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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

ネット社会でリアルシーンの価値は上がっている

2016-12-05 23:16:04 | トレンド

ダリ展がまもなく終わるので、土曜日夜の観劇の前に行こうと、国立新美術館に立ち寄ったら50分待ちということで断念しました。かといって、開演時間まで3時間は長いということで、さほど関心は薄かったのですが、近くの六本木ヒルズまで行き、マリーアントワネット展を、と思ったら、ダリ展ほどではないまでも、10分以上の待ち時間で大混雑。土曜日とはいえ、かつて美術館がどこもかしこも大混雑ということがあったでしょうか。

そのあとに出かけた決してメジャーとも言いきれない本多劇場の舞台もおおかた満席。ちょっとでもメジャーな俳優(といっても、元来テレビ俳優ではない井上芳雄さんあたりでも)が出る舞台なら、チケットを取ることも難しい状況です。

2週間ほど前に所用ついでに立ち寄った京都は、テーマパーク並みの混雑で、駅前の喧騒は違う街に来たようで、東京の丸の内口の方がよほど落ち着いて感じました。

この写真の後ろには、老若男女、多国籍の人・人・人……これは外国人観光客の急増が理由と説明もつきますが、美術やあるいは日本語力が問われる舞台に関してはなおのこと、観客のほとんどが日本人です。私は行きませんが、寄席もなかなか流行っているようです。

秋口に友人に誘われて行ったTOKYO FMの音楽ライブも大盛況。ラジオ×ライブなんてアナログの極みですけどね。さらにスポンサーがJALで、飛行機に乗って旅に出ましょうという企画物ですから、いわゆるすべてがコト消費に結びついています。その友人とももとを正せば、旅先で出会いました。コトが人と人とのつながりを生む。まさにアナログな感じはしますが、その後のつながりはLINEをとおして、です。

最近はネットでまじめな出会いを求め、結婚する人もいるみたいですが、それにしても実際にどこかで会わなければ結婚には至らないでしょう。

モノ消費からコト消費へと、今さらながら時々物品が売れなくなった言い訳のように出てきますが、この現象はすでにバブル景気が陰りを見せ始めたころ、つまり四半世紀前から言われていました。そのころは身近にインターネットはありませんでした。もし本当に現代社会でコト消費が結実しているとしたら、それはIT社会がもたらした効用だと思うのです。

エンターテイメント業界は、マスメディアもメディアミックスや提携で情報力を高めていますが、それがネットで拡散することで、格段に情報量が増え、人々に共有されはじめたことで、ここに行きたい、これを見たい、という欲求に直結するようになりました。最初からこれを見たいと思っている人にとっても、その情報を簡単に得られ、ぽちっとすることでチケットが買えます。

Google Earthやストリートビューが流行り出したころに、それで満足して旅に出る人が減るという人もいましたが、そんな人は何もなくても旅には出ません。旅行をしないほかの理由があると思います。人は経験や感性の中で、リアルとバーチャルの違いをわかっているはずです。知れば、より体験したくなる方が健全であり、子どもに対してはそういう教育、大人に対してはそういうマーケティングが必要です。

若い人に車が売れなくなった理由を社会のIT化に求める向きがありますが、それは違うでしょう。社会構造や環境が変わったからです。明日必ず給料が上がる保証がない不安定化した雇用のなかで、住宅費はさほど下がっているわけでなければ、都市部の若い人が車というローンや固定費(駐車場代、保険代)がかかるものを買おうと思うわけがありません。

心が動く体験を伴わないモノや、買うことで何か我慢を伴うモノは、この先もなかなか売れないのではないでしょうか。


ポケモンGOは今のままではゲームユーザーのすそ野を広げられないのではないか

2016-07-25 00:12:33 | トレンド

うまいですよね、プロモーション。いえ、ノンペイドのパブリシティの力でしょうか。ここ1~2週間で急激に認知度が上がったにもかかわらず、なかなか日本では配信されなかったポケモンGOが22日にとうとうリリースされ、早速サーバーダウンまで起こしました。

私的には何かのテレビ番組で、NYCのセントラルパークだったと思いますが、大人がスマホ片手に一生懸命ポケモンを探している様子がうつされているのを観たのが認知のきっかけでした。

多少プレス効果を狙って盛ってあるにしても、よその国のことながら異様な感じがしました。昔、日本人のスーツ姿の男性ビジネスマンが電車の中でマンガを読んでいるってバカにしていたのは、欧米諸国の皆さんではなかったでしょうか。

確かに内戦やクーデターに見舞われていたり、独裁政治に苦しんでいたり、食べるものにも事欠く世界に生きる人々よりは、今は恵まれているのかもしれません。早速皮肉にもシリアの子どもたちが、ポケモンのキャラのイラストを持ち、「僕(私)を探してください」とアピールする画像がSNS上に出ています。

もちろんゲームやコミックは立派な文化であり、産業です。人間の命にとって重要なことだけで、世の中は回っているわけではないのですから。

さらにいえば、これまでインドア主流だったバーチャルゲームの世界が外に飛び出したことで、地域活性化のきっかけになるのではないか、オタクがひきこもるよりいいのではないか(アメリカあたりだと肥満解消効果?)なんてことも言われています。

でも正直、気持ち悪かったです。ちょうど金曜夕方の退勤時間帯、いつもより歩きスマホの人が多くて。もちろん中にはいつもどおり地図を見ている人、LINEやメールをチェックしている人もいるわけですが、明らかにポケモンGOをやっている人も結構いました。そして日本配信後、初の土日の昨日と今日。心なしか歩きスマホが金曜より減っていたような気もしました。もう飽きたってことはないでしょうから、気のせいか外出先や時間帯が違ったからかもしれませんが。

ただ、私はポケモンGOをはじめとする位置情報ゲームのポテンシャルには懐疑的です。

今後ポケモンGOにしろ、先行していたコロプラもそうですが、位置情報ゲームの世界が進化し定着するためには、大きく2つの方向性に導くことが必要だと思います。

1つはユーザーのすそ野を広げること。パズル系ゲームやSNSサービス、コミックやアニメが何やかんやいって強いのは、これまで主ターゲットだった若い世代や子ども、ゲームでいえばゲーマーと呼ばれるヘビーユーザーだけではなく、性別、年齢を問わず、すそ野を広げたからです。

もう1つは、内にこもっていたゲーマーたちを外におびき出し、別の消費をさせることです。マクドナルドが早速先鞭をつけましたが、本当に地方活性化にまで生かすことができるのかと考えれば、簡単ではありません。

彼らのゲーム以外に使える(使いたい)可処分所得はそれほど多くはないと思います。現にケータイが登場以降、酒を飲む若い人が減った、車を買う若い人が減ったと言われているように、個人が生活必需品や固定費以外に使えるお金はそれほど多くないし、多くない人ほど比較的安価で日常的に参加できる娯楽に流れているともいえます。

NYCのセントラルパークに人が集まるのは、マンハッタンのど真ん中の便利な場所にあり、入場料がタダだからです。放っておいても人が集う場所に、より多くの人が来ているだけです。

いち早くポケモンGO禁止を打ち出した出雲大社や運営会社に抗議をしたというアウシュビッツ博物館のあり方のほうが正しいし、そういう場所に魅力を感じます。信仰や慰霊の場、あるいは博物館や美術館にはよけいなものはいないほうがいいのです。その場所の主ターゲットや、その場所にある目的やコンセプトが、ゲーマーと対立する、あるいはゲーマーが邪魔なものだと成立しづらいと思います。

では、パズル系ゲームのように、ユーザーそのもののすそ野を広げることができるのでしょうか。そこはゲームの世界を外に出したことがアダになるように感じています。

スマホゲームやコンピュータゲームに関していえば、麻雀や囲碁将棋のコンピュータゲームまで入れれば、老若男女はまりこそしなくてもやってみたことくらいはあると思うのです。でもそれは電車などでの移動時間や仕事の合間など、空いた時間に気軽にできるからでしょう。あるいは人知れずこっそりできるからです。貴重な余暇にわざわざ外出して、堂々とポケモンキャラを探すのは、今はまだ世間に熱がある時期なのでともかく、沈静化した後は恥ずかしいし、面倒くさいと思います。

では親子で楽しめるツールになるのか。テレビのインタビューで若いお父さんが「子どもに禁止している以上、自分はやりたくてもできない」と答えていました。もちろん、こんなにしっかりしたお父さんやお母さんばかりではないと思いますが、歩きスマホや課金による経済的負担、依存症懸念など、問題も多いスマホゲームを喜んでやらせたい親もそんなにいないでしょう。

そう考えれば、今後の進化の方向性は、限られたユーザーの1ゲームのカテゴリーとして、マイナーチェンジや精度アップなどをしながら静かに生き続けるか、歩きスマホのリスクをおかしながら意味なく街や公園を歩き回らなくても楽しめる、あるいはウォーキングやジョギングの趣味とうまく結びつけられるコンテンツを開発するなど、画期的な変化を遂げて一気にユーザー層を広げるか、2つに1つのような気がします。

ちなみに私も試しにダウンロードはしてみましたが、よくわからないキャラを1つだけなぜか家の中でつかまえたきり、外では使っていません。決して引きこもりではありませんが、そもそもポケモンキャラは、ピカチュー以外知らないので。


昼のセント酒とデザイナーズ銭湯

2016-05-18 23:49:44 | トレンド

テレビ東京の深夜枠で『昼のセント酒』という何ともゆるいドラマをやっています。『孤独のグルメ』と同じ原作者のコミックをドラマ化したもので、個人的にはセント酒の方が面白いと思います。もちろん主役の戸次重幸さんが毎回脱ぐというのを含んでですが、それはそれとして……。

ただ、個人的には番組に出てくる銭湯のほとんどには行きたいと思いません。小さかったころは、銭湯通いだったと記憶していますが、ある時期からずっと家風呂で、一人暮らしを始めてからも狭いワンルームマンション暮らしこそ経験しましたが、風呂なしアパートはなかったので、あの雰囲気はどうも馴染めないと思うのです。むろん、番組に出てくるのは男湯だけで、女湯はまた違うでしょうが。

それでも温泉こそたまに行きますが、好きで好きでしょうがないということではなく、付き合いで行くレベル。風呂のあるスポーツクラブの会員に入っていたときも、一度も湯船につかったことはなく、サウナとシャワールームを利用していました。

だからというわけではありませんが、コミックやドラマこそ静かな人気を呼んだとしても、実際の銭湯はどうなのだろうと、ちょっと思っていました。毎日営業するには維持費もかかりそうですから、それなりの客数を見込めないと難しいのではないか。うちの近くにもないですし、古い商店同様、後継者不足もあり、どんどん消えていくのではないかと……。

そんなとき、たまたまtabというトレンド雑誌風のおでかけアプリにアクセスしたら、黒湯湧き出る「デザイナーズ銭湯」というワードが出てきました。スーパー銭湯やスパ、都市型温泉ではなく、あくまで料金は大人460円の銭湯です。ちなみに紹介されていたのは、「北品川温泉 天神湯」ですが、ほかにも近年にリニューアルし、おしゃれなスパや温泉風の内装で、ウェブサイトなどでもちゃんと情報発信をしている銭湯がいくつかあるようです。

考えてみれば、都市部には風呂なしアパートというのは存在するわけで、銭湯が完全になくなっては困るし、かといって経営者サイドもビジネスとして成り立たなくては続かない。ならば工夫をして、普段は家風呂の人もたまにはスパほど頑張らず気軽に行ける銭湯となって事業を続けていこうということなのでしょうか。温泉やスパのようにシャンプーリンスを備え付け(有料の場合も多いようです)にするなど、昔ながらの銭湯ではなかったサービスも必要で、簡単な商売ではないでしょう。

まさに変化なくしては継続も難しいのだと思いますが、翻ってどんなに逆風でも変化を恐れなければ、また投資ができれば、業種そのものは伝統的ビジネスであっても絶えることはないとも言えます。


地域のブランド力とふるさと納税

2015-12-06 22:46:46 | トレンド

今年度の申告分からふるさと納税の控除枠が倍増されています。去年12月の月末に駆け込み、その反省(?)から今年は11月からボチボチふるさと納税のポータルサイトを見ていたのですが、何だかポイント制ができていたり、去年より複雑化してわかりにくくなっています。

申告の簡素化を促進するために、ワンストップ特例制度なるものも始まっています。よく説明を読まずにある自治体にチェックを入れて納税すると、申請書が送られてきたのですが、その申請書を納税した自治体に返送する必要があるようです。結局、私は対象外なので利用しないのですが、確定申告をするよりは便利には違いないです。

去年はぎりぎりだったこともあり、また、物より人間ドック(納税の特典が人間ドックだった)と1自治体に集中しましたが、今年は少し日程に余裕があるのでばらすことにしました。当面、2つの自治体に分けたのですが、物の特典で選ぶとなると、コメはお米がおいしそうなところでなじみがある(一度でも行ったことがあるとか)自治体、ワインは言わずもがなのワインの産地と考えました。

日ごろからどう地域ブランド、あるいは地域の産物のブランドを確立しているかが、こういったときにも表れるのではないかと思います。

ふるさと納税の特典合戦には批判的な論調もあります。しかし、現実問題として、大きな災害に見舞われた被災地など特別な事情がある地域を除いて、誰が縁もゆかりもない自治体に税金(寄付金)を納めるでしょうか。被災地であっても、報道が集中している場所ばかりに支援が集まることは、東日本大震災の際に教訓として残っているはずです。もともと知名度がない小さな自治体は危機にあっても取り残されるのです。多少、精神性という点で疑問であっても、地域に税金が分散し、なおかつ地域産品を通じて、その町を知ってもらうきっかけになるなら、何の問題もないと思うのですが。

ふるさと納税なのだから、生まれ故郷に納めるのが筋だと、この制度が始まったころは思わなくもなかったですが、冷静に考えれば過疎化は加速度を増しているかもしれないけれど、過疎地は50年前もそこそこ過疎地だったわけです。私自身もそうですが、いま、東京で暮らしていて、出身地を聞くと、たいていは関東圏の地方都市や町村か、地方の大都市出身です。たとえば、札幌や名古屋、大阪、福岡。生まれている絶対数が少ない地域は、他地域に輩出している人の絶対数も少ないわけです。仮に住民税額からの控除が見込める全員が、ふるさと納税をふるさとに納めたとしたら、結局税収は偏り、税の分散化は進まないのではないでしょうか。

内心、この制度が増長することで、憤慨する自治体があるとすれば、大都市圏の中でも法人税の比率が低いベッドタウンでしょう。扶養控除などもともと引かれる控除額が少ない勤労者の小世帯の税収ほど多額に削られるわけです。こういう世帯は、税金で支えなければならない住民サービスを受ける量や種類が少ない。つまり、行政サイドでみれば、コストパフォーマンスが良い住民です(口が裂けてもそうは言わないでしょうが)。

加熱しすぎると、こうした自治体も対策を考えるか、ふるさと納税の競争に参加するしかないかもしれません。実際、国立市、立川市あたりは頑張っています。地域の伝統工芸製品が豊富な墨田区も。


アスレジャー――無理やり感のあるファッショントレンド

2015-11-04 23:40:06 | トレンド

アスレジャーという造語をご存じでしょうか。私はほんの数日前に知りました。

AthleticsとLeisureを組み合わせたそうで、要するにアスレチックで着る服を街でも着ることらしいです。本当かどうか、北米(ニューヨークあたり?)で需要が伸び、日本でもJUNとNIKEがコラボで新ブランドを立ち上げ、フラッグシップストアとなる「NERGY SHIBUYA」が9月にオープンしたそうです。

出典: http://www.gettyimages.co.jp

これはちょっと無理がある気がしますが、私もテニスウェアではそのまま地下鉄に乗っています。あくまでテニスに行くときではありますが、着替えるのが面倒だからです。ファッションではありません。

アスレジャーの前は「ノームコア」がトレンドだったそうです。要するに普段着です。どう理屈をこねても、普段着だと思います。

服って、何だか面倒くさいものになってしまい、ライフスタイルの軸にはなっていない感じがあります。アスレジャーにしても、要するに「アスレチック」がコアにあるわけです。ヨガやピラティスなどフィットネスを整えるアスレチックをライフスタイルに取り入れていることが格好いいのであって、その服装のまま、買い物に行ったり街を出歩くことは本当は全然格好良くありません。

服を服として、ファッションをファッションとしては売れない。「素敵に着こなしましょう」だけでは訴求できない今のアパレル業界の厳しさが表われているように思います。