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大和路の曾津八一の歌碑を尋ねて(その2)

2013-06-11 16:06:45 | 街あるき
新薬師寺へ行こう !!

 中宮寺では新潟西海岸公園に設置された姉妹碑を確認する事が出来た。その時刻が午後3時頃でした。
 如何にして新薬師寺へと行けばよいのか、少なくても午後5時前までには行かないと閉館になってしまう可能性もある。例え短時間でも歌碑の写真だけでも撮りたいと決意して、足早に法隆寺の参道へと向かいました。山門を抜けて振り返えり、初夏の青空に時空を超え聳え立つ偉大な伽藍に別れを告げた。
 松並木の参道を進むと何とタイミング良く「JR法隆寺駅行」バスが止まっているではないか。勿論飛び乗りました。バスは斑鳩の町並みを縫うように走り10分足らずで駅へ到着。駅舎は法隆寺をイメージして新装された綺麗な建物で、流石に世界遺産を抱えた玄関口に相応しいと言える。JRでも私鉄でも、兎に角、公共交通機関の路線に出れば、あとは時間と勝負である。
 ホームで待つこと十数分で無事にJR奈良行の電車に乗ることが出来、その結果午後4時には奈良駅に到着しました。
 3年前奈良公園を散歩した時には道標に確か「新薬師寺」の方位も示されていた。その事を考えれば目的地もそんなに遠くは無いはずであるが、それにしても歩いて行くには余りにもデータが無さ過ぎる。駅構内の案内板を探していると「市内循環バス乗り場」が目に止まった。右周りと左周りと2系統があるらしい。兎に角、先に来たバスに飛び乗った。運転手さんに「新薬師寺へ行きたいのですが」と言うと「こわれいし」で下りて下さい」と言われた、早速、バス内に掲載されている停留場案内を見ると確かにの「破石」と言うバス停の表示がある。なるほどこれで「こわれいし」と読むのかと納得した。
 バス停を約10箇所位通過した所で「破石」に辿りついた。奈良公園や若草山の麓を通過し、道路もやや狭くなった所でそのバス停はあった。閑静な住宅地を東の方角に向かって進む。陽射しも傾きつつあり、木々の緑や町並みの佇まいを一層色鮮やかに照らしている。微かな上り坂を数百㍍進むと「志賀直哉住宅跡」の標識があった。あの偉大な作家が住んでいた町なのかと思うと、何故、この町を選んだのかなんて訳の分からない余計なことを考えてしまう。更に進むと右側に折れる小路の隅に標識を見つけた。

新薬師寺への標識
 小路へと入ると古都の雰囲気が漂う土壁の通りです。その佇まいから最早新薬師寺の寺域は近いと直感しました。午後4時半も過ぎた頃、一般の観光客の姿も見えない中、更に約数分を過ぎた頃、右側の角の向こうに目的の山門が突然視界に飛び込んで来ました。でも、その異様な雰囲気に一体何事なのだろうかと不思議に思いました。
何と数十人の観光客が列を作って並んでいるのです。でも、その列は全く進行する様子もなく、皆楽しそうに雑談しているのです。突然飛び込んだ私には全く訳が分かりません。折角辿り付いたのに、門限の午後5時も過ぎれば拝観する事も出来なくなるのではと焦りも有りましたので、人垣を押し分けて前へ進み、拝観券売り場の担当の方に「私は拝観したいのですが。何故皆様並んでおられるのですか。」伺った所、「今日は午後5時から「おたいまつの法要があり、午後5時から無料で一般開放されるため、皆様待っておられるのです。」との事でした。神戸まで戻らなければならない私では有りますが、この様なチャンスを逃すには余りにも勿体無いとの思いからこの法要を見学する事にしました。
 午後5時、開放の合図があり、参拝のお客様は境内へと雪崩れ込んで行きました。


新薬師寺
 門をくぐると、法要・お祭りを示す「五色幕」が鮮やかに風にたなびき、私を天平の時代に誘ってくれました。今が満開の、八重の桜が一層境内の華やかさを醸し出しています。玉砂利を踏みしめながら、本堂へと向かいましたが。既に表面の扉は閉められています。大勢待機していた参拝のお客様は本堂前数十mに曳かれた規制線の前に陣取っています。そして、敷物を敷いて陣取りしたり、カメラの三脚を構えたりしているのです。私には何事が始まるのか全く理解していなかったのですが、どちらかの団体の引率者が「本堂でお経が上がりますので、一緒にお参りされたい方は本堂に入って下さい。」との事。私もその案内に従い、本堂左側の門より本堂へと入りました。
でも、何はさておき、私の第一の目的は曾津八一の歌碑の撮影です。この境内の何処にあるのかと周囲を探しました。境内のお寺さん関係者と思われる方に「曾津八一の歌碑
は何処にありますか。」とお聞きすると、なんと本堂の左側に聳える様なその碑はありました。



新薬師寺 曾津八一歌碑

ち可づきて 
  あふぎみれども 
   みほとけの 
 美そ奈はすと毛 
  あらぬさびし左




新薬師寺本堂配置図
本堂内は、残念ながら撮影禁止です。さもありなんです。本堂内は薬師如来坐像をはじめ十二神将は全て国宝なのです。怒りの仏の威力には圧倒されます。不思議な仏の名前は遠く仏教の発祥の地インドのサンスクリットとか、ゆっくりと十二神将さまに手を合わせながら、その豊かな顔かたちに見入りながらユックリと本堂内を裏手から進み、本堂正面入り口、薬師如来像にお参りをしている時、堂内で微かなどよめきが上がりました。何事かと、声の方を見ると左側入り口から、正装された僧侶が大勢本堂に入ってきます。そして、夫々が整然と読経の位置に正座しました。一時の静寂を得て、ゴォーンと鐘を合図に静かに読経が始まったのです。僧侶は総勢12名です。織り成す読経の声は伽藍に反響し是までに体験した事の無い神聖な気持ちにさせる心地よい世界がこの私を覆ってきました。私と直前の僧侶との距離は1メートルもありません。更に一段高い所で読経されている一番偉い僧侶との距離は2.5メートル位、そして、薬師如来像とは一直線です。私は薬師如来様とこの僧侶を通して繋がっている様な気分になりました。この様な機会に出会えたのは不思議な気分でした。ひたすら仏に思いを致すことに心鎮めこと一時間。私はその読経と共に天平の時間にタイムスリップした異次元の世界に身を委ねる事になりました。
読経が終わった後、心が洗われた様な神聖な気分でした。ユックリと歩きながら、本堂を出ると、太陽はやや西に傾き一段と静寂さが訪れていました。
コメント (2)
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