お馴染み日常のミステリーを切り取った作品とモダンホラーと呼んでもよさそうな作品とが同居した短編集。
『白い朝』で魅せる情景の美しさ、読者の想像力をかきたてる『蝶』、S.キング的とも思える『俺の席』が印象に残っています。
『新釈おとぎばなし』はシリーズ化してほしいですね。
収録作品は以下
溶けていく
紙魚家崩壊
死と密室
白い朝
サイコロ、コロコロ
おにぎり、ぎりぎり
蝶
俺の席
新釈おとぎば . . . 本文を読む
本当に北村薫さんの表現はこころに残るものが多い。
"私"と落語家の円紫師匠が日常にある謎を解き明かすシリーズの第2段。
どんなに小さな謎であってもそこには大きな思いや気持ちが潜んでいる。
はじめてなのに知っている気がする。そんな"私"の成長と日常が詰まった短編集。
収録作品は以下。
いつものように短編だけに先入観なく読んで頂きたいのであらすじは書きません。
・朧夜の底
・六月の花嫁
・夜の蝉 . . . 本文を読む
北村薫さんの作品という事もありますが、完全にタイトル買いです。
でもR2 D2は登場しないので、STAR WARSファンにはオススメしません。
北村さんのファンでSTAR WARSファンであればちょっと得した気分になるかもしれません?!
知らなくても良いのに知ってしまった。
知られていないはずなのに知られていた。
フトした瞬間に気付いてしまった、気付かれてしまった。
そんな人生の一コマを切り取 . . . 本文を読む
WBCが始まったから、というワケではありません。
アリスという主人公が鏡を通り抜けて不思議の国に行くというストーリー。
まさに少年、少女向けというミステリーランド向けと言った作品なので、あまりひねりが無くちょっと物足りなさも残ります。
深読みすると、運動会で勝ち負けをつけないなど、おかしな風潮へのアンチテーゼが盛り込まれている気もします。
. . . 本文を読む
どことなくレトロな感じがするのは刊行が平成3年であるからだけでなく、作者の歳が少なからず影響を与えていることもある。
これは歌でもそうですね。
若手歌手の歌詞を読むと、街中で聞こえてきそうな、その時その瞬間を切り取ったような言葉使いになっています。
一方で、ベテランと呼ばれる、ある程度、歳を重ねた歌手の歌詞は、時代を反映したような内容や、ところどころに旬なキーワードが見えながらも、どこか落着きを . . . 本文を読む
本編前に「本書は慰めや、安らかな心を得たい人には不向きです」と書かれている独特な作品。
自宅に猟銃を持った男が立てこもり、妻を人質としてとられた主人公。
テレビのディレクターである主人公が警察の目をすり抜け、妻を救い出すまでをチェスに見立て描いた本作。
物語はというと、ひとつのテーマが「完全悪」になっており、読み方によっては冒頭に書かれているように、胸のボトム辺りに重しを吊るされたような気持に . . . 本文を読む
読み終わってから言葉がでませんでした。
著者が元々教師をやっていたため、細部に圧倒的なリアリティがあり、その本の中で実際の学校が一つあり、まるで自分がそのクラスの一員になったかのような錯覚さえおこします。
そして、そのリアルな日常や感情などを表す言い回しの絶妙さ。
『ターン』の時も書いたのですが、重ね重ね書かせていただくと、描写や表現が本当に美しくお洒落で文章が輝いています。ストーリーもさるこ . . . 本文を読む
先日の『リセット』に続き北村薫さんシリーズの第2弾。
やられましたね。
新潮文庫の『ターン』でP283!
思いも寄らず解き明かされた○○の正体に読んでいて鳥肌が立ちました。
数年間音沙汰なかった友達からいきなり誕生日にプレゼントが届いたようなそんな衝撃!こんな感覚は久しぶり。ラブストーリーと思い、ミステリーを読む時の嗅覚を全く使わず読んでいたのも大きかったかもしれません。
ここの時点で間違い . . . 本文を読む
ついに終了。
第一部、第二部中盤までが長かった。
まったく内容を知らないまま読んだため、何がどうどこにつながるのかが全然見えてこない。とにかく先の見えない物語を突き進み、第一部と二部のつながりが見えた辺りから波に乗れました。
ネタが分かるとあとはお約束の展開ではあるものの、友人の言葉通り最後に感動が。
生まれ変わり、輪廻転生。
人は死んだらどこにいくのか?死んでみなければ分からないが、その扉は . . . 本文を読む