今年はもう鍋物とブーツが売れているらしい。ブーツを夏にはく傾向は数年前からあったような気がするし、夏でも冷えた部屋の中であたたかいものを食べることもなくはなかった。でもそれに加えて、今年の夏は本格的に暑くなかったということ。でも冷夏ともちょっと違う。いつにも増して変な天気で、災害も多かった。鍋物がよく食べられるのも、高騰している土の野菜に比べて、人工栽培品の代表格であるえのき、しめじなどが安定供給されているからだそうだ。
と同時に、テレビCMで近隣アジアへの秋の旅行のキャンペーン広告が目立つようになっている。最初は台風での観光客落ち込みを恐れた(台風で甚大な被害をこうむったのは日本人がよく行く台北ではなく、高雄など台南部)台北だけかと思ったら、そうでもないようだ。考えてみれば今年は秋のGWとも言える5連休がある。毎年こうなるのかと思ったらそうでもないらしく、今年の9月22日は特別らしい。ここで近隣アジアへの旅行にぜひ行ってほしいというのは、国内旅行関連業者だけでなく外国の観光協会の願いだと思うが、春のGW直前と同じく新型インフルという逆風も吹きつつある。
内需拡大と言っても、モノがモノとしてなかなか売れなくなった今、どうにか人を動かし経済を活性化し、ひいてはモノもいっしょに売っていく方法はないかと、さまざまなセクターが知恵を絞っているように思う。機に乗じて休みを増やすのも、高速道路を1千円にするのも、なんとなく今回新型インフル報道が地味なのも、一面的にはそういう意図もあるだろう。でも天候やウィルスという自然や得体のしれない病原の脅威には勝てないかもしれない。
今年の夏は暑くなかった。台風や地震がなければ、自然に恩恵に遠い、いわゆる都会に過ごす人には過ごしやすい夏だったかもしれない。でも夏はやはり太陽が降り注ぎ、気温が上がらなければ気持ち悪いし暗くなる。農作物が順調に育ち、災害がなく、熱中症にならないくらいにちょうどいい暑さの夏は、もはや願うだけではやってこないということかも。