『モネ 大回顧展』(国立新美術館)
国立新美術館へは初めて行った。六本木ヒルズや東京ミッドタウンとならんで、最近の六本木を代表する建築物の一つである。地下鉄千代田線乃木坂駅からは専用通路を通って、雨天でも傘のお世話になることなく館内へ入ることができる。建築デザインを批評する能力はないが、巨大な吹き抜けのロビーは、お台場にある日本科学未来館のロビーとどこか似た感じがした。設計はあの黒川紀章さん。 . . . 本文を読む
『レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像』(東京国立博物館)
先日、急に思い立って『レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像』展を見に行ってきた。平日の午前中だというのに予想以上の人出だった。会場は第1会場と第2会場に分かれている。この展覧会の目玉になっているダ・ヴィンチの『受胎告知』(絵画)は第1会場に飾られていて、ほとんどの入場者は最初に第1会場に押しかけるため、入場制限が行なわれていた。それで . . . 本文を読む
『いとおしい日々』(小池真理子・著、ハナブサ・リュウ・写真、徳間文庫)
こころの内にそっとしまっておきたくなる写真つきのエッセイ集である。エッセイと写真とのコラボレーションが見事としか言いようがない。その主題は「和」。「調和」とか「柔和」とかの「和」ではなく、「和風」の「和」である。もちろん「和風」から「調和」や「柔和」が引き出されることもあるだろうが、主題はあくまで「和風」にかかわる感性であ . . . 本文を読む
アトリエから戸外へ 印象派の時代(アントニー・メイソン・著、武富博子・訳、国土社)
風景というものはおもしろい。風景とは人の外部に物理的に存在するものではない。つまり、風景とはアプリオリに存在するものではなく、人の視点にかかわるものである。いま「視点」と書いたが、風景とは必ずしも視覚によるものともかぎらない。たとえば音(聴覚)によって認識される風景もあるわけであり、近年「サウンド・スケープ」と呼 . . . 本文を読む
夢十夜 他二篇(夏目漱石・著、岩波文庫)
言わずと知れた漱石の掌編である。子供の頃から古典や文芸作品に親しんできた人を除けば、これらの著名な作品には教科書や参考書で出会うことが多いのではないだろうか。そして、この出会いは読者にとっても作品にとってもたいてい不幸な結果に終わる。教科書や参考書で出会った作品は別の目的のための手段や素材であって、そこでは自由な解釈は許されず純粋な読書の楽しみは奪われて . . . 本文を読む