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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

大分県立大分豊府高等学校『エールの時間』(全国高等学校演劇協議会)

2023-08-30 23:35:50 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2023/8/29

体育祭目前、応援団の団長になった女子生徒が、強引にメンバーを集めて演舞の練習をするものの、自身の身勝手な性格が災いしてなかなかうまくいかない話。

とにかく、演者たちの体がよく動く。

取っ組み合いになるシーン。暴れる当事者たちの腰をつかんで止めようとする生徒役が、本気で振り回されているように見える。

ダンスの必然性はわからないけど、かわいらしくて作風にはフィットしていた。

舞台上には本物の演劇部員しかいないところで、「声がでかい」ことをアイデンティティにできる演劇部員役の人がすごい。

舞台裏から声が聞こえてくるところ、ホントうるさくて混沌としてておもしろい。

加害者と被害者を同列に扱ってお互いにごめんなさいするのはあまりいいことだとは思わないけど、団長の謝罪がしっかりしていたので許容範囲。

太鼓付きの演舞も手間がかかっている。賑やかで盛り上げ要素の多い作品だった。

大分県立大分豊府高等学校『エールの時間』(全国高等学校演劇協議会)

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「AD-LIVE 2023 ライブ配信 8/27(日)昼公演」

2023-08-29 23:21:25 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2023/8/28

・声優の森久保祥太郎さんと津田健次郎さん、ほぼ二人による即興芝居。

・最終的に出来上がったのは、よくわからないまま死んでしまった教師がよくわからない男と神の力を借りて人生をやり直そうとする話。

・どこまでが事前に決まっていることなのか、どこからがアドリブなのか、よくわからないまま見る。

・特に最初のパートが何を言っているのか、やっているのかよくわからず、アウェイ感を抱く。

・序盤はただただ津田さんがかっこいい。聞けばすぐにわかる特徴的な声、汎用性の高い酔っ払いという選択、酔っ払い仕草の手数、わずかな沈黙も許さない瞬発力&持久力。これは人気が出て当然。

・自身が他者に干渉できないのに舞台上には居続けなければいけないという辛そうな時間帯でも、実況、解説、ツッコミ、不自然にならない程度のギリギリの干渉と、まったく苦にしていなかった。

・終演後の説明によると、話の構成は森久保さんが作って、津田さんは何も知らない状態だったらしい。

・何も知らないからこそ、好きにできたようなことを言っていたけど、そんなことあるんだろうか。

・二人がどういう関係でどういう人たちなのかなど、具体的なことは、話の進行に合わせて確定していく。

・ふたりとも同じようなショルダーバッグを身に着けていて、展開を進めたいときに、中に入っている紙を取り出し書かれたフレーズを読み上げる。いわゆるペーパーズ。

・それとは別に、神さまからのプレゼントという体でイベント発生用のガチャポンがある。

・振り返りでも言っていたけど、このガチャポンの出目(イベントの内容)がとにかく絶妙だった。

・まったく展開に生かせなかったイベントが後半、救世主的に効いてくるところ、展開を進めるためではなく、妨害するためにあえてガチャを引くところ、そしてその結果。最適解とか言いようがない。

・最初にゴールが提示されるものの、最初のうちは自由に設定を深めるだけ深めていって、後半~終盤にかけて一気に帳尻を合わせていくところのスピード感は、即興演劇ならでは。

・音響、照明などのテクニカル側の臨機応変ぶり。突発的なイベントにあわせて上演中に小道具を作っていたという話もすごい。

・10年以上続く企画だけど、初めて見た本公演は結構な当たり回だったと思う。

(U-NEXT)

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紅白劇合戦2022「年の瀬!即興大合戦」(2022年12月31日19時)

2023-01-01 22:00:28 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/12/31

名古屋を拠点に活動されている役者さん4人が、お題にあわせて45分間の即興演劇をつくる企画。

大晦日のイベントにしては演者の負担が大きいし、そもそも即興で45分は長いと思ったけど、そこはさすがの手練れたち。

お題は「トイレを我慢する4人」。

トイレの順番争いのようなベタな展開になるのはイヤだなと思っていたら、ちゃんと全然違う方向に進んでいた。

中内さんのレシーブ力を信じて強引めのパスを出す天野さん、いたたまれないおぐりさんの嘆きぶり。

そして、ピラミッド内ピラミッドで着地する構成。

ほとんど中だるみなく、きれいに決めてみせた。お見事。

せっかくなので、年越しイベントも引き続き視聴。

新型コロナに罹患したりしてなかなか残念な年末ではあったけど、こういうイレギュラーな年越しは楽しく、だいぶん中和することができた。

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シス・カンパニー『ショウ・マスト・ゴー・オン』

2022-12-28 20:42:28 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/12/28

マクベス上演中の舞台裏、様々なトラブルに見舞われながらも舞台監督を中心にスタッフたちが最後までしのぎ切ろうとする話。配信で視聴。

初演がほぼ30年前。個人的にも生涯ベストの演劇作品(テレビの舞台映像だけど)のひとつなので、思い入れは強い。同じような人は多かったと思う。

最初に初演にはいなかった警備員が三人も出てくる。色んな理由があると思うけど、最初に「初演とは違うもの」ということを強調する意味もあるのかな。

初演ファンの期待に応えつつも、初演時の印象に引きずられないよう、注意深く作られていたと思う。

ただ、登場人物の行動理由がよくわからないところも結構あって、良かれと思って結果的に裏目に出るのではなく、積極的に上演を妨害しようとしている人もいたのがよくわからなかった。

主演の鈴木京香さんの代役で三谷幸喜さん。

キレ気味に「裏方が舞台に出るのは恥」って言っていてウケていた。

本意ではないだろうけど、間違いなくおトク感はあった。

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Stokes/Park『フゴッペ洞窟の翼をもつ人』

2022-12-16 17:09:38 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/12/10

北海道余市町に暮らす若者が、認知症の母親や、家を出て行ったきり帰ってこない姉との関係に悩みながら、続縄文時代に刻画を描いた男の幽霊と交流する話。

配信期限間際にあわてて視聴。

実際には言葉や概念が全然違うであろう何千年前の人と会話するのは、どうやったって不自然さは残るので、どこまでをOKとするかの調整が大変そう。

母親のことを、お母さんでも母上でもなくママでもなく「かかさま」と呼ぶような選択を全局面で考えなければいけない。

特に続縄文人どうしの回想シーンでは難易度がハネ上がる。

自分だったらどうするのかなと考えながら見た。

多少の強引さも含めて、ひるまずに本作を書き切ったのはすごい。

15年音沙汰のなかった姉が実家に顔を出すところ。

姉を演じている飛世紗耶香さんは、聞かせる力が強い。さすがの存在感。

かつての友達がチャラい。アプローチの仕方はともかく、高校から付き合っている友達の彼女に、あきらめず告白しようとする根性はすごいと思った。

※今月はいろいろバタバタしているので、よっぽどのことがない限り短めで統一します。

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久留米大学附設高等学校 『豆球~マメキュー!!~』(全国高等学校演劇協議会)

2022-08-31 22:54:39 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/8/28

豆球部に入部した新入生が、他校との試合や他の部員たちとの関係を通して自分自身と向き合い、成長する話。

そもそも豆球とはなんだという誰もが思うことは、部分的に説明して、あとは見ている人の想像に任せる方針。

ふざけているようで、豆球部の話は既存の大体の運動部の比喩として置き換えができるし、下手に既存の競技に決めないほうが観客間の知識の格差を気にしないで済む。

万人が盛り上がりやすい青春スポコン(死語かも)の構造のみ取り出してうまく活用している。

ちょっとマッチポンプ的だけど、豆を使った伏線とその回収も賢い。

豆をボーリングの玉を一回り小さくしたような豆っぽくない造形にしたのも絶妙。

ワンクールのドラマまたはアニメのフォーマットを使って、テンポの良さを出したり、伏線の回収をコンパクトにできる。

この方法なら、謎の女を謎のままにしていても違和感がない。なんだかんだあったんだろうなと自然に思える。ほんと賢い。

久留米大学附設高等学校 『豆球~マメキュー!!~』
https://www.openrec.tv/movie/e5rknwxo4rv

 

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山口県立光丘・光高等学校 『陰影』(全国高等学校演劇協議会)

2022-08-29 21:28:55 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/8/28

高校生ヒグチが憧れの同級生との思い出を深い後悔とともに回想する話。

ヒグチは、クラスのまとめ役として、面倒臭い他の同級生たちに振り回される。

特に溜息が個性的な女子がイラ楽しい。

ハットリ(ハッタリ?)は、そんな面倒なクラスメイトたちをうまくコントロールしながら彼女を助ける。

こういう優秀な参謀役はスマートだけど、文句言われながらなんだかんだで泥臭く先頭に立ち続けるのも別の才能。

ヒグチはそんな自分の優秀さには気づかず、自分のことで精いっぱいになっている。

最初から何か悪いことが起きる匂わせが強いので、ロクな最後にならないことは見ている人みんなが分かっていたと思うけど、それでも実際に顛末を見るといたたまれない。

あんまり見たことないタイプの作品だったけど、強い後悔は間違いなく青春の一面だし、たしかに高校生が演じることが強みになるタイプの話だった。

山口県立光丘・光高等学校 『陰影』(全国高等学校演劇協議会)
https://www.openrec.tv/movie/e5rknwjo4rv

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『明日のハナコ』(リーディング公演)

2022-03-26 00:08:54 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/3/24

・神奈川県で行われたリーディング公演をアーカイブ視聴。

・福井県の高校の演劇部員二人が、次作の読み合わせをしながら地元の過去現在と遠い将来のことを考える話。

・高校演劇の作品を大人たちが演じている。

・登場人物は二人。ト書き担当も二人。

・出演者全員の演技の引き出しが多くて華やか。「ちょいちょい」の言い方からおもしろい。

・リーディングにおけるト書き担当者の重要性もわかる。絵と額縁であわせて作品。

・基本的に高校生にしか表現できないことを見せるタイプの作品だと思うけど、本気を出した大人が演じると、それはそれで別の凄みがある。いい意味で大人げがなかった。

・戯曲自体もやはりよくできている。八方ふさがりの原発事業、メタ的な表現や自己反省、ジブリ作品の取り込み方、資料や取材の内容も反映されている。労作。

・「世界を変えてみせる」という若者らしいポジティブなセリフと安易に和解しない二人の関係性が好み。

・最初に正義を通して会社をクビになった親父をバカだと言っておきながら、こういう作品を作るところも覚悟が決まっている。

・ただ、今現在だって、こういう残念な世の中でも、最悪の一歩手前で踏んばろうとする大人たちはいるはず。作中で腐していたデモもそのひとつ。

・勉強は無意味論もありがちで、無自覚な向き不向きは絶対あるから、学校の勉強くらい一通りやっておいたほうがいいし、ダメだったらダメだったで意味はある。

・元の戯曲は福井県の演劇祭で上演されたものの、本作のみ、ケーブルテレビの放送なし、映像は残さない、脚本をすべて回収という気の毒な扱いを受ける(のちに一部緩和)。→詳細

・この処置によって、かえって本演目が全国の注目を集めてしまう。いったい主催者は何をやっているんだろう。

・きっと高校生が上演した作品のほうも、責任ある大人たちが判断を誤る程度に、芯をとらえていたんだと思う。

・今回の騒動は、責任や原因を追求するのも大事だけど、あんまり部外者が騒ぎすぎると当事者である生徒不在で話が進んでしまう。

・それでもこういう形なら、十分とは言えなくても、大人の都合でイヤな思いをした生徒たちに対して、当事者ならぬ別の大人たちでもフォローできるというか、少しでもできていたらいいなと願う。

(2022/3/21 18:30の回)

福井の高校演劇『明日のハナコ』東京・神奈川公演→公演詳細はこちら

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宝塚歌劇星組『ザ・ジェントル・ライアー ~英国的、紳士と淑女のゲーム~』

2022-02-23 20:30:13 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/2/23

・19世紀末のロンドン。人気者のわりにちょっと頼りない紳士、アーサー・ボーリング卿が親友夫婦をスキャンダルの危機から救おうとする話。

・アーカイブなしのライブ配信。宝塚歌劇の作品は『風と共に去りぬ』から2本目。

・最初にたくさん名前つきの登場人物が出てきてちょっと不安になったものの、主要5人の登場人物の味付けがしっかりしているので最後まで混乱しなかった。

・主役のボーリング卿を演じているのは瀬尾ゆりあさん。初見だけど、存在感が際立っている。

・振り向き方や足の開き方、ちょっとした仕草が男性的。何をもって男性的なのか言語化しきれない。色んなノウハウの蓄積がありそう。どこかにまとまってたりしないだろうか。

・破滅するかしないかの人生の瀬戸際が描かれているわりに、愛と正義とちょっとした賭けの結果で話を進めているので、必要以上に深刻にならない。軽快。

・ボーリング卿が最初に親友の妻を説得しようとするところ。目的は明確でも、手段があまりにぼんやりしていて笑ってしまう。

・英国紳士らしいカッコよさと、ところどころで出てくる頼りなさ、不安定さが「完璧な夫」である親友と対照的でうまくバランスが取れていた。

・「切り札」という翻訳物特有の味わい深い単語。

・チーブリーフ夫人。悪役だけど、引き際、去り際が潔くて嫌いになれない。演じたのは紫りらさん。

・ミュージカルだから歌とダンスで見せるのはもちろんだけど、表情でも結構大きな芝居をしていて、役者でもないのにちょっと顔真似したくなる。

・小桜ほのかさん演じるガートルート夫人も、歌声が印象的で、今後宝塚を見るときには注目したい人になった。

・コメディだからというのもあるけど、歌やダンスも含めて、もう少し見たいというくらいで次の展開になる。何回も観たくなる人の気持ちがわかる。

・最後のほう、もうひと混乱あってもよかったかなと思ったり、メイベル嬢はボーリング卿にとっても、脚本家にとっても都合よすぎるような気もするけど、そのへんのフォローしようとすると、本作の魅力である軽快さが損なわれるのかもしれない。

・宝塚HP見てみたら主要登場人物の配役表があった。そこから広がる興味もあるので、こういうことは他劇団でもどんどん取り入れたらいいと思う。

(U-NEXT)

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東京都立千早高等学校 演劇部『見えない女子の悩み』

2021-12-27 11:33:06 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会2021上演11

2021/12/25

学級委員長不在のクラスでの高校生活を描いた話。

しょうもないオープニングで声出して笑った。

学校生活のスケッチと群唱を並べた構成で、面倒見のいい学級委員長の不在が全体の軸になっている。映画「桐島、部活やめるってよ」の見せ方に近い。

実際のところはわからないけど、いわゆる進学校でもないし、部活の強豪校という感じでもない平凡な学生という立場を逆手にとって、うまく見る人をリラックスさせてくれる。

本作でもコロナ禍の学校生活を描いていて、全員、厳格にマスクを着用している。

しかし、今まで見てきた作品と比べて語り口に苛立ちや諦めのような暗さがなく、全体的に「今さら自分たちが世の中を憂いてもしょうがない」という開き直りのような明るさを感じる。

肩の力が抜けている。正直な『銀河鉄道の夜』のくだりも笑った。

今できることとできないことを見極めた、地に足の着いた作品だった。

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