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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

久留米大学附設高等学校 演劇部『19-Blues』

2021-12-27 11:27:28 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会2021上演9

2021/12/23

バンドを組んでいた高校生三人組が、コロナ禍の中でそれぞれの卒業一年目を過ごす話。

とにかくコロナ禍の話が多い。どれだけ高校生活に大きな影響を与えたのかがわかる。

「いつか終わるのかな」という素朴な問いかけが切ない。

冒頭に大きなCOVIT-19の文字パネルが並ぶ。

たぶん、そこから連想しての19歳の話。現役生ではないところに一ひねり入っている。

途中からマウスシールドを付けて、それぞれの人形を手に演技するスタイルに変わる。

これも感染症対策のひとつでいいのかな。もう少し近くでパペット観たい。

ハチは最初だけウケてたけど、重要なのでちゃんと作ってあげたほうがよかったと思う。

傷のようなものを抱えて生きていくというのは、秩父農工化学の作品とも通じるテーマ。

コロナ禍から目を逸らすことも抵抗することも許されない今の高校生たちが、ギリギリ踏ん張るために必要な姿勢なんだと思う。

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岩手県立千厩高等学校 演劇部『2020年のマーチ』

2021-12-20 17:54:27 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演2

2021/12/20

コロナ禍のなか、シェアハウスに暮らす女性4人のうち1人が海外旅行の後に寝込んでしまい、関係が危うくなる話。

登場人物は二十代中盤くらい。

今回の春フェス作品の中では、唯一演者全員が社会人の役。新鮮。

声を荒げるシーンが多く、暗めで閉塞感の強い作品だけど、会話のほうは自然でテンポもいい。

いい意味で高校演劇を見ている感じがしない。

小劇場系の演劇として普通にチケット代をとって上演していても違和感がないくらい。

演技スペースが狭いせいか、他作品とは画角も違うようで、見た目から異彩を放っている。

逆に大きな劇場で見ると印象変わるかも。

コロナ禍で分断される社会とはよく言われるけど、シェアハウスがそんな世の中の縮図を描く場としてしっかり機能している。

同年代の遠慮のない会話から、関係性が崩れるか崩れないかのバランスの取り方がうまいし、緊迫した空気を緩める後半のエピソードもおもしろい。

設定としてコロナ禍をうまく使った良作だった。

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島根県立横田高等学校 演劇・放送部『20205678』

2021-12-17 21:38:11 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2021/12/17

コロナ禍の制約のなか、演劇部が学校祭での上演を目指す2020年5月から8月までの話。

冒頭。教育委員会の指導で、マスク着用、ソーシャルディタンス、発声NG(できるだけ)で行う旨が宣言される。

加減がよくわからない部分もあるけど、最初にルールを示すのは見ている人に対してやさしい。

舞台上には、無数のコロナ禍関連の単語が書かれた箱。これは発声を最低限にするための工夫。

そんな感じで、制約に対してどう向き合っていったのかが語られる。

なので、文字の書かれた箱が並ぶ前衛的な見た目に反して、ドキュメンタリーに近い内容。

舞台上で本格的な素振りを見ると、演者の努力の積み重ねを感じて感動してしまう。全体的に演者の身体能力が高い。

細切れのシーンや最後のほうの群唱など、期せずして第三舞台の作品群と重なる雰囲気。

最後には若者だからできる真っすぐなメッセージ。

数ある制約に正面突破を試みた勇気ある作品だった。

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市立札幌啓北商業高等学校 演劇部『ラフ・ライフ』

2021-12-16 22:45:12 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演6

2021/12/14

真面目な学級委員長が、元クラスメイトから学校祭に向けて漫才の相方になるよう頼まれる話。

唯一、ライブでも見ている話。

見たのが一月、本配信の春フェスが三月。会話の聞きやすさや動きの滑らかさがアップしていてコメディとしての強度が上がっている。

漫才自体もだいぶん上達していると思う。逃げずにちゃんと舞台上で漫才をやってみせるのが大事。

面倒見のいい学級委員長のお人好しな部分。台本を読むときに作者に許可を求めたり、対立する実行委員をご飯に誘ってみたりと、細かいところが好き。

それにしても、学校祭当日に転校って、親はどんだけ周りが見えなくなっているんだ。

作中の漫才のテーマのように誰でも楽しめるライトコメディで、全国で一番をとるようなタイプの話ではないんだけど、好きな温度感。

もっとこういうお話は増えてほしいし、早くそれができる世の中になってほしい。

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大分県立大分豊府高等学校 演劇部『むれたがる私たち』

2021-12-15 14:01:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演5

2021/12/14

学校に居場所のない生徒たちが集まる「階段部」が遊んだりケンカしたりする話。

第15回春フェス作品5本目にして、はじめてコロナ禍と直接関係がない作品。

心の傷を抱えた生徒や先生が集まる、校舎の隅の隠れ家的スペース。

ほとんどが女子生徒だけど、男子生徒も一人いる。彼が完全にお笑い芸人のたたずまいで、作品内のポイントゲッターになっていた。

面白いところはもちろん、特に面白くないところでも結構強引に笑いを生み出せる。

中心的人物が周りの人を見下していたことがわかって、ケンカになるんだけど、あんまり引きずらないのがよかった。

多かれ少なかれ、みんな同じようなことは思うはずだし、行動に移して実際に助かった人がいる以上、否定はできない。

口に出しちゃダメなだけで。

エンタメとしてシンプルにまとめられた佳作だった。

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埼玉県立秩父農工科学高等学校 演劇部『空が落ちてくる』

2021-12-14 16:29:07 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演4

2021/12/14

何かを発表しようと頑張っていた生徒たちが何かのために全部中止になってしまう話。

コロナ禍に苦しむ演劇部の話は全国いくらでもあるだろうから、その説明は全部端折って抽象度を上げつつ、その抽象度を活かした創造性で勝負する方針、でいいと思う。

冒頭5分でお客さんをロックする力が強いし、勝ち抜くための高い戦略性を感じる。

序盤こそ、先輩後輩の嫌なノリはあるものの、あちこちで声を出して笑った。

全体的にビジュアルイメージが強い。

鳥さんの見た目はかわいいし、衣装も気を使ってるし、なにより舞台美術の迫力。

抽象から具象に切り替わっていく瞬間や、具象に切り替わったところで、結局何なのか理解しきれないバランス感覚が絶妙だった。

コロナ禍で、他の世代の人より確実に重い石を抱いて生きていかなきゃいけないというのは全くその通りで、それすらもポジティブにしていこうともがく若者たちの話だった。

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メガネニカナウ『ほぼ永遠の稽古場』

2021-12-09 02:08:13 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2021/12/5

・ロミオとジュリエットを上演するために集められた人たちが、目的地の星に向かう途中で宇宙船のトラブルに見舞われる話。配信。

・トラブルの結果、参加者のうち一人だけおよそ20年間のコールドスリープができないことが判明する。

・行定さんも指摘されていたけど、自分も人数ではなく時間で調整すればいいのではと思ったりはした。

・ただ、その説明をすれば作品の面白さが増すのかと言われるとそうでもない。

・説明の取捨選択は難しい。説明できなくはないことを、時間を割いて説明する意味はあんまりない。

・トロッコ問題のような、誰か一人を犠牲にしなきゃいけない状況下で見えてくる、各々の価値観の違いや人間関係(アンドロイド含む)の変化が大切なところ。

・あわせてコロナ禍との向き合い方、結局準備を続けるしかないという創作者の生きざまというか、業のようなものも重なって見えてくる。

・20年の孤独をわりとあっさり受け入れるのは芸事の困難さを心底理解しているからなのかも。

・自分だったら20年間何するんだろう。デジタル系のアーカイブが揃っているかどうかでだいぶん変わる。

・コロナ禍はいつか終わる(と信じたい)ので、例えば5年後、10年後に見ると全く印象が変わりそうな作品。

・上演時間の感覚がよくわからず、不意打ちのようなタイミングで終わった。たしかに10分後とは言っていたけど、結構、いろんなことが解決していない。

・質問にもあがっていたけど、結局何を上演したのか、彼女の本は完成したのか、キスはしたのかなど。

・立ち止まっていた人が、次の一歩を踏む出すまでの話ということでいいんだと思う。で、それからとんとん拍子でうまくいくということは、おそらくない。

・あれだけ色んな問題が起きているスケールの大きな話なのに、なんて繊細なところを主題にするんだろう。

・音響効果が強い。見た目はほぼ稽古場なのに、ちゃんと宇宙船の中のように感じる。

・井路端健一さん演じるウラヌスの人間らしさと人工物らしさの塩梅が絶妙だった。

・ティーチインの制度は面白いけど、自分の感想を書くときにとても影響を受けてしまうので、ちょっと困る。

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青森県立木造高等学校『全部コロナのせい!!』

2021-12-04 22:13:02 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

青森県立木造高等学校『全部コロナのせい!!』

2021/11/30

コロナ禍の生徒会役員たちが、各学校行事の開催を問う全校アンケートの集計を行う話。

アトロクの高校演劇特集によると、青森県は規制が厳しく、マスク上演前提の作品として作られたそう。

結局、大人の言いなりになるしかない生徒会が自身の存在意義に悩む話というのは、高校演劇の一つのジャンルなんだと思う。

どちらかと言うと長いものに巻かれやすい男子たちと反抗する女子たち。こういうことにも性差あるのかな。

本作もそうだけど、エヴァンゲリオン出典のセリフが多い。古典作品みたい。知っている人と知らない人でだいぶん印象が変わる。

壮大な前フリからのラストの一点を目標にした構成。その理不尽さに驚く。

コロナ禍とはいえ(だからこそ)、多少なりとも前向きさを求めたくなるものだろうけど、本作はそういう意味で正直だった。

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追手門学院高等学校演劇部『学校へ行こう』

2021-12-03 23:41:58 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会2021上演3

2021/12/2

高校生にして人生に疲れている一人の男子に、仲間たちがそれぞれの理想の人生を語る話。

平凡なタイトルもコロナ禍では特別な意味が生まれる。

広い素舞台の中央、一人の生徒がパソコンを見ているところから始まる。

そこに一人加わり、仲間たちが加わり、統制の取れた集団に変わり、大人数が全身を使って理想を表現していく。

結構セリフは聞き取れないけど、多少意味がわからなくても、声と動きがリズミカルで楽しい。

映像効果もうまく使っているし、めっちゃ走っているし、素舞台の隙間を一切感じさせない。

ほぼ全シーンで、ただセリフを聞いているだけの演者がいない。

アイディアを詰め込むだけ詰め込んで着地もきれいに決まっている。

何度も練習しているはずなのに、ミュージカルにしてもラップにしても見切り発車感が魅力として残っていて、とてもスリリングだった。

あと、ハイギョかわいかった。

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長崎県立長崎北高等学校学芸部『明日、ドーナツは宇宙の夢を見る。』

2021-12-02 22:52:49 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2021/11/30

大会の脚本提出期限前日に、フェイスシールドの着用必須が判明して動揺する演劇部の話。

彼らの作品はコロナ禍後を描いているので、フェイスシールドの着用は致命的という状況。

本作の役者はフェイスシールドを付けていないので現実との関連性は不明だけど、同程度の理不尽はいくらでもありそう。

原因を作ったいい加減な顧問がひどくいい加減なのに、演技のほうは巧い。

遅刻の言い訳をする副座長と座長との会話が欧米のコメディ映画のような軽口のたたき合いで好み。

演劇部ではなく学芸部だからなのか、舞台装置もシンプル。派手な演出はない。

エヴァンゲリオンはともかく、ハルク・ホーガンとか、ガッチャマンとか言葉選択に古さを感じるものの、奇抜なことをせず、会話の面白さを追求しつつ、コロナ禍における率直な気持ちを描いた作品だった。

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