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旧える天まるのブログ
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ニートクリスマス番外編<彼が初恋>

2018-05-02 12:05:10 | ニートクリスマス後編

前回
⑦ニートクリスマス番外編 フォギーレイン



「やー」

「病室移ったんだ」



 カノはちょくちょく花を持って来たり甘い物を持って来ては病室に見舞いに来ていた。他の患者がやっかむほど、カノは俺の見舞いに来ていて、カノが帰ったあとに他の患者たちに嫌がらせを受けていた。ある日突然、俺の病室に患者たちが酒を飲んだりタバコを吸ったりと宴会騒ぎを起こし、見かねて俺は別の病室に移された。騒ぎがあった事も知らず、カノはまた見舞いにやって来た。

「今度ここになった」

「どうお?」

「まだ、退院の話しは聞いてない」



 しばらくすると、カノが俺の昔ばなしを始めた。

「アララギ、〇〇ちゃんと付き合ってたよね」

「特に付き合ってたわけじゃないよ」

 カノのいつものパターンで、昔、噂になった俺が好きだった彼女のことを聞いてくる。その度に俺は「特に付き合ってたわけじゃない」と応えると、

「へえー」
「噂になってたのになー」

その後はお決まりで俺を茶化すループが続いていた。



「弟に彼女が出来たみたいでさ」

「へえー」

(俺はカノの弟だけあってモテる気はしていた)

「〇〇ちゃんって言うんだけど」
「アララギ知ってるよね?」

「なに?えー!」



「付き合ったことあるでしょ?」

「え!と・・・」

「弟は知らないと思うけど」

(カノに槍を向けられ、俺は逃げ場を失った)



「あ、あるけど、とっくに終わってるよ」
「な、なんでカノが知ってるんだよ?」

「アララギ、見せたがり屋だから」

「学生の頃のことじゃないか!」



「何人目?」

(そこまで聞くか!)



「は、」
「初めての相手だよ」

「〇〇ちゃんじゃなかったんだ」



「その後は?」

「その後?、何人もいないよ」



「あたしは既婚のおやじだった」

(今度はいきなり初体験の相手を向けてきた)

「なんだって!」

「すごくやさしい人だったよ」

「既婚者でやさしいって、カノとやりたいからやさしくしただけだろ!」

(俺はカノの初体験の相手を知り・・)
(ムカついた)

「やりたくて、やさしくしてた、だけだろが!」

「アララギもやさしくしてたんだ?」



「俺?」
「俺のは嘘だよ」



「嘘なんだー」

石野真子 彼が初恋

彼が初恋
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Victor


「あたしこないだお見合いしたんだよね」

「お見合いしたのか?」

「いいひとだったよ、お金持ちだったし」

「そうか」

「でも、お母さんがさ、その後、あたしより背が低いよねーって言ってさ」
「どうしようかなー」



「あたしより背が高いの」
「今のところ、アララギだけなんだよなー」

(なんてことを言い出すんだ!)



「カ、カノ」

「ん?」

「俺が、あの、その」
「既婚者だったおやじのことも」
「その、なんていうか」
「カノの小学生時代のことも」
「全部俺が受け入れる」

逃げ場のない俺は、咄嗟に思いついた大口をカノに告げることになった。


続く

次回
⑨ニートクリスマス番外編 ハートで勝負


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ニートクリスマス番外編<フォギーレイン>

2018-04-26 14:52:00 | ニートクリスマス後編

前回
⑥ニートクリスマス番外編 恋のハッピーデート



「今度出るゲーム、生産とかも出来るんだって」

「生産もあるのかー」
「でも、ゲーム機のだろ?」

「うん」

「俺、まだそのメーカーの持ってないや」

 彼女は今度新しくオンラインゲームが発売されることを俺に話して来た。私的なことは俺のほうから話すことが多く、ゲーム上の悩み、特にオンラインゲームの人間関係の悩みを俺は彼女に話していた。彼女は俺の私的なことに「気にしない」「気にしない」となだめる日々が続いていた。



「今より金額も安いみたい」

「へえー」

「キッズタイムもあってその時間は無料でできるみたい」

「そんなのもあるんだ」

 彼女は今度発売されるオンラインゲームのことを楽しそうに話していた。彼女が私的なことを俺に話すのは初めてのことだった。

石野真子 フォギーレイン

フォギー・レイン
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Victor


 俺はその後、両親が経営する仕事を手伝うことで収入を手に入れることを考えた。しかし、父親も母親が営む経費を工場のバイト収入で補っていることもあり、俺の分の手当はないと考え、まず先に俺が加わることで融資してもらうことを考えた。



 赤旗を配達していた友人の中卒野郎から、中小個人経営者向けの商工組合があると聞き、そこから融資してもらえるか?相談に行った。

「家族で運営してるんですね」

「はい」
「父親はもう時期、年金生活になります」

「その後は、年金を貰いながら運営は続けるんですか?」

「おそらくそうなると思いますが」

「経営状況はどうなのですか?」

「父親が工場でバイトをしながら母親と運営しています」

「そこにあなた、息子さんが加わるんですか?」

「はい」
「それで、その前に融資していただけないかと思いまして」

「どうしてです?」

「両親の負担もありますから」

「うーん」
「まずは、書類にあなたのご両親が経営している売り上げ等、収支の状況を明記して見せてもらえますか?」

「はい」

「その報告書を見て、こちらでご融資いたします」

 俺は家に帰り、両親から経営状況を教えてもらい、文書に書き、再び商工組合を訪ねた。



「仕入れ代のほとんどがお父様のバイト収入からの金額になってますね」

「売り上げと利益の一部でご生活なされてるんですか?」

「これを見るとそうですね」

「お父様が年金受給されても今の状態は続きそうですね」

「なんか、それがあたりまえのように進んでて」

「あなたが入ることで売り上げを増やそうと思ってるんですか?」

「はい」

「この状況で融資もできますが」
「それから返済がなされたとしても、返済額であなたの生活収入がない形になりそうですね」

俺はその場でしばらく考え、融資は保留することにした。



「へえー」
「商工組合から融資しなかったんだ」

「商品売って手当にするよ」
「融資はそれからでもいいだろ」

「アララギに車返さなきゃ」

「弟がカノの車に乗ってるんだろ?」

「弟は軽トラでもいいよ」

「弟も軽トラで走ってるより普通車のほうがいいだろ」
「若いんだから」
「弟の気持ちもわかるぜ、若いのに軽トラで通勤とか」

 カノの家は農家で、農業作業用の軽トラックが置いてあった。

「別に俺んちも営業車があるから」
「それでセールスして歩けばいいし」
「そのまま使っててもいいぜ」

「いいの?」

「いいよ、どうせちょくちょく来るんだろ?」
「その時はどっかに遊びに行こうぜ」

「ありがと」

 その後、両親が営む職場から出された商品をセールスをする日雇い労働を始めた。日雇い労働の暮らしの最中、営業車で走行中に赤信号を無視した車両と衝突し、俺は病院に送られてしまった。



 病室にクドウとカノが見舞いに来てくれた。



「大丈夫?」

「見ての通りだ」



その後もカノはちょくちょく病室に現れ。



カノは俺の車を運転し、俺のところに見舞いに来る日々が続いた。

続く

次回
⑧ニートクリスマス番外編 彼が初恋

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ニートクリスマス番外編<恋のハッピーデート>

2018-04-19 11:06:26 | ニートクリスマス後編

前回
⑤ニートクリスマス番外編 ワンダーブギ



 数日が経ち、カノは何日かぶりに帰ってきた。

「おはよ」




!!

「お、おはよ」
「今日は休みか?」
「こんな早朝にどうした?」

「弟の友達が家に来るみたいで」
「お邪魔だからアララギのところへ来た」

 カノは俺の車を借りて実家を行き来している感覚は無いように思えた。俺の所有車は、カノの手により私物化されていた。



(カノは休日、俺の家の周りを散歩していたり)



(買い物にも出かけて行った)



(そして俺の家の中でゴソゴソし)



「お風呂沸かしたから入っていい?」

「お風呂?昼間っから?」



「暇だし半身浴」

「ああ、まあ、いいけど、風邪引くなよ」

「ありがと」



その間俺は、オンラインゲームの続きをしていた。

石野真子 恋のハッピーデート

恋のハッピー・デート
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Victor




「ねえ?」
「ねえ?」

??

「肩揉んで」

「ちょ!ちょ!カノ!今手が離せないよ」



 カノは俺がオンラインゲーム中に布団を占領し、肩揉みを要求してきた。

「ちょ!」
「おい」



「あれ?」

「ずっと走ったままになった」



「寝落ちかなー」

「こんな朝から?」

「寝てなかったんじゃない?」

「おーい」「起きろー」



「あー気持ちいいー」
「もうちょっとそこ、強く揉んで」

(コントローラーずっと握ってて指痛てーよ)

「気持ちいいー」



15分ぐらい、俺はカノの肩や背中を揉んでいたら、カノは勝手に寝静まっていた。



「おかえりー」

「すみません」

「寝てたの?」

「ちょっと布団の上で・・・」

「布団の上でプレイしてたの?」

「え、あ、まあ・・・」

「今度、寝っころがりながらゲームが出来るらしいよ」「それ知ってるー」

「うちの子供もコントローラー持って、もの凄い変な身体でゲームしてるよ」

「子供は身体柔らかいからねー」

「うちの旦那はグダーってなってやってる」

「すみません、このあと落ちます」

「了解」「了解です」

「お疲れ様でしたー」「おつかれさまでした」



 それからしばらくして、カノは起き上がり料理を作り始めた。

「これ作ったら、帰るからね」

「食べていかないのか?」

「ちょっと食べたら帰る。買い物したいところがあるんだ」



カノはお昼ご飯を一緒に食べたあと、買い物があると言って俺の家から帰って行った。

「うあーーー」・・・・
「俺もなんか散歩でもしようかな」

続く

次回
⑦ニートクリスマス番外編 フォギーレイン


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ニートクリスマス番外編<ワンダーブギ>

2018-04-08 20:46:04 | ニートクリスマス後編

前回
④ニートクリスマス番外編 日曜日はストレンジャー



 オンラインゲームをやっていると、そこには様々人達と遭遇する。

「あれ、なんか動きとまったね」

「宅配でも来たのかなー」

「ごめんなさい」
「今、幼稚園から電話があって、子供が熱あるみたいで」

「それは大変ですね」

「学校から迎えに来てくださいって言われました」

「それは行ったほうがいいですよ」

「ごめんなさい、せっかくパーティー組んだのに」

「だいじょぶです」「だいじょぶです」

「ごめんなさい。おちます」

「おつかれさまでした」「おつかれさまでした」

・・・・

「今の人、男性だと思ったら、女性だったのね」

「めっちゃ強面な方だったけど、幼稚園で子供が熱だしたって!」



「あ、電話だ」

「了解」「了解です」

「あの、今日休みだと思ってたら」
「パートの日で」

「え?」「?」

「会社から電話きちゃって」

「こっちはだじょうぶだよ」「だいじょうぶです」

「今日パート休みだと勘違いしてて」

「よくあること」「あるある」

「今からパート行きます」

「おつかれさまでした」「おつかれさまでした」



時には彼氏の愚痴を聞かされたり

「彼氏が富山の人でさー」

「へー」

「富山めんどいだよねー」

「富山の方じゃないんですか?」

「うん」
「すぐイライラしてさー」
「知らないうちにチップ入れられたんだよね頭に」

「!」「頭にチップ入れるような彼氏と付き合ってるんですか?」

「うん」

「頭にチップ入れるのは問題だと思うよ」

「今度また富山に来いって言ってるんだよねー」

「富山に行かないほうがいいですよ」

・・・・

「あの方大丈夫かな」

「富山より病院に行ったほうがいいかも」

オンラインでは様々な人と遭遇し、繋がっていた。
 
石野真子 ワンダーブギ

ワンダー・ブギ
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Victor




 俺がオンラインゲームに夢中になっていた頃、カノが現れ、カノにお灸をすえられた。



「めっちゃ熱いんですけど」

「まーだ」

「熱いです」

「お灸だもの」



「熱いからな、知らないぞ!」

「どうぞ」

「火が付いた」
「熱いだろ?」

「すぐには熱くない」

・・・・

「腰痛はどの辺りだ?」

「あーいい、痛いから触らないで」

「はい」
(腰痛云々言ってたじゃ、ないか)



「煙が出ないタイプの方がよかったかな?」

「換気扇つけてるから、煙でてもいいけど」



「煙の出ないタイプのほうがいいよね」

「なんで?」

「寒い」



「帰るね」

「ああ、ほら、車の鍵」

「ありがと」
「おやすみ」

「おやすみ」

 カノは俺の前ではヘラヘラと喋らない。
(以前は調子よく喋っていたのになぜだ・・・)
カノが帰ったあと、少し不安になった。



不安を忘れさせてくれたのがオンラインゲームだった。

「今夜はここを攻略しようか」

「はい」



「ここの道具?」

「そうそう」

「了解です」



「ここにラインを引く」

「はい」

「そしてロープで縛る」

「なんで?」

!!

「冗談」

「ほい」



 彼女は「嫌い」という言葉を使わなかった。俺は先輩風をふかせ、常に上から目線の言葉を発し、時々頭ごなしでチャットを打つと

「その言い方嫌だな」

と、言葉を返し、俺を正気にさせた。



「嫌い」の一言で終わってしまいそうな態度も、彼女は「嫌い」という急所は打たなかった。そして俺は彼女に魅かれていったのだ。

<ニートクリスマス番外編>
続く

次回
⑥ニートクリスマス番外編 恋のハッピーデート

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ニートクリスマス番外編<日曜日のストレンジャー>

2018-04-02 02:42:50 | ニートクリスマス後編

前回
③ニートクリスマス番外編 わたしの首領




 同じパターンを繰り返した僕は、再びあの状況へ巻き戻した。

石野真子 日曜日はストレンジャー

日曜日はストレンジャー
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「ドライヤーありがと」

「ああ、うん、ちゃんと乾いたか?」

「うん、ありがと」
「ちょっと帰るから車かしてくれる?」

「え、あの、俺送って行くけど」

「家に行ったら、あれでしょ」
「また来るから車ちょっと貸して」

「カノ、彼氏とかいるんじゃないのか?」

「いるけどなにか?」



「彼氏がいるなら、俺みたいなニート相手しちゃダメだろ」

「よくわかんない」
「車だけちょっと貸して」

「どこにも出かけないでしょ?」

「まあ、このとおりだから俺」

「じゃ、あしたまた来るから」



(カノは俺の車を運転して実家へ帰ると・・・)



「何日か泊めてくれる?」

「何日かって心配するんじゃないのか?」

「心配しないよ 近くだし」

 クドウがまた、その晩にやって来た。一度起きたことは、どう巻き戻しても再びそこに訪れる。しかし、それは俺へのご褒美なのだと感じた。



「クドウ!」
「家で揉めたかなんかしたのか?」

「泊めてくれる?」

「それは俺にとってはご褒美にしか過ぎないんだよ」
「俺はクドウに”ヤラせてくれ”ってしか言えないぜ」

「夕べだって、カノは泊まったんじゃないの?」

「泊まったよ」
「昼に弟が迎えに来て、そのあと俺の車借りて帰ったよ」
「俺はカノの両親にも面と向かって紹介できない立場なんだぜ」
「前は会社でおまえらに会ったけど、今はニート、無職だぜ」
「カノとクドウは少しは心配してくれたのか?ニートが珍しくてか?は知らないが」
「俺にとっちゃそれがご褒美。まあ、おまえらと会った頃は、少しは頑張ったからな」

「そういうつもりで来たわけじゃないんだけど」

「俺はクドウに”ヤラれてくれ”としか言えない」
「そんな男、両親に紹介できるか?」
「ニートだぜ、俺、この先の将来未定だぜ」
「俺の親もよそんちの縁談話し頼まれたりしてるけど」
「俺の見合い話しは一度も無いぜ」
「俺たちの同級生でも、何回か見合いしたとか聞いてるけど」
「クドウにだって、お見合いのひとつやふたつ来てるんじゃないのか?」

「あたしは別に、その・・・」

「俺は、クドウの両親に合わせるような顔ではない」
「せいぜい、今夜中にクドウの家に帰すことぐらいだ」
「それに、明日またカノが来るけど」
「カノにも俺は同じような立場だし」



「送って行くから帰るよ クドウ」
「揉めてないで、さっさと帰ったら親に謝れ」

「うん」

・・・・

「仕事早く見つけて頑張るんだよ」

「うん」

石野真子 ジュリーがライバル

ジュリーがライバル
クリエーター情報なし
Victor




「こんばんはー」

「こんばんはー」



「今夜は夕方の続きをやろうか」

「今夜は少し早めに落ちます」

「了解」



 翌日の夕方、カノが帰ってきた。

「車、ありがと」

「家の人心配したんじゃないか?」

「大丈夫」



「ちょっと荷物置かせてもらうね」

「ああ、うん、なにこれ?」

「着替えていい?」

「いいけど、夕べクドウが来てさー」



「なにかあった?」

「別になにもなかったけど」

「ふーん」



「クドウがなにもなくて来ないでしょ」

「あ、うん なんか家で揉めたらしくて」
「夕べ、でも、俺も泊めるわけいかないから」
「泣きべそかいてたけど帰した」

「ご飯食べた?」

「まだだけど、相槌ぐらいしろよ」



「クドウを帰したんだー」
「泊めればよかったのに」

「ニートの分際でそんなことできないよ」

「そうなんだー」

 カノからは微動だにしない空気が漂った。俺はカノのマイペースで作る料理をじっと待っていた。

「お盆かなにか敷いて食べれるよね」

「テーブルだすよ」

「いいよー別に今出さなくても」



 俺らは床の上にお盆を置いて料理を食べた。

「ごちそうさまー」

「ごちそうさまー、旨かったな」

「少ししたら、せんねん灸しない?」

「せんねん灸?そんなの買ってきたんだ」

「肩こりとか酷くて、この頃は腰痛もあって」
「アララギもどっか痛くない?」

「あちこち痛いけど、せんねん灸ってお灸のことか?」

「そう インスタントのだから、ツボに貼って火をつけるだけだから」

「そんなの誰かにやってもらったほうがよくないか?」

「頼めないから頼んでるんでしょ」

「俺やったことないぜ」

「最初、あたしがやるから、説明書もあるし、ツボは一緒でしょ」

「ええー」

「横になって、横になって」



「えっと」
「ここのツボに貼って火をつける」
「じっとしててね」

「はい」

・・・・・

「熱いんですけど」

「動かない」

「熱い?」

「だからさっきから熱いって」



「じゃ、今度は交代」
「肩こりのツボからやって」

こうしてふたりはお灸の時間を過ごした。

<ニートクリスマス番外編>
続く

次回
⑤ニートクリスマス番外編 ワンダーブギ

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