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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

先祖返りは加齢によるものか、先端技術は不便なのか

2015-12-02 00:57:54 | マーケティング

最近、また紙の本をよく買うようになりました。一時はスペースを取る、持ち歩くのも重いと、ほとんどを電子ブックにダウンロードしていましたが、手持ちのipadのキャパシティが怪しくなったこともあり、新聞の電子版の定期購読以外は、本屋で本を買うというオーソドックスなスタイルに先祖返りしています。

ipadの問題だけでなく、紙をめくるほうが安心できる、いつでも読みたいところに戻りやすい、(ダウンロードなら気軽にしてしまうけど)吟味して買えるなど、年齢によるものなのでしょうか、そんなことを見直し始めています。夏に海外旅行をしたときも、FIGARO等の旅特集をipadにダウンロードしていたし、完全に仕事を休めないこともあり、ノートPCも持参したのですが、結局一番頼りになったのは、1冊だけ持っていった紙の薄いガイドブックでした。充電もアクセスまでの時間も気にすることもなく、どんな環境にいても見ることができます。

もちろん道がわからなくなったときには、紙の地図より自分の立ち位置がわかるスマホのGPSが便利なので、何でもかんでも紙信仰ではないですが、先端技術は便利そうでそうでもないと思うことが増えています。

フィットネスクラブに、この前ペッパー君が導入されたのですが、導入直後は気にしている人も結構いましたし、私も近づいてみたのですが、初対面(?)で「そろそろ充電してください」と言われて、ちょっと興ざめ。スタッフの人に聞くと、しょっちゅう充電を求めてくるそうです。おしゃべり以外の機能としては、タッチパネルからクラブの案内やイベント情報などに飛べるわけですが、IT黎明期に取りざたされたインフォメーションキオスクとの違いがわかりません。それこそ、わざわざアクセスしなくても、紙の掲示板で十分だったりします。

パソコンも昔は、値段ばかり高くて、たいした機能がなかったのと同様に、ロボットは今後進化し、もっとさまざまな価値を提供してくれるのだとは思います。それでも高度な役割(機能)を果たす機械の一つとして、より精密化はしてくるだろうけれど、人間の代替にはそう簡単にはなれないと信じたい。だって、やっぱり気持ち悪いし、居心地悪いですからね、ロボットにすべての面倒をみてもらうのは……


高齢社会以上に平均年齢の高齢化が問題では?

2015-11-09 23:15:07 | マーケティング

もう何年も前から、日本(だけではないですが)の高齢社会化は指摘され、シルバーマーケティングという言葉はありました。アクティブシニアという言葉も既に手垢がついた感があり、現時点でボリュームゾーン(団塊世代がそれにあたる)であるアクティブシニア自体が、本当に高齢化する10年後20年後をどうするとかという、マーケティングの問題の範疇を超え、社会問題化しているのが現状です。

そしてその陰で隠れて忘れられていると思うのは、マーケティングの対象全体の平均年齢が確実に上がっているということです。

今、会社で働く社会人(生産年齢から学生や専業主婦を引いたもの)の平均年齢が非常に高くなっています。さまざまな統計の方法があるので、明確な数字は控えますが、40代半ばです。少子高齢化の影響だけでなく、高学歴化も進み、一方で就職氷河期に就職できなかった人の非正規化の問題もあり、実質的に社会の中心でさまざまな事柄をジャッジをしている年齢層が、40代から50代というのが今の日本の実態だと思います。リストラの危機にさらされているのもこの世代ですが、一部の平均年齢の低い業界を除いては、リストラを主導しているのもこの世代です。

TBSの連ドラ『下町ロケット』の視聴率が高いことが話題になっています。『下町ロケット』はwowowバージョンを以前に観ましたが、俳優が違ったところで、10代、20代が観て楽しいドラマではありません。半面、最近月9枠などは叩かれることはあっても、高い評価を受けることは少ないようです。明らかにティーンエージャーやせいぜい20代を対象としているのにヒットした作品は、その母親世代が観ても楽しめるものが多い。つまり、作品の出来不出来もさることながら、マーケットの平均年齢が明らかに高齢化していると言えます。

もう一つは、ティーンエージャーが楽しいものを高齢化している制作者が作れていない。これは何もドラマや映画に限ったことではなく、商品にも言えます。確実に売れる計算ができる人気ゲームのアプリなどを除いて、目立ったヒット商品がありません。かつて若年層マーケットの独断場だったファッション業界も、最近のヒットアイテムといえば、ユニクロやしまむらで手に入りそうなものばかり。ガウチョパンツなど名前こそ目新しいですが、要はキュロットスカートで、年齢問わず着られています。

同じく本来若年層が引っ張るべきスポーツ業界も、主役は中年以上の世代です。ラグビー人気も、今般のW杯活躍でポッと出てきた印象がありますが、本来歴史が古く中高年齢層以上の男性にはサッカー以上の人気スポーツだったからこそ、一気に火をつけることができたのです。テニスも同様です。五郎丸選手同様、錦織圭選手1人で人気を引っ張っているようにみえますが、歴史が古く競技人口も多いスポーツである点では、ラグビーと共通しています。いずれも現在熱狂している人たちは、そう若くはありません。

そんななか、ファン層が高齢化しているプロ野球のセリーグがまるで計ったように監督が全員40代になったことは、個人的には興味深い現象とは思っていますが、これで一気にファン層まで若返るかは疑問です。

もはや規模が小さく、1人あたり消費額も少額な市場に投資できなくなっているのでしょう。今はボリュームゾーンを狙うことで、やっと内需に頼ったビジネスでも生き長らえているのです。

これからも一部グローバル化に成功している企業や個人は、生き残れるでしょう。しかし、今の世情や若い人を見ていると、教育されてきた内容は、私が若かったころとそんなに変わっていません。英語を自在に話せる人も想像するほど多くはいませんし、むしろ親世代の雇用や収入が不安定になっていることで、夢を見られる若い人の数は減っているのではないかと危惧します。

高齢社会は高齢社会として対応していかなければならない課題ですが、一方で平均年齢が高齢化することで、若い人のマーケットが形成されず、意見や希望が通りにくい社会にも問題があると思います。それは政治に限ったことではなく、一般消費市場や教育、娯楽の世界にも言えることです。


日本のキャッシュレスはプリペイドを軸に進むのか

2015-10-31 02:03:08 | マーケティング

ローソンが電子マネーに参入とのこと。少し前にTポイントカードも参入しました。こうなると、主要コンビニでの買い物のキャッシュレス化は、ほぼパーフェクトに可能になったといっていいでしょう。

最寄りの大手企業のコンビニやスーパーで、所謂自社グループ資本のプリペイド式カードが使えないのは、ローソンだけでした。ローソンに行かない限り、現金を出す機会が著しく減っている昨今です。

地下鉄や電車での移動も交通系電子マネーを使いますから、1日1度も現金を出さなくても生活しようと思えばできますし、そんな日もあるような気がします。欧米ではクレジットカード(後払い)を軸に、キャッシュレス化が日本より進んでいる国が多いですが、日本ではプリペイドカード(前払い)を軸に今後ますますキャッシュレス化が進みそうです。お金に対して堅実な日本人気質に合った方向性だと思います。

こうなると何が起きるか。

まずは小売り・サービス業の寡占化でしょう。もちろん、現金を支払いに使う習慣が完全になくならない以上、商品の品ぞろえやサービスが個性的な小さな店も残りますが、中途半端な、あるいは顧客から特別に支持される要素がない店は淘汰が進む要因が1つ増えます。消費者にとって、キャッシュレスは安全で面倒なく、ポイントなどのサービスでお得というメリットがありますが、店側がTポイントカードや交通カードのような企業グループ横断型のカードを自店に導入しようと思っても、様々なハードルがあり、中小企業にとっては簡単ではありません。

さらにカードを発行している事業者側が、有効にマーケティングデータを活用し、顧客ニーズに応える品ぞろえやサービスを導入できるようになれば、差は歴然としてくると思います。

もう一つ、注目したいのは、所謂昔ながらのスーパーマーケットのチラシが通用しなくなるのではないかということです。単品で他店より安い商品を特売品として並べて売り出すやり方です。現時点ではまだスーパーのチラシは人気があり、チェリーピッカーと呼ばれる消費行動もなくなってはいないのですが、電子マネーにはそれを減らす作用があると思っています。

電子マネーと単品の安売りの相性は、あまりよくありません。まず現金を出さないので、どうしても買い物が大ざっぱになりがち。だからといって、値引きに関心がないわけではなく、イオンが月に2回だかやっているカード会員5%割引のようなざっくりの方がお得感があるようです。いつもそれをやっているときは、レジが混んでいますし、逆に単品安売りに並んでいるのは高齢者が多いようです。

これは電子マネーのせいというより、働く女性が増えて、1円でも安いものを求めて買い回りする時間の余裕がないのかもしれませんが。高齢者だって、何店舗も回る元気は損なわれていきますから、単品での価格競争は、難しい時代になっていくのではないでしょうか。

電子マネーの家計管理は、1カ月の最初に(給料日の後でもいいですが)、1カ月分の食費・日用品費を一度に入れておき、月が終わるまでもたせるといった形でやるのが効率的な気がします。今でも可能かもしれませんが、自宅のPCやスマホアプリなどと連動し、購買履歴がそのまま自動的に送られてきて家計簿のフォーマットに落とし込まれれば、なお楽なのではないでしょうか。住居費のような1カ月に1度の大きなお金はともかく、日々のこまごまとした買い物をつけるのは面倒ですから、クレジットカードの明細で家計管理をしている人がいるように、プリペイドの電子マネーも顧客本人と購買履歴を楽に共有できれば、利便性は増すと思います。


ITで健康管理

2015-10-11 23:24:32 | マーケティング

以前、fitbitについて書きました。(→fitbitの使用感

これは今も歩数と睡眠と運動の管理には使用しています(食事管理は使い勝手が悪すぎて使用中断)が、最近入会したフィットネスクラブは、デジタルで会員の運動量を管理してくれます。会員一人ひとりにキー型の専用デバイスが手渡され、あらかじめガイダンスでジムでの運動をプログラムし、その媒体に記録しておきます。ジムで使用するマシンには、キーの差し込み口があり、例えばランニングマシンなら液晶画面のスタートを押すと、勝手に事前設定どおりのスピードで動き出すのです。

さらに自分のメールアドレスを登録しておくと、1週間ごとに実際にマシンを使った記録をまとめて、何km走った、何回腹筋用の機械を使ったといったことから、消費カロリーに至るまで送られてきます。マシンはイタリア製のものらしく、この前まで会員だったクラブの古いものからは明らかにランクアップしています。単にIT管理できるだけでなく、ランニングや自転車などの液晶画面のメニューも豊富で、テレビのほか、You-Tubeなどのコンテンツ、その道を走っている気分になれるストリートビューのような機能もついています。そのストリートビューのような画面に設定すると、アップダウンもその道の高低差に合わせて変化するようです。

ジム通いは以前から結構していましたが、新旧の差でマシンや設備のきれいさに差はあっても、技術的な進化を明確に感じたのは個人的には初めてでした。もっとも知らないだけで、最近オープンしている施設は、だいたいこの手のマシンが入っているのかもしれませんが。

とはいえ、fitbitも最新のジムマシンも、まだ進化の余地は十分にあります。IT技術の多角的活用の黎明期が終わり、ようやく第2段階途中といったところに思えます。

実現可能性を度外視していえば、食事管理は装着しているだけで自動的に、栄養素までは無理でもせめてカロリー摂取だけでもできれば、ウエアラブル端末としてより使えるものになります。

これは技術的にはいまや容易だし単体では実用化されていますが、GPS機能を搭載し、さらに完全防水にしたら、徘徊のリスクのある高齢者の健康管理と兼ねて使用できます。

さらに、これは別の問題も含むでしょうが、ときどき性犯罪者の再犯時に話題が出るGPS装着(アメリカなどでは実施され、日本でも導入が検討されている)でも、この形で目立たないデザインにすれば、更生者の人権にも多少寄与するし、防犯にもなるのではないでしょうか。たとえば、どこにいるかだけでなく、心拍数が異常に上がったら、近隣の交番や警察署に注意喚起の通報がいくとか。もっとも心拍数が何で上がったかまでわからなければ、抑止効果を超えて犯歴者の行動を制限するので難しいかもしれませんが、現在の技術を改善したうえで実施するというのはありだと思います。

ネガティブな例ばかりになりましたが、子どもの運動管理にも使えます。体育の授業などで、多様な能力、体力の子どもを一斉に走らせて、順位を争わせることも、個人的には勝気や競争心を植えつける教育として否定はしません。体育が得意な子にとっては、それが自信にもなります。

一方で、体力がほかの子よりない子どもに大して自分のペースで体力づくりをさせるために、こうした技術を活用することもよいことだと思います。「この子は運動音痴だからしょうがない」で片付けるのは、体育(教育)とはいえません。幼い頃から学生時代に培った基礎体力やスポーツの技能は、別にそれを職業にしなくても、一生の財産になります。

IT分野の可能性は、いまだ未知数です。今後の進化に期待ができる分野の一つであることには違いないと思っています。


色を失くす街づくり

2015-10-08 23:47:45 | マーケティング

久しぶりに訪れた天王寺・阿倍野地区は、おかしなことになっていました。いや、もともとある意味、ふつうではない雰囲気ではありましたが、そういう特色、色合いを少なくとも駅前からは、すべて消し去り、ここが大阪の天王寺であることすらも忘れさせる無色透明の商業タウンにしてしまったようです。

あべのハルカス。開業当初こそ、話題にのぼりましたが、今どうなのでしょう。下層階の商業ゾーンを近鉄百貨店で埋めても、今後持つのでしょうか。

このあたりは、横浜郊外の商業施設といわれても、幕張といわれても、一見するだけならそうかなと思える低層の商業施設エリアです。

駅もきれいに。

ハルカス同様、渋谷109が入るなど、開業当初は話題になったCUES TOWNです。

109については、確かにテナントは同じ感じかもしれませんが、やはりきれいにまとまりすぎて、あの本家渋谷のいい意味での猥雑感、やかましさ、せせこましさがありません。店員と客の距離感も何か遠くに感じます。本来、大阪の方が得意なはずのべったり感がなく、スマートというより無個性に陥っているのが残念です。

天王寺公園のエントランス付近が随分きれいになっていました。ボーネルンドのアンテナショップのような施設があるのにも驚きです。しかも唯一見た行列がここでした。

園内も奥まったところまで、ゴミがほとんど落ちておらず、相当努力して管理されているのではないかと思います。

徐々に人通りが途絶え、やがて新世界へ。

この街の色も、映画のセットのような感じがして、少し作られた感がありました。おそらくですが、観光客が増え、たとえば表通りの飲食店(串揚げ屋とかホルモン屋とか)の提灯や什器、装飾品の数々が真新しく整備されているのです。人は簡単に変われないので、明らかに怪しげな人も歩いてはいましたが、全般的に少なくとも昼間は安全な街になってきているのではないでしょうか。

本当のこの街特有の匂いや色は、裏通りやさらに郊外にあるのだと思います。実際に、少し賑わいから外れると、何かやばくなるところは、昔から変わらず。

街を美しく健康的に安全にしたい行政と、没個性を嫌う住民気質のせめぎ合いはどこにでもあると思います。また、開発や整備、美化で追いやられる人も出てきます。その街と過去にかかわり、思い入れがある人のわがままでは、変化を止めることはできませんが、今ここで生きている人の思いを無視した開発が、街のサスティナビリティに繋がるのかは疑問があります。