドカンとやられます。
しかし、そんなせっかくの物語が終わり方だけアッサリとし過 . . . 本文を読む
風邪でダウンしていた時に読みあさった、積読されていた本達のご紹介。
まずは本書から。
ひとことで言うとブラックジョーク短編集。
このシリーズ最新作『黒笑小説』を実は読んだ事があり、その第一作目の本作を手にとったワケです。
正確には、手にとって積読されていたワケです。
短編集は体調の悪い時、ちょっとした気分転換になるのでお勧めですね。
どの作品も微妙な笑いのある作品ですが、お気に入りは、本音と建前 . . . 本文を読む
じわじわ、じわじわ来ますよこれは。
「いま考えうる最高のトリック」
と著者が言ってますが、まさにその発言に通りの作品。
当初読んでるとあまりに普通に物語が展開されてしまうため、読んでいる読者も知らぬ間に罠に嵌ってしまっている。
ラスト近くで明かされる事実に警察もビックリ、僕らもビックリ。
そしていままでの展開を考え直すと、まさに計算尽くされた構成に圧倒される。
とてもシンプルだけどとてつも . . . 本文を読む
黒笑=ブラックユーモア?
とにかく苦笑いがたくさん。
すぐ読めます。すぐ笑えます。
でも、作家志望者は読まないほうがいいかも・・・。
おっと、しかしこのくらいでへこたれていては作家にはなれないのか。
『実しやかな嘘』
てのがテーマな気がします。
ダークな笑いが地雷のように敷き詰められている本作においてエスケープゾーンのような
『奇跡の一枚』
が、この黒い作品群の中で光ってます。
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