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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

夏休み終盤に旅行のCM

2009-08-23 17:15:04 | まち歩き

今年はもう鍋物とブーツが売れているらしい。ブーツを夏にはく傾向は数年前からあったような気がするし、夏でも冷えた部屋の中であたたかいものを食べることもなくはなかった。でもそれに加えて、今年の夏は本格的に暑くなかったということ。でも冷夏ともちょっと違う。いつにも増して変な天気で、災害も多かった。鍋物がよく食べられるのも、高騰している土の野菜に比べて、人工栽培品の代表格であるえのき、しめじなどが安定供給されているからだそうだ。

と同時に、テレビCMで近隣アジアへの秋の旅行のキャンペーン広告が目立つようになっている。最初は台風での観光客落ち込みを恐れた(台風で甚大な被害をこうむったのは日本人がよく行く台北ではなく、高雄など台南部)台北だけかと思ったら、そうでもないようだ。考えてみれば今年は秋のGWとも言える5連休がある。毎年こうなるのかと思ったらそうでもないらしく、今年の9月22日は特別らしい。ここで近隣アジアへの旅行にぜひ行ってほしいというのは、国内旅行関連業者だけでなく外国の観光協会の願いだと思うが、春のGW直前と同じく新型インフルという逆風も吹きつつある。

内需拡大と言っても、モノがモノとしてなかなか売れなくなった今、どうにか人を動かし経済を活性化し、ひいてはモノもいっしょに売っていく方法はないかと、さまざまなセクターが知恵を絞っているように思う。機に乗じて休みを増やすのも、高速道路を1千円にするのも、なんとなく今回新型インフル報道が地味なのも、一面的にはそういう意図もあるだろう。でも天候やウィルスという自然や得体のしれない病原の脅威には勝てないかもしれない。

今年の夏は暑くなかった。台風や地震がなければ、自然に恩恵に遠い、いわゆる都会に過ごす人には過ごしやすい夏だったかもしれない。でも夏はやはり太陽が降り注ぎ、気温が上がらなければ気持ち悪いし暗くなる。農作物が順調に育ち、災害がなく、熱中症にならないくらいにちょうどいい暑さの夏は、もはや願うだけではやってこないということかも。


忘れていたブランド

2009-06-19 01:20:07 | まち歩き

今日ひっそりとこんなニュースをネットで発見した。

エディー・バウアー破産法適用を申請・・・

企業の破産や更正法等申請のニュースには敏感な私も、一瞬このニュースを見て思った。

「エディー・バウアーって何だっけ?ジャック・バウアー?」 間をおいて思い出した。ああ、そんなアメリカのブランドがあったと。特にファッションとか、コンシューマー相手で流行り廃りの激しいビジネスって厳しいと実感。確かにエディー・バウアーが日本で爆発的に人気だった時期はなかったかもしれないが、一定のポジションは築いていたと思う。私も特別な思い入れはないけれど、24の主人公の名前とごっちゃになるほど、認知が曖昧だったということはない。

でもさまざまなブランドや企業から海外からも入ってきて、すっかり記憶は色あせ、プレゼンスを失っていた。消費者に常に注目され続けるというのは並大抵のことではない。

日本のファッションブランドで老舗と言えるものはあまり思いつかない。優れた著名デザイナーは何人かいるが、デザイナーが変わっても受け継がれていくブランド、例えばエルメスやシャネルに代わるものが思いつかない。もっとも洋装文化そのものが定着してしょせん100年程度なのだから、100年を老舗の一区切りとするとその時点で難しいわけだが…。

吉田カバンは70年くらい?一澤帆布でようやく100年。そう思うと例のゴタゴタが残念な気もするが、欧州ブランドでもお家騒動はあった。さてサマンサタバサは100年後あるのだろうか?ユニクロは?時代の文化でもあるファッションに、いわゆる企業におけるゴーイング・コンサーンを求めるのがいいのかどうかはよくわからないけれど。


無料効果のほど

2009-06-02 03:53:38 | まち歩き

先日明治通り沿いのファッション店が買わずにOKな抽選会をしていたというを書いたが、そのときも明らかにターゲットとは異なる年配の女性が並んでいた。その後無料話が2件、ニュースになっていた。一つは虎ノ門の無料おかきカフェ(播磨屋が運営)、一つは銀座にあるフランスの宝飾ブランド「モーブッサン」のダイヤモンドの5,000人への無料配布

いずれも知名度アップという意味では、効果抜群。おかきに至ってはその場で買っている人も多いようなので、大掛かりなサンプリングと思えば良いかもしれない。経費は継続するのでダイヤを配るより大きいと思うが。

でもダイヤはいかにも苦肉の策で、ブランドイメージを損ねているような気もする。MAUBOUSSINって日本語読みをすると何だかダサくて日本での知名度はいまいちでも、老舗の高級ジュエリーブランド。こんなことしちゃって大丈夫なのだろうか。おかきと違って、タダで食べたから「悪いからお土産に買って帰りましょう」というようなものでもないし、朝早くからどの程度普段ダイヤモンドを気楽に買う層、これから買ってくれそうな層が並んだのかも疑問。単なるPR効果としても、むしろ顧客層からしてみれば、そんな安っぽいPRをするブランドへの憧憬は薄れるのではないか?

話は変わるが、私の個人アドレスに時々ルイ・ヴィトンから販促のe-mailが来るようになった。最近直営店で買ったといえば、年に1回の手帳のレフィルくらいなので、郵送で豪華なDMを送るほどの客ではないという判断なのだろう。比較的最近バッグを買った別のブランドはちゃんとした豪華なDMが来るので、ヴィトンだってそういうものを作っているはずだ。

別に郵送DMがほしいわけではないが、e-mailでタイトルにルイ・ヴィトンとあると、瞬間的にコピー商品を売りつける迷惑メールと勘違いしてしまい(そういうものも来るので)、中身までしっかり読まない。メールマーケティングを一段下に見るわけではないが、むやみやたら迷惑メールが飛び交う世界であることは確か。ヴィトンの直営店は余計なことをしないほうがいいのではないかと個人的には考える。

それと同じで無料配布も高級ブランドではいかがなものか。以前エコバッグに行列を作らせたブランドがあったが、あれはちゃんと高いお金をとって売っていた。ダイヤモンドは、採掘やトレードの過程でさまざまな問題を抱えていることが周知されている。だからといって、消費者側が購入することやプレゼントでもらうこと自体一切に抵抗感を持つのは、過剰反応とは思う。食品同様、トレーサビリティを確認するのは悪いことではないが…。でもたとえクズダイヤだろうが、高級品だろうが、あるいは正常な取引を経たものであろうが、世界的な老舗ブランドが単なる販促目的でタダで配っては、ブランドはもとよりダイヤモンドそのものののイメージを損ねるような気がする。


南国フルーツ

2009-06-01 00:57:34 | まち歩き

土曜日に伊勢丹の地下でマンゴスチン5個入りを1,000円で買った。これが高いか安いかは別として、日本でマンゴスチンを買うことにコリゴリだったけれど、「伊勢丹なら」と試すような気分で買ったら、見事に食べごろ。正解だった。

マンゴスチンは東南アジアではタダみたいな値段で売っている。昨年行ったホーチミンでも行商のオバサンが大量に販売していたが、ホテルの朝食のバイキングには出なかった。向こうの国にとってみればホテルに出すに足るものではないからだろうか。輸入を禁止している米国に配慮しているとも思えないし、実は日本や欧州では価値の高いものとは知らないのではないか。香港やタイは観光客慣れしているのか、恭しく供されることを考えればそうだと思う。ちなみにドラゴンフルーツも最近結構東京でも売っているが、ドラゴンフルーツは沖縄でも簡単に生産できるらしい(勝手に庭に生ると言っていた人もいた)。せめて沖縄県内では安く売ってほしいと思うが、国際通りなどの観光客相手の店では高値がついている。

余談はさておき日本でこれを買うと、食べる実の小ささに反して高すぎる。それだけでなく、青果を売る技術を持たない店で買うと、あたりはずれが大きすぎる。何度か腐ったもの、時間が経過しすぎて皮が硬くなり切ることすらできなかったものをつかまされた。

生鮮の売り場やバックヤードにはプロが必ず必要だと言われている。魚に至ってはさばいて、上手に刺身の盛り付けができないと、スーパーでも通用しない。ところが買い付けも売り方も比較的簡単なはずの青果類に落とし穴がある。劣化は食べる段になって消費者が簡単に気づくので、深刻な食中毒が少ないということもあるのもしれない。

それでも古くから日本で生産している青果は、さすがに売る側にも経験があり、あまり心配はないが、珍しい輸入物は危ない。いまやフードマイレージが問題になる時代、物流費がかかる輸入品を買うなと言われればそれまでだが、昔から定番だったバナナもほとんど輸入。国産でも最近では生産しているみたいだけど、あまりこの辺では見かけない。


ブームはつくられる

2009-05-31 10:35:06 | まち歩き

  

土曜日、用事があり、明治神宮前ラフォーレ近くで地下鉄を降りた。まだ昼ごろだったが、人出がすごい。その多くがFOREVER21H&Mに向かう。約束の時間まで間があったので、両方に入った。H&Mは銀座店を入れて3回目だが、一番込んでいたように思った。もちろんオープニング時を除いてだから、FOREVER21効果なのだろう。隣接しているこの2店舗のシナジーとプラス ラフォーレで、原宿周辺の人出がここに集中している。

FOREVER21はさすがにまだ店内はイモ洗い状態。探せば21歳でなくても着られそうなアイテムはあるにはあるが、やっぱりH&Mやその他の競合と比べて安いけど、違和感がある。ちょうど21歳の頃、初めてまさにLAに行き、巨大なデパートかGMS(JCペニーかMacy'sだったような)で服を見た時の違和感と似ている。大量に陳列されている色とりどり、大味のデザインでテロテロの素材の服や服飾品。そっけない接客と縫製のよくないものが当たり前に紛れ込む店内。とても着られないと、その時は思った。

でもむしろ年齢的なギャップを感じるはずの今の方がそういう売り場を見ても平気になっている。それはそういう服や文化が、飛行機に乗らなくても東京の街中にあることに慣れたからだ。21歳の時には持っていなかったブランドのバッグやアクセサリーを今は持っているが、21歳の時には着なかったヤスモノの服も着ている。それは私だけでなく、アラフォーと一括りにされる女性たちは、使えるお金は少ないのに服にお金をかけていた時代を経ている人は多いと思う。

ちなみに用事があったのは、明治通りの渋谷方面。通りは一気に閑散として、あるファッション店の前では誰でも参加できる(買わなくても)抽選会をしていて、それでも人は少なかった。こんな一等地に大きな店を構えているのだから、この店にもブームはあったのだろう。ブームはつくることができるが、継続は難しい。

帰りに新宿で本屋に寄った。発売日に60万部以上が売れたという『1Q84』を持ち、レジに並ぶ人、人、人。今回のブームは完璧につくられた感があるが、この人のブームは今に始まったわけではない。私が最初に読んだのは『ノルウェイの森』だが、確か21歳くらいの時。活字離れといわれて久しいけれど、長年トップセールを維持する作家は彼以外にも何人かいる。『不毛地帯』が近々ドラマ化される山崎豊子さんもその一人。ブームというには失礼な感があるが、多くの人が質の高いものを好む傾向は確かにある。

ブームを仕掛ける側も、どこを狙うのか悩ましい。なぜなら私たちがFOREVER21の服を「着られるかも」と思うのと同様、リアルに21歳の人たちも山崎豊子原作のドラマをきっと観る。年齢でターゲットを計れないと言われて久しいけれど、まさにそんなことを実感する。