いよいよクライマックス。
外部から会長を迎えて首相命令の元、国民航空再建へ取り組むが汚職の闇は果てしなく深かった。
会長直結部隊、会長室部長となった主人公にも容赦なく及ぶ卑劣な手。
小説としての結末は敢えて濁してあっても、現実はそこそこまともな方向へ向かっているのだと信じたいです。
本作は映画化も決定され、再注目されているようですが、肝心のその航空会社の現状を探ってみたい気もします。
機内食の改善 . . . 本文を読む
鎮魂歌というものがありますが、本書は鎮魂書とでも言うべき一冊。
日航機事故の遺族の、計り知れない悲しみや怒りが小説という媒体を通し、そして主人公を通して語られます。
一部の方々が実名で掲載されている事も特筆すべき事でしょう。
. . . 本文を読む
戦後間もない時代。天下り、馴れ合いダレ合いの組織、意に添わぬものへの懲罰人事。腐敗した企業とそこに立ち向かう社員の戦いを描いた物語。
限りなくノンフィクションに近いフィクションであり、モデルがあの最大手航空会社だけに言葉を失ってしまいます。
本書を読む中で、日本経済新聞の『私の履歴書』で国鉄民営化を行うにあたり直面した反対勢力の陰湿な嫌がらについて書かれていたのを思い出しました。
どちらの話もあ . . . 本文を読む
第30回メフィスト賞受賞作ということ。
貴志祐介さんが解説を書いているという事で読んでみました。
目が覚めると奇妙な建物に幽閉されていた7人の男女。
主催者を名乗るものの話では、どこか別の場所にも同じ状況の建物に同じように男女7人がいるという。
そしてそれぞれの場所で殺人事件が行われる。
両建物の人間に課されるのは、互いに連絡を取り合いながらその両建物の犯人を推理し特定すること。
先に当てた方が . . . 本文を読む
タイでおきている幼児売春、臓器売買の実態を生々しく描いた小説。
表現にモザイクはなく、物語は絶望に満ちているため誰もが楽しめるエンターテイメントではない。
中には直視できないような場面も登場する。
ノンフィクションではないため、すべてが事実ではないのかもしれないが、事実無根でもないはず。
あまりに現実離れをしているできごと、そしてそこが異国ということもあり、なかなか実感が湧かないが、きっとそれは . . . 本文を読む
夏のホラー3作目。
読後に思いました。
怖いってなんだろうか?
今回読んだ”夜市”、”壊れるもの”に比べると格段に純粋なホラーなのですが、それほどゾクっとはこない。
“リング”や”黒い家”を読んだときのような、体の芯までこたえる恐怖ではないのです。
教室の座席表をビンゴに見立て、一列そろうごとにその一列の生徒がみな死んでいくというストーリー。
幽霊とビンゴという言葉に違和感があるのか、幽霊に . . . 本文を読む
冒頭でストーリーの一本の紐を渡される。
読み進めていくと紐がどんどん増えて複雑に絡まりあう。
そして、いずれその紐は再びほぐされ、一本、また一本と分れていく。
最後に残るのは冒頭渡された紐の答えだった。
この長いストーリーを読み終えたときの心境はそんな感じでした。
長い長い、とても長いストーリー。
そこに疾走はなく、時間は現実の時間と同じではないかと思えるくらいゆっくりと進みます。
そう、ゆっく . . . 本文を読む
たまにホラーが読みたくなります。
『リアル鬼ごっこ』の山田悠介著。
実はあまりお薦めできな・・・。
全く面白くないというワケではないのですが・・・。
練習曲を指示記号通りにただただ淡々と弾きました・・・って感じ。
◇KEY EORD>>親指さがし(著:山田悠介)
『親指さがし』という不気味なゲームを行なった主人公を含む5人。
いつしかそれは恐怖よりも好奇心となり、あるルールを破ったひとり . . . 本文を読む
立て続けに更新。
やっぱりこのシリーズは英語の原書を読んでこそ本当の面白さが分かるんだろうという考えを決定付ける一冊。
今回登場するのは3度の飯よりも文法好きのおばさん。そしてキャラクターを最大限に生かすように全体を通して言葉遊びやアナグラムがいたるところに配置されている。
これほどさり気なく、だけど大胆に物語の中に文法や単語解説を入れた児童書はなかっただろう。
『Ⅱ』を読んだ時点で、このシ . . . 本文を読む
世にも不幸なできごとの第2巻。
1作目よりもインパクトは弱くなっていますが、作者が今後の「不幸な」展開をしつこいまでに暗示させたり、時には展開を惜しげもなく話してしまったりと、この辺の書きっぷりは独特で、ストーリーのアクセント付けに一役買ってます。単語の解説も1巻よりレベルが上がって相変わらず絶好調。
今回主人公3人が訪れる親戚は「お父さんのいとこの奥さんの兄弟」という爬虫類博士。
今後このよう . . . 本文を読む
最近映画化もされた作品。
ストーリーはそこまで凝っていませんが、物語の語られ方は面白いです。
いきなり文頭で
「これは不幸な物語なので嫌な人は他の本を読んでほしい」
と著者が語り、本編の中にもちょくちょく著者が顔を出し、何かと感想付け足していく。
また、ある程度難しい(?)単語にはご丁寧に、その単語の解説までしてくれる。
例えば
「…くたくたの ― "くたくたの"と書いたが、これは" . . . 本文を読む
児童書の定義て何でしょう?"ハリーポッター"は児童書であり小説ではないと力説する人をたまに見ますが、そんなに分類する事に意味があるのでしょうか?ルイス・サッカー著の"穴"。この作品も、アメリカで児童文学賞を受賞しているので、定義的には児童書なのだと思います。ハリーポッターシリーズのように、非常にストーリーが作られていて、無駄がありません。複線の張り方も上手!9割方はきれいにストーリーが進んでいくの . . . 本文を読む