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保育園・社会福祉法人の会計・税務~社会福祉法人新会計基準:資金収支計算書の区分と構成~

2012-01-12 | 保育園の経営・会計・税務

みなさん、こんばんは。
さて、今日は、社会福祉法人新会計基準における資金収支計算書の区分と構成について、ご説明したいと思います。

新会計基準では、資金収支計算書は、当該会計年度における支払資金の増加及び減少の状況について、「事業活動による収支」、「施設整備等による収支」及び「その他の活動による収支」に区分して記載するものとされています。

現行会計基準からの変更点をまとめると以下のようになります。

■事業活動による収支?現行会計基準:経常活動による収支

・現行会計基準では「財務活動による収支」に記載されていた「流動資産評価減等による資金減少額等」が、「流動資産評価損等による資金減少額」と名称を変えて、「事業活動による収支」に記載されることになりました。

・新たに「流動資産評価益等による資金増加額」が「事業活動による収支」に記載されることになりました。

■施設整備等による収支?現行会計基準から変更なし

・施設整備に係る取引を網羅的・一体的に把握するため、現行会計基準では「財務活動による収支」の区分に記載していた設備資金借入金収入・元金償還支出及び設備資金借入金元金償還補助金収入の項目が、「施設整備等による収支」の区分に記載されることになりました。

■その他の活動による収支?現行会計基準:財務活動による収支

・上記のとおり、一部の項目が「事業活動による収支」及び「施設整備等による収支」に記載されることになりました。

なお、新会計基準でも、事業活動資金収支差額、施設整備等資金収支差額、その他の活動資金収支差額の3つの収支差額を合計して当期資金収支差額合計とし、これに前期末支払資金残高を加算して当期末支払資金残高として記載するという点は、変わりません。

また、資金収支計算書では、決算の額と予算の額が対比され表示されるという点も変更はなく、決算の額と予算の額の差異が著しい勘定科目については、その理由の開示が資金収支計算書の備考欄において求められます。

   

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保育園・社会福祉法人の会計・税務~社会福祉法人新会計基準:資金収支計算書の支払資金の範囲~

2012-01-11 | 保育園の経営・会計・税務

みなさん、おはようございます。
さて、今日は、社会福祉法人新会計基準における資金収支計算書の支払資金の範囲について、ご説明したいと思います。

新会計基準においても、支払資金の範囲は、流動資産及び流動負債とされ、その残高は流動資産と流動負債の差額とされる点で、現行会計基準から変更ありません。

また、この支払資金に含まれる流動資産及び流動負債からは引当金が除かれるということも変わりませんが、もう一つ除かれるものとして、1年基準により固定資産又は固定負債から振り替えられた流動資産・流動負債が追加されました。

新会計基準では、1年基準、すなわち、貸借対照表日(決算期末日)の翌日から1年以内に入金又は支払の期限が到来するものは流動資産又は流動負債に属するものとし、1年を超えて入金又は支払の期限が到来するものは固定資産又は固定負債に属するものとする基準の適用が明文化されました。

ただし、これらの固定資産、固定負債から振り替えられたものは、元々は支払資金でない固定資産、固定負債を、表示上組み替えただけのものであることから、支払資金の範囲からは除かれているわけです。

なお、支払資金の例示として会計基準の注解に列挙されているものは、以下のとおりです。

【支払資金を構成する流動資産】

・経常的な支払準備のために保有する現金及び預貯金

・短期間のうちに回収されて現金又は預貯金になるもの(未収金、立替金、有価証券等)

・短期間のうちに事業活動支出として処理されるもの(前払金、仮払金等)

【支払資金を構成する流動負債】

・短期間のうちに現金又は預貯金によって決済されるもの(未払金、預り金、短期運営資金借入金等)

・短期間のうちに事業活動収入として処理されるもの(前受金等)

  

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保育園・社会福祉法人の会計・税務~社会福祉法人新会計基準:資金収支計算書の意義~

2012-01-10 | 保育園の経営・会計・税務

みなさん、こんばんは。

さて、今日は、社会福祉法人新会計基準における資金収支計算書の意義について、ご説明したいと思います。

新会計基準においても、資金収支計算書は、当該会計年度におけるすべての支払資金の増加及び減少の状況を表示する役割を果たすという点は、現行会計基準から変更ありません。

また、資金収支計算書は、事業活動全般の支払資金の予算統制にも利用されます。

社会福祉法人が提供するサービスは、営利法人の利益のような業績指標だけで評価できないものがあり、理事会で承認された事業計画、これを数値化した収支予算により、事業遂行がコントロールされる必要があります。

加えて、保育園の場合、各種の資金の弾力通知が発せられていますが、その判断基準としても、資金収支計算書が利用されています。

したがって、社会福祉法人の会計には事業運営の効率性を把握するという機能が求められるようになってきているものの(これは主に事業活動計算書が担います)、新会計基準においても資金収支計算書の重要な位置づけは変わらないといえます。

  

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保育園・社会福祉法人の会計・税務~社会福祉法人新会計基準:内部取引の相殺消去~

2012-01-06 | 保育園の経営・会計・税務

みなさん、こんばんは。
さて、昨日までで社会福祉法人新会計基準における会計の区分についてご説明しましたが、今日は、その区分間で行われる内部取引の相殺消去について、ご説明したいと思います。

現行会計基準では、経理区分間の取引については、相殺消去されることなくそのまま合算されて、会計単位ごとの資金収支計算書及び事業活動収支計算書が作成されていました。

新会計基準では、サービス区分間、拠点区分間、事業区分間の取引について、それぞれ段階的に相殺消去されます。

なお、相殺消去の対象となる取引は、事業区分間繰入金収入・支出、拠点区分間繰入金収入・支出等の事業間・拠点間等の資金の移動取引だけでなく、それぞれの事業の本来の取引も対象になります。

具体的にはそれぞれの内部取引について、以下のように相殺消去することになります。

・事業区分間取引により生じる内部取引高⇒資金収支内訳表及び事業活動内訳表において相殺消去

・事業区分間における内部貸借取引の残高⇒貸借対照表内訳表において相殺消去

・拠点区分間取引により生じる内部取引高⇒事業区分資金収支内訳表及び事業区分事業活動内訳表において相殺消去

・拠点区分間における内部貸借取引の残高⇒事業区分貸借対照表内訳表において相殺消去

・サービス区分間取引により生じる内部取引高⇒拠点区分資金収支明細書及び拠点区分事業活動明細書において相殺消去

  

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保育園・社会福祉法人の会計・税務~社会福祉法人新会計基準:サービス区分~

2012-01-05 | 保育園の経営・会計・税務

みなさん、こんばんは。
さて、昨日は社会福祉法人新会計基準における会計の区分のうち、事業区分と拠点区分についてご説明しましたが、今日は、サービス区分について、ご説明したいと思います。

サービス区分は、拠点区分において実施する複数の事業について、法令等の要請によりそれぞれの事業ごとの事業活動状況又は資金収支状況の把握が必要な場合に設定します。

具体的には、法人の定款に定める事業ごとに区分することになりますが、特定の補助金等の使途を明確にするため、更に細分化することもできます。

また、保育園を経営する事業と保育園で実施される以下の事業については、同一のサービス区分とすることができます。

・地域子育て支援拠点事業

・一時預かり事業

なお、保育園で実施される上記2事業、特定の補助金等により行われる事業については、当該補助金等の適正な執行を確保する観点から、同一のサービス区分とした場合においても、合理的な基準に基づいて各事業費の算出を行うことが必要で、一度選択した基準は、原則として継続的に使用することになります。

また、各事業費の算出に当たっての基準、内訳は、所轄庁や補助を行う自治体の求めに応じて提出できるように書類により整理しておくことも必要とされています。

サービス区分については、それぞれの財務諸表は作成されませんが、付属明細書として、拠点区分資金収支明細書、拠点区分事業活動明細書を作成することになります。

ただし、実施するサービスによりどちらか一方の作成を省略することができ、保育所運営費による事業を実施する拠点は、拠点区分資金収支明細書を作成するものとし、拠点区分事業活動明細書の作成は省略することができます。

 

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