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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

2017年はもっと寛容な社会に

2017-01-11 01:56:12 | 社会・経済

私が初めて旅行をした欧米の国はアメリカで、今から四半世紀以上さかのぼります。当時はとくにニューヨークやサンフランシスコのような都市部では、車椅子の人など体の不自由な方が、例えばスーツ姿で1人街を行き交う、そんな姿を見てさすが欧米の街のバリアフリー化と機会平等(いわゆるビジネスマンと見受けられたので)はずいぶん進んでいるなあと感心したものです。

その後、日本でも都市のバリアフリー化は幾分進化し、企業の障害者雇用も義務付けられています。おおかたのサービス業は、障害者を客として受け入れないということはないし、時折拒絶したことがニュースになり、その店や宿泊施設が批判の対象になっています。同じマンションにも盲導犬とともに1人で暮らす男性がいらっしゃいます。

それでも街を介添えなしに闊歩している障害者の方は少ないと感じますし、ベビーカーで交通機関を使う母親が堂々と批判され、保育所建設に苦情が出る社会をみていると、まだまだ非寛容ではないかと思わざるを得ません。

障害を持つ人と子どもや子育て中の人は違うと思われるかもしれませんが、根っこは同じです。体の不自由な人は批判しにくいが、多くの女性が通る道である子育て中の母親は批判しやすいからしているだけです。

新年早々、そんなことを感じたのは、正月に訪れた旅先で日本ではまず見られない光景を見たからです。都市部ではありません。健脚な若い人でもうっかり滑り落ちそうな岩道を周囲の人に支えられ、車輪付きのベッド(車椅子ではなくベッドです)に横たわった人が登っていったのです。

 

こんな道ですが、ここはましな方です。もっと狭いところや、階段になっていないところもありました。

顔立ちから欧米系外国人グループでしたが、その障害を持つ人がこの地にどれほどの思いを持っているのかは知る由はありません。

岩山登山のような場所の例を出すのは極論とも思いますが、たとえば京都のような観光都市であっても、ベッドのまま介添えしての観光というのは見たことがないし、車椅子の方ですら少ないと感じます。もちろん今回、岩山登山まで介添えしてきたのは、お仲間であり、受け入れた観光地でも社会でもありません。でもどこかの国から「どこでもドア」でやってきたわけではなく、飛行機に乗り、ホテルに泊まっているはずです。日本のエアやサービス業も断りはしないだろうけれども、受け入れる社会の側に寛容さがなければ、人は自然に行動できません。それは障害を持つ人に限らないことです。健康な人であっても、他人の視線を気にする社会です。

日本の社会は、高齢者、子育て中の人、生活保護世帯やそれに近い収入の親を持つ子どもたちなどに対して、ここまではいいけどここから先のことは望んではだめだと、当事者より前に赤の他人が線を引いているように思えてなりません。もちろん高齢者に際限なく運転免許を認めることで事故を起こされては困るので制限は必要でしょう。でも公共交通網がない地域の高齢者から車を奪えば、旅行の自由どころか病院や買い物にも行けません。もともと高齢であっても自分で運転できるくらい活発だった人が急に家にこもりきりになっては、認知症など病気や老いが進む要因にもなり得ます。

さらに問題なのは、所得の低い家の子どもに大学進学をあきらめさせるような論調です。大学どころか高校も贅沢だとSNSか何かで発信して批判されていた女性代議士もいました。教育の機会平等を贅沢ととらえる政治家が存在する国に明るい未来はありません。今の日本は先進国のはずです。心も先進国であってほしいし、自分もそうありたいと思います。


移民供給国と受け入れ国

2016-06-26 00:24:10 | 社会・経済

イギリスには行ったことがありますが、もう15年近く前です。飲食費も含め物価が高く食事がまずいという誰もが口にしそうなステレオタイプのイメージはわりとそのとおり。印象的だったのは大英博物館で、なんといっても無料というのが素晴らしいなあと……。泥棒博物館(植民地支配した国から持ってきたもの)だから入場料は取れないと本気で思っているのでしょうか。ウェストエンドでミュージカルも観ました。歴史のある劇場で、衣装もなんとなく地味なら、観客もブロードウェイや東京と比べても地味で、個人的には趣があって好きですが、華やいだ豊かさは感じなかったです。

当時も一般のイギリス人は、質素堅実だと言われていました。そもそも物価も税金も高いから、派手に暮らしたくてもそうはできないと。先進国のわりにインフラもイマイチとも聞きました。これはヨーロッパ全般に言えますが、古い建物が多いので、インフラ供給以前に設備自体が怪しい。鉄道事故が多いことでも、当時は有名でした。

ポーランドに行ったのは、今年ですから単純な比較をするのはどうかと思いますが、物価は安い、街はきれい、旧東欧だけあって大都市でも娯楽は少ないけれども、食事はまあおいしい(特筆すべきほどではありませんが)。要するにイギリスと格段の差は感じなかった。ちなみに住民の9割以上は白人です。旅行者も近隣ヨーロッパの人が多い。中東料理店はそこそこあったので、中東からの移民もゼロではないのでしょうが、西欧諸国に比べて圧倒的に少ないのは確かです。敬虔なカトリックの国なうえ、ユダヤ・イスラエルとの関係が深いですからね。どう考えてもイスラム教徒とは相容れません。ワルシャワの中東料理店で水タバコを吸っていた人たちは、ふだんは何をしているのか、今考えたら不思議なくらいです。

イギリスで今問題になっている移民のうち、ポーランド人は決して少なくありません。いわゆる難民は、ドイツ、フランスに比べれば少ないのに、移民率の増加は急激で、フランスを超えドイツとほぼ同水準までになりました。ちなみにポーランドは、移民供給国ともいえる近年EUに加盟した東欧諸国の中でも最も多い人口規模にもかかわらず、国内に産業が乏しい。例えば隣国ドイツの自動車工場などは結構進出しているみたいですが、投資は十分ではないようです。さらにいえば、高齢化しているアメリカを除く先進国と比べると、若年世代が多く教育水準が大学進学率が約8割と非常に高い(イギリス約6割、日本約5割)。高い教育水準で英語も学んだ若い人が多少低賃金でも移民として乗り込んでこられるわけです。

旧共産圏だから勤勉ではないとかサービス精神がないというのも今は昔で、とくに若い人は西欧の若者とたいして変わりません。軽さやポップさがないくらいです。

増え続ける移民に対するイギリスのEU離脱派の人の不満はわからなくはありません。そのうえ、移民供給国なのに表層的には自国と変わらず、豊かに見える。自国より大学進学率も高い。

でも中進国は発展の余地があるから進化し、先進国が頭打ちになるのは長い目で見れば悪いことではないはずです。平均点を引き上げていかなければ、数カ国の優等生が劣等生を支えるという今直面するEUの問題が世界規模で深刻化します。どこかで飢餓があろうと、内戦があろうと、伝染病が蔓延しようと、放っておけばいいという時代ではないと思います。まあ、国同士が統一したり過度にルールで縛り付けたりする必要はないですけどね。EUの理想論が過ぎた点も確かにあるでしょう。一方で、民主主義が未来に根ざしていることは、まずありません。

若い人にとっては、内需にそれほど力強さとボリュームがあるわけではないのに、単純労働の人件費までもが高騰し、さらに今以上に消費者物価が上がっては困るはずです。一時的に人件費が多少上がって職が得られても、輸出入にもれなく関税がかかり、外資の投資が逃げていけば、失業率も上がります。そもそもまともな国なら、今既にいる移民を簡単に追い出すことはできないでしょう。EUへの拠出金がなくなっても、それ以上のリターンが見込めるのか、それがイギリス人の豊かさにつながるのか疑問です。だからといって、義務を果たさず、貿易やビジネスにかかわる人の移動に関する協定だけ残すのはアンフェアです。

人、モノ、金の移動の自由は、イギリス人の自由でもあったはずです。移民や勤労者を一方通行に受け入れるだけでなく、他国に出ていきたい人、他国との交流の中で人生を見出す人も少なからずいると思います。それは決してグローバルビジネスで利益を上げる高所得者層に限らず、未来の生き方をこれから決めることができる若い人たちも同様でしょう。個人単位の意思というレベルで語れないところが、日本とイギリスの違いです。例えばスコットランドのように……とはいえ、スコットランドやロンドン市民の中にも離脱を選んだ人もいるわけで、それぞれの独立も簡単なことではありません。


世界は内向きになっているのではなく、もともと内向きなのでは?

2016-06-23 23:58:58 | 社会・経済

アメリカのトランプ旋風に続き、イギリスのEU離脱問題、そして日本の右傾化も進んでいます。

世界中、とくに先進国が内向きになっていると言われていますが、もともとグローバリズムの方がマイノリティなのだと思います。日本に住んでいると、アメリカなど多人種がうごめく社会は、いかにもグローバル化していると錯覚しがちですが、あれほど人心が内向的で巨大な「人種のつるぼ」はないと思います。一度も外国に出たことがない自国人(白人に限らず)、自国語(英語)以外の言葉を話せない自国人は、先進国内で最も多いはずです。まあ、これは人口ボリュームが多く面積も広いので、そりゃそうだろうという話ですが、グローバル化の恩恵を受けていると実感している人は少数派でしょう。

トランプ氏がせめて国民の約半分の女性に対して不用意な発言を繰り返さなければ、数の論理がものを言う直接選挙では、もっと有利にコトが運んだと思うのですが、今後の世界情勢を考えれば、彼が一定のボリュームを持つ女性、ヒスパニックなども敵に回した愚かさが幸と出ることを祈るのみです。イスラム教徒だけだと、まだ米国内ではマイノリティには違いないでしょうから。

日本にとって、身近なのはイギリスの方だと思います。アメリカに比べると、国土(島国であること含む)、経済規模を含む国力、議会制民主主義である点など諸々が近く、比較しやすい。王政ではないが、王室の存在もあり、国民性の質素堅実さにも、シンパシーを感じている人は多いでしょう。あれだけ歴史的に様々な国を植民地支配しておきながら、現代社会において内向きってどうなのよと感じる部分もあるのですが、過去の植民地支配とグローバリズムは違うものだから、とらわれたくないという気持ちが強いんでしょう。

政治でもビジネスでも、もし一般大衆の数の論理とマジョリティの感情だけで勝負が可能な土俵であれば、ナショナリズムを掲げ、内向きな施策を打ち出した方が勝つのが当たり前なのだということを見誤ると、大きな失敗を生みます。これを書いている今はまだイギリスの国民投票の行方はわかりませんが、もしEU離脱派が勝った場合、キャメロン首相が何がマジョリティなのか、そして人は現在目に見えている課題や嫌悪に対して動くのだということを見誤ったことになります。

個人的には残留派に勝ってもらいたいですね。もちろんアメリカに関していえば、トランプ氏にも負けてもらいたい。

自分が国際人などと言うつもりはないです。自国(日本)以外で生活をしたことはありません。ただ、今自分が生きる国で、少なくとも血筋や国籍面でマジョリティであること、女性であることも平等とは言えないけど、過去と比べればマシな時代に生まれたことは、ただの運命、もっと言えば偶然なのであって、権力に代わることではないと思うからです。日本人だからというだけで、日本社会の中で偉いわけではないのです。

マイノリティとして、もともと生きにくい社会の中で、懸命に居場所を見つけようとしている人をさらに排除する思想を持つ人に、大国のリーダーにはなってもらいたくないということです。EUの問題はそれとは構造は違うにしても、歴史や未来を無視して近視眼的現象にとらわれる過ぎている点は近いと思います。


軽減税率はだれのため?

2015-12-16 22:47:19 | 社会・経済

おおかた決まったことをとやかく書くのは好きではないですが、さすがにこればかりは不要だと今でも思います。

たまたまふつうか、やや余裕がある経済状態であろう人(男性・既婚)と、低所得層に入る人(女性・高齢者)に聞くと、食品の軽減税率について賛成だと言います。ようするに、税金は安くなるものなら少しでも安いほうがいいということなのだと思います。税に関する負担意識は所得によって、それほど変わらないのです。

しかし現代社会、人はパンのみで生きているわけではなく、前者の一般的な既婚男性にとっては、本来いちばんお金をかけなければいけないのは、子どもの教育費でしょうし、高齢者世帯にしてもそれほどエンゲル係数は高くないはずです。1カ月あたり外食と酒、日用品を除いた純然たる食費に5万円支払っている家庭は、一部の育ち盛りの子がたくさんいる家庭を除いては、それなりに裕福だと思います。その5万円の2%でも1,000円です。

もし軽減税率が、たとえ1カ月に1,000円以下の得であっても、救済しうる生活者のためを思っての政策だとしたら的外れではないでしょうか。月に1,000円では子ども1人塾に行かせることはできないし、学費の足しにもなりません。月に1,000円を15年間貯め続ければ、18万円プラス利子くらいになりますが、その頃の教育費がどういう制度になっているかわかりませんね。仮に今のままでも、私立への入学なら初年度の諸経費で終わります。年金から住宅にかかる費用を払い続けている高齢者は生活が大変だと思いますが、やはり住宅費用の足しにはなりません。個人や1家庭で考えれば、1カ月1,000円以下で解決できる問題は何もないのです。

しかし、たった2%をねん出する財源は膨大で、税収は全消費に対して10%かけることに比べれば、かなりの金額下がるわけです。法人税減税を合わせて考えれば、税収効果がより抑制されます。このことが将来の増税を早く呼び込むことになると想像できないでしょうか。逆にもし今後の増税をさらに先送りにすれば、いまのポリシーメーカーである中高齢層の政治、行政に携わるトップが逃げきったあとに、本物の悪夢が現実になるかもしれません。

いまの若い人たち、子どもが気の毒です。月1,000円(とは限りませんが)上乗せして払える人は払うべきだし、どうしてもそれが生死を左右する人にはあとから返すなり、別の措置で優遇をしたほうがいいでしょう。マイナンバー制度の導入で、本当にセーフティネットが必要な世帯を抽出することも、これまでよりはたやすくなるはずです。

よく外国では軽減税率が当たり前という話も聞きますが、欧州の多くの国のもともとの消費税率の高さは日本の比ではないです。日本と比率が変わらないアメリカの州でも軽減税率が導入されている場合があるそうですが、アメリカの方が数ドルが生死を左右するほどの貧困層の層は厚く深刻です。貧富の差は日本と比べ物にならないのです。ちなみに韓国は食品など必需品は非課税。ここまでやれば、国の財政への影響や是非を度外視して考えれば、1世帯あたり月1,000円の差ではないので、低所得層の救済効果はあるといえます。

そう考えれば、今回日本が導入しようとしている軽減税率はだれのためなのでしょうか。2%の得した感が消費を刺激するとも思えませんし、その分コメや野菜をたくさん買ってくれるわけでもないでしょう。むしろ2%余分に支払わなければならない商品やサービスに対する損した感による消費の冷え込みの方が大きいです。ファストフードは皆持って帰り、テイクアウトのない飲食店は客足が遠のくかもしれません。飲食店がみんな弁当販売を始めて、使い捨ての容器はたくさん売れるかもしれないので、そういう会社(容器メーカー)は儲かるかもしれませんね。一時的に……。


NISA1年目が終了

2014-12-29 20:38:23 | 社会・経済

しばらく株式投資はしていなかったのですが、今年再開したので、とりあえずNISA(少額投資非課税制度)口座を作りました。

NISA自体は、日本版ISAとして導入が検討されていた頃から、存在は知っていました。でもいざ、NISAを使って投資をしようとすると、こまごまとしたことがよくわかりません。今もよくわかっていないかもしれません。知識と活用の違いです。

例えば、営業にきた対面販売型の証券会社に口座をつくり、50万円分(年間限度額は100万円)投信を買い、残り50万円はネット証券で株式売買をしようとしても、それはできません。NISA口座は一つしか作れないからです。また、1年間で120万円を投資するなら、100万円をNISA口座、20万円は通常取引の口座と分けなければならないそうです。冷静に考えれば、それはそうだろうと思いますが、年間を通して投資を続けてうっかり100万円を超えてしまったら、同じ口座から課税分、非課税分を振り分けてくれると、何となく思い込んでいました。銀行の積立貯蓄や積み立て投信と違い、銘柄株式は価格に流動性があるので、ちょうど100万円というのは、結構難しいように思います。面倒くさいと思う人もいるかもしれません。

銘柄株の売買は、ネットの方が手数料面で明らかに得ですから、若い人を中心にその方が利用しやすいと思いますが、いざ新しい制度の口座をつくろうと思うと、専門家のアドバイスが欲しいような気もします。

そういうことも多少影響しているのか、1年目のNISA口座開設は、シニア層が圧倒的に多く、それほど若い世代の新規の投資、つまり制度がめざすところの「貯蓄から投資へ」が実現できていないようです。慣れている人にとっては、ネット証券でNISA口座をつくることは苦でなく、実はコールセンターでいろいろ教えてくれるようですが、初めて投資する人にはそこまで踏み込めないのかもしれません。

もっとも昨日取り上げたふるさと納税も2008年から始まって、しばらくは利用者も少なく、東日本大震災の年を契機として跳ね上がり、その後は下降はしたものの、また上昇傾向というのが実情のようです。

新制度は認知や理解までに時間がかかり、賛否両論も巻き起こります。そういう意味では、NISAも浸透するまで、時間がかかるかもしれません。