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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

トム・ムーア監督『 ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(2016年)

2021-03-10 00:23:55 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/3/8

人間の男の子ベンが、大好きな母親を失う原因になった妹シアーシャへのわだかまりを克服する話。

シアーシャはセルキーという妖精。アザラシに変身することができる。

作中では妖精の中でもヒエラルキーが高そうな感じ。検索すると実際にある伝承らしい。

人物絵はシンプルでコミカル。

おばあちゃんの顔が、太陽の塔みたい。

シアーシャの顔の変化も、シンプルな線だからこそショックが大きい。

大型犬のクーは変なディフォルメされてて、足がヒレのように見える。題材が題材だけに何かの前振りかと思った。

ベンがシアーシャにつらく当たるのは子供だから仕方ないと思えるけど、お父さんはもっとしっかりしないとダメだと思う。

大団円っぽくなるのも人間にとって都合よすぎる感じがして、それでも懐いてしまうシアーシャがちょっと不憫だった。

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清水崇監督『魔女の宅急便』(2014年)

2021-02-24 23:27:06 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/2/24

女の子キキが、一人前の魔女になるべく、家を出て宅急便を始める話。

キキを演じているのが小芝風花さん。

寝起きで顔に電話線のあとがべっとりついているシーンがかわいい。全体的に若いというか、幼い。

wikiによると制作時は16歳。ちゃんと役と役者が一緒に作中で成長しているように見える。

清水崇監督と言えば『呪怨』。

オソノさんの妙に含みのある表情とか、完全にジャンルの枠をビヨンドしている動物園のお兄さんのアウトレイジ感とか、手すりの上でなぜか直立している松ぼっくりとか、ちょいちょい気持ちがざわつくシーンが出てくる。

トンボは最初心配したけど、なんとかなったと思う。

特に理由もなく強い意志だけで立ち直るところや町の人の手のひら返しの露骨さ、スカートの処理、わかりやすく気になるところは多かった。

たしかに『花束のような恋をした』のあの二人は大物なんだと思った。

(Prime Video)

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ジョーダン・ルービン監督『ゾンビーバー』(2015年)

2021-02-07 00:43:11 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/2/6

湖畔でキャンプ中の若者たちが、突然変異したビーバーの群れに襲われる話。

高尚な要素など何一つない、ある意味で志の高いB級映画。

女子三人は、特に物語上の必然性はなく、顔もスタイルも整っているし、裸にもなる。

ホラーにありがちな肉体欠損シーンやドッキリもあって、ちゃんとサービスしてくれている。低い。

ただ、動物パニックものでビーバーに着目したのは、ちょっと感心してしまう。

そこそこ頭がよくて、いかにもかみつかれたら嫌そうな門歯、木造建物をもろともしない突破力、なにより自動車での脱出を阻むダムの建築。

人間を出し抜く悪知恵の説得力が増す。

まさにゾンビになるために存在するかのような動物と言えるような、そうでもないような。

ビジュアルがぬいぐるみにしかにしか見えないのは、大した問題ではない。

ホラーのなかでも相当甘口なほうだけど、押さえているところは押さえて短くまとめる、手慣れた出来だった。

(Prime Video)

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トム・ムーア、 ロス・スチュワート監督『ウルフウォーカー』(2020年)

2021-01-29 02:30:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/24

17世紀のアイルランド。ハンターの父親を持つ娘ロビンがウルフウォーカーの娘メーヴと仲良くなる話。

・ウルフウォーカーとは、自分の魂を狼の姿で実体化することができる特殊能力を持った人間、でいいのかな。単なる狼男(女)とは違う。

・この仕掛けが秀逸で、ちょっと前まで父親が娘を殺す殺さないの最悪の状況だったのに、終わる頃にはそれしかないという納得感の強いところに落ち着く。構成がきれい。

・父親がもどかしい。そのもどかしい彼がついに行動を起こした時のカタルシス。最近やっと見た「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の父親とも少し重なる。気持ちいい。

・ただ、本作はそんな父親に対しての和解と独立の話でもある。「今だって牢獄にいる」というセリフが響く人は多いと思う。

・人や風景の抽象化。ウルフウォーカーの母娘は極限まで丸いし、二人を脅かす人工的なものはとことん直線で表現されている。森はグネグネしてるし炎はカクカクしている。

・狼の牙もカクカクしてるので基準は違うかも。暴力的なものと、そうではないものとか。

・匂いや音の表現おもしろい。「鬼滅の刃」の匂い表現もよかったけど、本作の狼の知覚の見せ方もすごい。

・線がゆらゆらしてて呼吸しているように見える。「かぐや姫の物語」を思い出す。

・大胆に遠近法を無視したシーンが一枚絵として強い。

・マーリン、射られてるのに飼い主に懐いてるままなのが健気。

・狼と癒しって何か伝承あるのかな。本作に限らず、超常現象と治癒能力の雑な組み合わせはあんまり好きではない。

・ただ、あれが肉球による癒しなんだと思うと、ギリギリ納得できるような。狼の肉球硬そうだけど。

・物語は、ロビンやメーヴに感情移入させるように作られているけど、現代人である以上、自分自身の立ち位置はグッドフェローであり、護国卿になってしまうのが苦い。

・結局、見ている人たちのほとんどは、最後のあの輪の中には入れない。

・そう言えば、最初に西暦と場所をはっきり提示していた。あの結末も、歴史の流れの中にある点の一つに過ぎないということなんだと思う。

(AppleTV)
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フランシス・フォード・コッポラ監督『ゴッドファーザー』(1972年)

2021-01-27 23:00:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/25

・マフィアのドン、ヴィトーの三男マイケルが他ファミリーとの抗争の末に跡を継ぐ話。

・最初に字幕、何度か吹き替えで見返す。

・なにぶん177分と長いし、登場人物も情報量もとても多いけど、パッと見の良い奴と悪い奴の対比がはっきりしているので、いきなり見ても話に付いていけないということはない。

・麻薬の売買でうまく善玉悪玉のラインを引いている。このやり方、他作品でもよく見かける。本作が最初かどうかはともかく、いわゆる多くの人が見ている「名作」なので、影響受けた作品はとても多いと思う。

・冒頭から次から次へとやってくる依頼者に辟易するところでヴィトーに感情移入させている。

・悪いことをしてても節度があるように見えてくる。

・その上であの馬が出てくるので、インパクトがある。最高の冒頭。

・父親ヴィトー、長男ソニー、三男マイケルと、主要人物の色分けもはっきりしているし、敵方もシンプル。

・見れば見るほどソニーが不憫。ついつい、「悪い奴じゃないだけどなー」とマフィアを相手にして思ってしまう。

・人情で動いてるように見えて、合理的であるかどうかが行動指針。

・葬儀屋の頼みを聞くときも「ちゃんと恩を売りましたよ」と、念押しを忘れない。説得力はこういうしたたかさから生まれる。

・ソロッツォも、ドンを銃撃しておいて、商売的にはそっちの方がいいからと和解を持ちかける。

・相手も合理的に考えればそうするはずだという確信がないとそういう行動は取れない。

・ソニーが周りから疎まれたりバカにされたりするのはそういうところ。

・とは言え、どちらにも転びうる駆け引きには違いないので、スリルがある。

・マイケルの徹頭徹尾「できる男」の雰囲気。アル・パチーノはかっこいい。

・ただ、長年付き合ってきた彼女とは距離を置いて、潜伏先で一目惚れした女と結婚したのはどういう了見なんだろう。案の定、巻き込まれて死んじゃったし。

・順番逆なのにどうしてもジョジョ(5部)っぽいと思ってしまう。

・階段落ちで縦回転してるひと初めて見たかも。危ない。

・本作は見ている人がちゃんとコルレオーネ家を応援できるように作られてるんだけど、逆に言えば、ソロッツォやタッタリオ家の視点で似たような話に作り替えられるのかもしれない。

(Netflixほか)

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オリヴィア・ワイルド『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019年)

2021-01-22 01:32:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/20

・生徒会長で勉強一筋に頑張ってきたモリーが、高校卒業直前に自分が案外特別じゃなかったことに気付いて、焦る話。

・彼女は日本にあまりいないタイプの見た目で高校生らしくないんだけど、よくよく見ていくと自分の高校生活と重なるところが多い。

・遠いアメリカの高校生を見てそんな気持ちになるとは思わなかった。

・なにぶん田舎の高校出身なので、モリーのようにイェール大学はないにしろ、高校生活の大部分を勉強と部活に費やしていたし、ちょっと無理している感じにも共感してしまう。

・勉強は無駄ではないし、自負もあるけど、周りの人たちは「勉強以外も楽しんでいた」ように見える。

・後悔がないなら何の問題もない。たぶん親友のエミーはそんな感じ。

・友情が重要なテーマなんだけど、二人の温度差は結構ある。

・卒業直前のやり残し感については、多くの人が共感するはず。

・一番、自分にとってリアルだと思ったのは高校生の自意識。

・良くも悪くも、自分で自分の評価が正確にできない。

・ちょっと視線を他人に向ければ気づけるのに、それが難しい。自分を卑下するのは簡単。

・そんな自分を卑下する親友の頬を張って「私の親友になんてこと言うのよ」とか言う青春、経験したかった。

・最初の二人のシーン。ダンス一つで親友だとわかる。最初から愉快。

・愉快と言えば、ジジが愉快すぎる。ほとんど妖精だった。

・ジャレットはバカだけど優しい。

・ファイン先生の声が色っぽい。何であんなに色っぽいんだ。

・好きの対象がライアンなのは生々しくて好き。

・みんなクセは強いけど、なんだかんだでいいやつに見えてくる。

・たった一晩のパーティーでお互いの見え方がガラリと変わる。

・もっと早くやってればよかったのに。それができないのも若さだけど。

・卒業のスピーチなんて、誰がやっても感動するもんだけど、やっぱり感動する。

・若者がたった一晩で明らかに成長しているのを目の当たりにしているんだからなおさら。

(Netflix)
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溝口健二監督『近松物語』(1954年)

2021-01-18 12:55:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/15

・大経師以春の妻おさんが結果的に手代の茂兵衛と駆け落ちする話。

・溝口健二監督作品も初めて。見てない巨匠多すぎる。

・茂兵衛は長谷川一夫、おさんは香川京子。

wikiによると、元々は近松門左衛門の書いた『大教師昔暦』を題材にして川口松太郎が書いた戯曲『おさん茂兵衛』の映画化。ややこしい。

・話自体はわかりやすくて、ややこしいことはない。

・溝口監督は女性映画の巨匠と呼ばれているそう。

・フェミニズムでいうと、個人的には「女性が男性の分野と思われがちな環境で男性に負けない活躍をする」みたいな話をイメージをしてしまうけど、本作は女性の立場の弱さをありのまま描いている。

・なので封建社会である江戸時代との相性がいい。なんなら自然すぎて、その違和感をスルーしてしまいそうになる。

・ただ、テレビ時代劇のような甘さはない。

・「当時の状況なら、奉公人の女性が主人の夜の相手するのは当然だったでしょ?」という感覚を、甘くもなく、とりたてて過剰にすることもなく、淡々と描いている。

・たまに江戸時代の社会を過剰に持ち上げてる人を見かけるけど、ホントにこんな世の中がいいのかなと疑問に思える。

・その上で、駆け落ちの話なのでエンタメ的な面白さもある。

・二人が後先考えない愚かな人に見えないように、ちゃんとお膳立てされているところがポイント。

・今の人が見ても、当時の人と同じところでハラハラするだろうし、腹も立つはず。

・公開1954年で、白黒で、演技も割と様式的だけど、ここまで忖度なしに楽しめるのがすごい。日本映画の黄金期と言われているのも納得。

・屋内のシーン。柱やら梯子やら格子戸やら、生活の中にあるものが幾何学的な模様に見える。かっこいい。

・役者さんの動きがみんなきれい。自然というより、ちゃんと訓練されている動き。

・以春が茂兵衛を責め立てる所作。演者は進藤英太郎。歌舞伎の動きだと思うんだけど、歌舞伎役者というわけではなさそう。

・全く勧善懲悪じゃなくても、やっぱり差別は合理的ではないという話になっていると思う。

・明るい顔、晴れ晴れした顔というセリフ出てくるんだけど、言うほどそんな風に見えず。普段はもっと暗い顔してたってことなんだろうけど。

(Netflix)
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木下恵介監督『カルメン故郷に帰る』(1951年)

2021-01-15 00:01:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

『カルメン故郷に帰る』デジタルリマスター 予告篇 directed by 本木克英

2021/1/13

初めての木下恵介監督の作品。

東京で踊り子になった娘が里帰りする話。

地元は浅間山のふもと。山が土っぽい色合い。肉感のある馬がたくさん。

ちょっと西部劇の舞台っぽさがあるけど、当時の田舎ってこんな感じだったのかなとも思える。

おそらく本人たちも含め、「芸術」を言い訳に色んなことをごまかそうとしている。

彼女たちは存在しているだけで注目され、たくさんの解釈と熱量を生み出しているという点では、芸術そのものと言えなくもない。

『フラガール』よりも古い時代なので仕方ないとはいえ、そういうタテマエを台無しにする「ハダカ美人の乱舞」という横断幕。ひどい。

ふつう、親子が仲直りとまではいかなくてもちょっとはわかりあうものだけど、本作ではそういうことはない。そんなに甘くはない。

それでも、交流することで、お互いの気持ちや環境がそれぞれにちょっとずつプラスになっているのがおもしろいバランスだった。

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ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィア監督『愛してるって言っておくね』(2020年)

2021-01-13 01:15:23 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/12

銃乱射事件で娘を失った夫婦が埋めようのない喪失感と向き合う話。

12分。短いのですぐ見ることができる。

こういう実際に起きた事件をテーマにするときに、とても大事なことは、へたに当事者を励ましたり、癒そうとしたり、泣かそうとしないこと。感動ポルノになるのが最悪。

極論、おもしろすぎる話は、このテーマにはふさわしくない。

人を楽しませるために、悲しい事件が存在するわけではない。

じゃあ、どうすればいいんだと思ってしまうけど、お葬式には派手な格好をしていかないように、状況に即した表現というのはある。

本作は、影をうまく使ってアニメらしい表現で感情の動きをありのままに見せている。

あくまで描写に徹することで、作意を極力排除する。結果、下品にならずに済んでいる。

ごく僅かしかない受け入れられるポイントに、しっかり着地していたと思う。

(Netflix)

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長谷川和彦監督『太陽を盗んだ男』(1979年)

2021-01-12 01:47:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/7


・中学の理科教師が、原子力爆弾を作って国家権力を挑発する話。

・その高校教師役に沢田研二。

・いい歳して自分探しの真っ最中という感じ。先生としてはそこそこ優秀だし、生徒からもそこそこ好かれているんだけど、明らかに満たされていない。

・当時のトップアイドルなのに暗い。

・今、学校の先生と言えば、社会的地位も高くて安定した地方公務員という感じだけど、当時はちょっと感覚違うのかも。

・爆弾を作る描写が丁寧。燃料と機材さえあれば自分でも作れるんじゃないかと錯覚してしまうほど。機材もギリギリ一般人が手に入れられなくもなさそうで何とか作れそうなギリギリのところで用意している。

・ホワイトボードに工程表書き込んで、済んだものから×を入れていくの、誰でも似たようなことやっているし、正直、楽しそう。

・原爆でさえなければネット記事のライターになれそうなくらい、ハンドメイドな温かみもある。

・今だったらバスジャックのシーンは問題になってるかも。精神病んでる人をああいう風に描写するのはダメ。

・一方で、ああいう言動の人は当時としてはリアリティがあったのかも。悪い意味ではなく、その時代らしさがある。

・戦争終わってから30年ちょっとしか経ってないころだから、戦争体験者が現役で働いてても何もおかしくない。人生を狂わされた人だってたくさん生き残っているはず。

・技術や知識はあっても、どう生きたいかのビジョンがまるでない。

・実際に政府や警察を手玉に取って調子に乗っているときでも、なんだか気の毒に見えてしまう。

・あれだけのことをやったのに、良かったことと言えば、ラジオ番組のMCとちょっと仲良くなっただけ。虚しい。

・お金の受け渡し、犯人の立場になって考えると本当に難しい。

・チョイ役の巡査の語り口が好き。「結構なものをお持ちですなあ」「感謝、感謝」。後でwiki見たら水谷豊だった。

・気絶の時の舌出し。猪木の舌出し失神事件より早い。ほかに元ネタあるのかな。

(Netflix)


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