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旧える天まるのブログ
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ニートクリスマス番外編<わたしの首領>

2018-03-30 02:07:53 | ニートクリスマス後編


前回
②ニートクリスマス番外編 狼なんか怖くない



「ドライヤーありがと」

「ああ、うん、ちゃんと乾いたか?」

「うん、ありがと」
「ちょっと帰るから車かしてくれる?」

「え、あの、俺送って行くけど」

「家に行ったら、あれでしょ」
「また来るから車ちょっと貸して」



「俺は別にいいんだけどな」

「車だけちょっと貸して、大丈夫」

「まあ、心配してるだろうから早く帰ったほうがいいけどな」

「どこにも出かけないでしょ?」

「まあ、このとおりだから俺」

「じゃ、あしたまた来るから」

「仕事は?」

「終わってからだけど、今パートで早いから」

「そうなんだ」



「じゃねえー」

「う、うん」



 カノは弟が迎えに来てから、夕方近くに俺の車を運転して実家へと帰った。残された俺は、再びカノとクドウが訪れる以前の生活へともどった。



 俺は仕事を辞めニート生活になると、その大半はテレビモニターの前で生活をしていた。ニートという負い目もあり、外でのコミュニケーションは遮断していた。その間のコミュニケーション。そして対人関係は、オンラインゲームの世界だけで行われていた。



「こんにちはー」



「こんにちはー」



「今日はこの辺りのダンジョンを攻略しようか」

「はい」

 俺がオンラインゲームを初め、全クリしてオンゲーで暇を持て余していた頃、俺の所属するギルドに新人が入ってきた。



 不思議なタイミングだった。俺のギルドは独りしか居なく、先輩ゲーマーたちはなんらかの理由で抜けて居なくなった。独りになっていた時に彼女は俺の所属しているギルドに入ってきたのだ。



 彼女はゲーム初心者だった。夕方頃に一度ログインして来ては、少し遊ぶと食事の時間だと言ってログアウトしていた。



 夜の時間になると、再びログインして現れ、眠くなるまで俺とオンラインゲームを楽しんだ。オンラインゲームで先輩だった俺は、彼女にゲームのいろはを教え込んでいた。

石野真子 わたしの首領

わたしの首領
クリエーター情報なし
Victor





「食事の時間なので落ちます」

「じゃ、また夜にでも」

「はい」
「お疲れさまでした」

「おつです」

ピンポーン・・・・

「誰だ?」



「何日か泊めてくれる?」

「何日かって心配するんじゃないのか?」

「心配しないよ 近くだし」



「クドウ!」
「家で揉めたかなんかしたのか?」

「泊めてくれる?」


・・・・

(ちょっと待ってよ!)
(これ、あの時のパターンか!ええと、このままだとその後、クドウが泊まって)



(こうなって)



(こうなって)



(こうなっていって)



(カノが)

「そうだったのかー」

(ってなって)



(最後はこうなるんだよな・・・)

(おいおい!)
(これじゃまた巻き戻さないといけないじゃないか!)



(酔っていた時ではなく・・・)



カノが目が覚めた時に巻き戻して、話しをちゃんとしなければいけない。


<ニートクリスマス番外編>
続く

次回
④ニートクリスマス番外編 日曜日はストレンジャー


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ニートクリスマス番外編<狼なんか怖くない>

2018-03-23 12:07:16 | ニートクリスマス後編

前回
①ニートクリスマス番外編



石野真子 狼なんか怖くない

狼なんか怖くない
クリエーター情報なし
Victor


 クドウを実家に送った晩。



俺が家にもどると、カノは二階の部屋に入っていた。物音もせず、カノは襖の向こう側に居た。



 翌日、俺は狼になれたかった。カノはなかなか起きてこない。

「こんにちわー」

「誰だ?」「はーい」



 カノの弟だった!

「お父さんがクドウさんに電話したら、ここに居ると聞いて来ました」
「お久しぶりです。アララギ先輩」

「お!おう!久しぶりだな」
「車で来たのか?」

「はい」

 カノの弟は陸上部の後輩で。「小学生の頃から俺のことは見たことがある」と、カノからは聞いていた。俺が中学生の頃。当時の小学生たちと陸上を一緒にやったことがあるが、カノの出身の小学生は優秀な生徒が多かった。俺の高校の陸上部はカノが居た陸上部出身で保っていると言っても過言ではなかった。

 カノの時代は女子に優秀な選手が多く、俺らはそれを見てアマゾネス軍団と呼んでいた。そのアマゾネス軍団にカノも入っていた。弟の時代は史上最強と呼ばれるほど、有能選手が揃っていた。



「お姉さんちょっと呼んでくるから、待っててな」

「はい」



「カノ?」「カノ?」
「弟が迎えにきたぞ!」
「カノ?」「カノ?」



「弟?」
「アララギ先輩の家に居るっていっといてー」

「カノそれじゃ心配するじゃないか」

「二日酔いで具合悪い」

「カノ!開けるぞ?そこ」

「アララギくんに送ってもらうから、って言って」



「お姉さん、ちょっと夕べから具合が悪くなって俺の家に休みに来たんだよ」
「まだ調子よくなくてさ、これから病院に連れて行くとこでさ」
「その後に、ちゃんと僕が家に送って行くからと、お父さんにはそう言ってくれないかな?」

「はい」



「カノ?」「弟には、俺が家に送って行くからと、伝えておいたから」

「ありがと」
「あとお風呂沸かしといてー」

「はいよ」



「アララギくん、ちょっとこっち見ないでねー」

「!!」
「はいよ」
「お風呂沸いてるよ」



「ありがと」



こうして、カノとの奇妙な一日が始まった。

<ニートクリスマス番外編>

続く

次回
③ニートクリスマス番外編 わたしの首領


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ニートクリスマス番外編

2018-03-22 12:21:56 | ニートクリスマス後編

前編
ニートクリスマス



 カノとクドウが現れた夜。



その後、俺は



クドウを選んだ。

ラスト・クリスマス (シングル・ヴァージョン)
クリエーター情報なし
Sony Music Labels Inc.





 もしあの時、カノを選んでたら、どうなっていたんだろう?・・・・

あの晩に巻き戻してみるか!

<ニートクリスマス番外編>

石野真子 春ラ!ラ!ラ!

春ラ!ラ!ラ!
クリエーター情報なし
Victor




「タクシー来たら起こして」

「あーあ」「もうこんな時間か」

「クドウ?」

「何?アララギ」

「カノをここに置いてくれないか?」

「え!なんで?タクシー呼んであげてよ」

「俺がクドウを家まで送るから、近所だろ、俺たち」

「でもカノは?」

「今夜はここに泊める」



 クドウとは小学生からの付き合いだった。カノは別な小学校に居たが、すでに当時から俺は、カノをみかけていた。



あの陸上大会に、カノが居たのだ。



それから大人になって再びカノと出会い、別れたが・・・



「あたし、アララギに何があっても知らないよ」

「ごめん、クドウ」

「近所でも夜道は危険だから送ってよ」

「う、うん」

「なんでカノとふたりで来たんだよ?」

「飲んだからよ」

「・・・」

「あー寒い、早く歩きましょ」

「う、うん」

 クドウはあきらかに不機嫌になっていた。カノは堂々と現れ、クドウは恥ずかしそうに緊張した表情で僕の家に入ってきた。それが僕の態度で吹っ切れたようにクドウは実家へと帰った。



カノはその晩、僕の家に泊まった。

石野真子 失恋記念日

失恋記念日
クリエーター情報なし
Victor


<ニートクリスマス番外編>

続く

次回
②ニートクリスマス番外編 狼なんか怖くない

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