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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

バッグインサイズ

2013-10-05 12:48:18 | アート・文化

10月1日だったと思うが、ipadで見ている日経新聞を開くと、MJ等もダウンロードできるようになっていた。同じ日、新聞に小学館のファッション誌9誌の電子版スタートの広告も。

ご多聞にもれず、ファッション誌をほとんど買わなくなって久しい。内容云々の前にあの重く大きいものをうちに持って帰ってきて、ゆっくり見る時間が想像できない。かといって、持ち歩くのはもっと嫌だ。ある時から、会社員の需要を意識したのか、バッグインサイズというリサイズ版が出て買ってはみたが、1冊きり。ついにそれもバッグに入れることはなかった。

一般的なファッション誌は、内容も仕様も、ターゲットが見えにくくなっている。一時の付録流行りが今も続いているのかどうかわからないが、ある時期拡販には貢献しても、継続性はどうなのだろうかと思っていた。むろん大判の従来型のファッション誌も、付録雑誌も、一定の需要はあり、読者層も存在すると思う。子育てから手が離れ、比較的裕福な主婦層は、都市部に住んでいなければ、普段は街歩きではなく、雑誌で楽しむのかもしれない。

でも小学館が出しているファッション誌は、それより下の世代や、働く女性を読者層に据えるものが多い。Domani、Oggiなどはその典型。比較的今も人気がある定番ファッション誌を出す小学館が電子版にも踏みきったことで、少しは光明が見えるだろうか。

さっそく最新号をダウンロードしてみたが、ほかの雑誌同様、結局バッグに入る(持ち歩ける)というメリット以外は、あまり感じない。まあ、印刷物がそのままタブレットで読めるだけなので、それ以上何を望む?という気もするが。

↓ 電子版は600円

Domani (ドマーニ) 2013年 11月号 [雑誌] Domani (ドマーニ) 2013年 11月号 [雑誌]
価格:¥ 730(税込)
発売日:2013-10-01


板上の文化

2012-01-15 01:09:28 | アート・文化

日生劇場で『ラ・カージュ・オ・フォール』を観てきました(先週の話)。

映画はすっかりWOWOW頼み、音楽はYou-Tubeになっていますが、ライブに代替はありません。特にミュージカルは大好きです。「なんでセリフを歌うんだ」と言う人がいますが、板の上でやる芝居はどうやっても泥臭いし、リアリティはないのです。ならば音楽の方が素直にメッセージが伝わるというものです。「昨日は消え去り、明日は誰にもわからない。だから今を一生懸命に」(ラ・カージュ・オ・フォール)なんて、セリフで何度も言われたら興ざめです。あくまで個人的な意見ですが。

ところで、このチケットを約半年前にぴあのネット販売で買いました。よく日にちを忘れず行ったものだと自分で自分を誉めたくなります。

だから「日本のライブ文化はダメ」とずっと思い、人(ライブ関係者)にも言ってきましたが、最近はさすがに直前予約買いで当日劇場でチケット交換が可能になったようです(演目や興行会社によって異なるかもしれません)。

それはそうです。TV局や広告代理店と興行をタイアップし、あれだけ直前に役者がバラエティ番組や対談番組のゲストに出て宣伝しておきながら、「もうチケットは買えません」では話になりません。

でも今ひとつ納得できないのは、当日券の方が高いか同額です。余り席にもかかわらずです。飛行機も空席で飛ばすより、直前バーゲンがある時代に。今もあるかは知りませんが、ニューヨークのタイムズスクエアにはブロードウェイのチケットセンターがあり、当日上演される舞台のチケットが半額で買えました。パリのオペラ座は劇場で似たような対応をしていたように記憶しています。そもそも元値が日本ほど高くありません。

もちろんそんなことをしたら誰も正規チケットを買わなくなるという弊害があるかもしれません。多くの劇団経営は大変ですし、舞台俳優で裕福な人はあまりいません。

しかし一方で旧態依然としたシステムが、悪循環を生んでいると言えます。私でも平日夜の上演は開始時間が早すぎて、行けるかどうか怖くて予約できません。休みの日ですら、観客はほとんど女性です。明治座などはさらに早くて顧客の多くが女性の中・高齢者です。時間にもお金にも余裕があり、さらに「とっても好きな人」に限定されたマーケットになっているのです。

日本のビジネスマンの男性でも、ニューヨークや欧州に行けばミュージカルやオペラを観たいという人はたくさんいます。コンサートならなおさら男性ファンも多いでしょう。

また、個人旅行の観光客も、東京の劇場に気軽に足を運べる環境にはなっていません。毎日大小・多種これだけのライブイベントが行われている都市は、東京以外にはありませんが、国内からの観光客はディズニーリゾート(千葉)以外行きたい場所がないと言います。外国人も言葉の壁はありますが、歌舞伎など日本の様式美を伴うものは高いニーズがあるでしょう。

せっかく潜在顧客(観客)はいても、環境を整えなければ、何も変わりません。


スポーツ報道は社会の縮図?

2011-10-15 19:55:08 | アート・文化

今、テニス観戦ファンの注目は、21歳の錦織圭の今夜のアンディ・マレー戦だろう。行なわれている大会は、テニスを知らない人も知っているウィンブルドンのような四大大会の次に権威あるマスターズ1000で、四大大会より少ない数の人数が戦う。つまりより強い選手しか出られないという意味で、勝ち上がるのは四大大会より難しいとされている。ここで彼は現時点4強に残っている。

しかしマスコミ、特にテレビはこのことをあまり報じない。ツイッターなどを見るとテニスファンは憤っているが、テニスがマイナースポーツだからという理由は一面的だ。もし同じような快挙をクルム伊達公子さんがあげたなら違ったと思う。まず年齢的ハンディ、これまでの人生を語れるストーリー性、40歳前後以上にテニスファンが多いこと。要はネタはいくらでもあるし、視聴率や購読にもつながりやすい。

錦織が快進撃を続ける今回のマスターズ1000は、中国・上海で開催されている。上海はこのレベル以上の試合が開催されるアジア唯一の都市で、数年前まで上位8人しか出られない最終戦もここで開催されていた。

ついこの前まで世界ランク1位だったスペインのナダルは、去年も今年も上海では3回戦で敗退している。昨年ナダルが負けた翌日の中国スポーツ紙の一面は、大きなナダルの悔しそうな顔とともに敗戦を伝えていた。日本でもナダルは有名だしファンの数も多いが、日本ではありえない扱いだ。

では中国でテニスが人気スポーツかと言えばまったくそうではない。女子は強い選手が多いが、男子には世界レベルで戦える人はいない。日本の2番手、3番手の選手よりはるかにランクは低い。主催国メリットで推薦で何人か出ても、本戦はもちろん予選ですら1回戦の段階で歯が立たない。アジア男子で現時点で100位以内にいるのは、台湾の選手1人と日本の錦織だけ。どちらの国・地域も、中国の政治や国民感情レベルではありがたい国ではない。

しかし中国マスコミは錦織が勝つと彼に聞く。

「中国人が世界で戦うにはどうすればいいのか」

上海市も中国もマスコミも、上海を国際都市として誇示したいから、選手のいない競技に力を入れているだけではなく、いずれ勝ちたいのだ。アジアナンバー1の達成を1つの目標に、その先にはフェデラーのような人を育てたいという野望すらあると思う。

日本のマスコミは、結果しか書かないし報じないが、これから伸びていこうとする国は、夢や期待や実現へのヒントを書く。マスコミだけの問題ではない。なでしこJAPANの例を見てもわかるように、頂点という途轍もない結果を出して初めてこぞって称える。

スポーツだけの話ならいいが、スパコン京もノーベル賞も同じ。ノーベル賞に関しては時々予測を出してくるが、そのレベルにとどまっているし、そこに大きな関心を寄せる人も少ない。

マスコミや大人社会のこういう姿勢は、子どもたちにも影響を与える。またテニス話になるが、以前見た番組でインドネシアの小学生くらいの男の子が伊達公子さんに「アジア人が長い間世界で活躍するためにはどうしたらいいですか」(←表現は正確ではない)と本当に真摯に聞いていて感動したことがある。つまり未来に希望を持ち、学ぼうという姿勢があどけない子どもたちにもある。

先進国イコール高齢国で、新興国はこれから伸びていこうという若い国だからしょうがないとは言えないと思う。1人の人間が年老いた後に死ぬことは誰にも止められないけど、国は死んではいけない。

報道マスコミは原則起こった事実を伝える。予知能力はないので、未来の事実は書けない。でもビジョンや、未来に向かって力を尽くす人の姿は書けるはず。特に閉塞した難しい時代こそ、花開く可能性のあるもの、広い世界で活躍している人やモノを知ることで、何か新しい希望を持つ人もいると思う。


服とベンツと東京と

2011-07-17 22:52:59 | アート・文化

ファッションの世界三大コレクションといえば、パリ、ミラノ、ニューヨーク。

世界三大料理はフランス、中華、トルコ。もともとこれは宮廷料理の流れを汲むもので、実質的にはトルコじゃなく、イタリアだろうという論もあるようだ。韓国が慎ましく(3のいずれかに取って代わるのではなく)、五大料理に入れてほしいということで、キムチの大PRを3年前からしているらしい。いずれにせよ、日本料理はない。

もっとも「世界三大何とか」に入ることには意味がないのかもしれない。大陸の一角で常に陸続きの国と戦闘や交流、競争の歴史が繰り返された欧州とは異なり、「ナンバー1」より「オンリー1」…とSMAPも代議士までもが言っている。

個人的にはオンリー1も、異なることに価値があるのではなく、ナンバー1になってこそ、そこに独自性が見出せると思っている。少なくとも感性やパーソナリティでなく、企業活動や科学技術、国力の世界で、日本が本当にオンリー1の価値で生き残っていくためには、せめて日本人がその価値を認め投資する必要がある。

とはいえ、文化・芸術やそれを支える企業については、財務視点の業績に順位はついても、内容に優位性はつきにくく、オンリー1を追求しやすい分野だと思う。ファッションや食はその代表格かもしれない。

さて三大コレクションに入れない「東京コレクション」だが、次回より事業仕分けで補助金が大幅にカットされる。そのこと自体は、コレクションに政府がかかわることに賛否両論があるだろうからよしとして、「メルセデス・ベンツ ファッションウィーク東京」と名称が変わるそうだ。事業費の大半をメルセデス・ベンツジャパンの協賛金で賄うからだ。もちろん初の外資系冠スポンサーとなる。協賛する事業費そのものは5億円程度だが、それにさきがけ、今月六本木にカフェ・レストランを併設した「Mercedes-Benz Connection」を期間限定でオープンし、そこが情報発信拠点ともなるようだ。

メルセデス・ベンツ(ダイムラー)は、日本に限らず世界のファッションウィークを支援しているし、その他の文化芸術支援活動にも熱心だ。今年の秋には原美術館と共同で日独芸術家による共同展覧会を開催する。

ダイムラーはグローバルカンパニーとしての投資をしているだけで、東京コレクションの冠がベンツになっても、東京のファッションや文化をドイツ色に染めることはしないと思う(ドイツ色のファッション自体イメージできない)。世界に名だたるブランドがいまだに日本市場と東京に期待しているというのは悪いことではない。日本のクルマメーカーが、特に都市部のクルマ離れにうんざりしているというのに…。

とはいえ、グローバリズムに反して、内向き志向になりつつある日本人の感性やライフスタイルを、日本政府も企業も守ろうとはしていないことは確か。ファッション文化に限ったことではなく、基幹事業としてかかわる企業が少ないスポーツや芸術分野はさらに厳しい。

近い将来、日本はどんな分野でもナンバー1でもオンリー1でもない国、三大何とかどころか、10にも20にも入れない国になるかもしれない。人口が1億を超える国で、欧州の小国のような高福祉国家は望みにくいし、現在の中福祉を維持し続けるのも簡単ではない。

日本人は移民を受け入れるのも簡単ではなく、特別な能力なしにどこかに出稼ぎに行くのも難しい。言葉の問題だけではない。

今のうちに、「守る」だけでなく投資や挑戦を続ける気持ちを持ち続けなければ。

※いつまで続くかわかりませんが、またブログを再開しました。


銀座松坂屋がビミョー(死語?)という関係者たち

2011-02-06 02:29:49 | アート・文化

都市型を中心に百貨店が若干盛り返しているのではないか、という声がちらほら聞かれ始めている。もっとも大阪2011年問題とまで言わしめる、イマドキ百貨店の新規オープンやリニューアルが重なる地域があることで、業界マスコミもそう言わざるを得ないのかもしれない。

ただ、一方で、首都圏では人気と伝統で両雄である伊勢丹と三越が手を結んだことと、それに伴うこれまた東京の超一等地を今までムダに使っていた感があった、銀座三越が満を持してリニューアルしたことも多少なりとも好影響を与えていると思う。それとさすがにもう安物買いも飽きて「ファッションってそうじゃないよね?」と思い出した層が、いきなり専門店では敷居や値段が高いので、百貨店に回帰ということもある。

しかしその中で異色を放っているのが、松坂屋銀座店。三越、松屋と大きくは違わない好立地にありながら、どうも迷走しているとしか見えない。いっそ新宿三越(アルコット)程度には、松坂屋の看板を替えたらとも思う。余談だが、「新宿に三越はない」と、うっかり三越社員に向かって言い放った人がいたが、それくらい存在感を消せればまだいい。ちなみに新宿に住んでいた時は三越ではよく買っていた。地下はもちろん、ジュンク堂やGAP、バナパブ、コーチやヴィトン、フランフラン、LOFTがあった時はLOFT。メガネ店もセンスの良い店が入っていたので、引っ越した後もわざわざ買いに行ったくらいだ。どの店も百貨店や三越の持つイメージからそれほどはかけ離れていないので、近いターゲット層が足を運びやすいということだろう。

しかし松坂屋はそろそろ飽きられているファストファッションの権化のようなFOREVER21のアジア旗艦店を入れ、上層階に中国人観光客目当てにラオックスを入れ、マッサージやエステ、美容系のごった煮系集積の「エステワールド」を入れ、もはやなんだかわからなくなっている。目立たない場所に貴和製作所があるのはご愛嬌だが、これも相乗効果を生むに至っていないようだ。

そうした状態の中に、大丸・松坂屋連合の新たな編集業態である「うふふガールズ」も後追いで入った。これもどうにも変革のパワーになっていない。渋谷109に行きたいけど、あの喧騒が耐えられないという、お行儀の良い若い女性やもうちょっと上の年齢層を狙っているのだと思うけど、そもそもそんな子のファッションではないような気がする。わざわざ109や裏原宿のために東京に来る子は本物に行きたいだろうし、中国人観光客だって秋葉原の方がワクワクするにちがいない。もっともラオックスは中国資本なので、買いやすさは工夫しているのかもしれないが。

とはいうものの、私自身中に2店舗だけ利用しているテナントがあって、だから松坂屋にはたまに行く。でもその店の店員さんたちも「いいかげんにしてほしい」と言って笑っている。私もせめてデパ地下くらいは買い回りしようかと寄ることがあるが、結局は三越か松屋へ。空いているから行こうと思うのは、予約制の店くらいで、結局込んでいても品揃えがしっかりした方に行ってしまうのが普通の顧客心理ではないかと思う。