たまには真剣な話を。
アメリカンフットボールにとって、ここ数年は数十年に一度の、いやいやひょっとしたら日本のアメフトの歴史の中で一番の好環境であったといえるのではないのだろうか。
『アイシールド21』という漫画が「あの」少年ジャンプに連載され、アニメ化し、敗れはしたがW杯が日本で開催されアメリカと闘うことが出来・・・これらの事象というのは10年以上前からアメフト業界の夢として語られてきたことばかりである。
(唯一日本人初のNFLプレーヤー誕生という夢はいまだに実現されていないが)
つまりここ数年というのはアメリカンフットボールというスポーツが「マニア」の、あるいは関係者たちの「内輪」のもの外に露出し始めた非常に貴重な時期だったといえよう。
その起爆剤のひとつだった「アイシールド21」のアニメ放送が今日最終回を迎えた。
ジャンプでの連載はまだ続いているが、これとて永遠に続くものではあるまい。
さて、こうした状況のなかで私が今改めて問いたいのは「フットボール業界はこのチャンスをものにできたのか?」ということである。
「アイシールド21」の連載が始まったときに私は考えた。
このチャンスをものする必要がある、と。
漫画の影響力は「キャプテン翼」に始まり「スラムダンク」「テニスの王子様」「ヒカルの碁」などを見ても非常に大きいものであることを感じていた。
しかし一方でその影響力を上手く生かした競技と単なるブームで終わらせてしまう競技があったことも事実だ。
だからこそ「アイシールド21」の連載中にチームとしての魅力を整えておく必要がある。もっと俯瞰的に言えは競技としての魅力を高めておく必要がある、と考えたのだ。
そして連載が終わったときに「アメフトをやってみたい!」と思った少年たちに夢のあるステージを用意しあげたい、と思ったのだ。
そしてこの状況はフットボール界全体にとってチャンスだ、とも思った。
当時のアメフト界は部員不足と不況による廃部・休部が相次いでいた。
特に高校での部員不足は深刻だった。
「存続」することが大変な時代でまさに待ったなしの状態だったのである。
その折の「アイシールド21」の連載である。
関係者はみな快哉を叫んだ。
その間に色んな改革が出来る。
ブームは現実のものとなった。各地でフラッグフットボールチームが立ち上がり、小学生が楕円形のボールを手にするようになった。トイざラスに行けば子ども向けのフットボールが売っていたりする。
WiiやDSのソフトでもアイシールドは販売された。
ありがたいことに私のチームでも部員数が増えた。
「アイシールド効果」があったのかと問われれば「あった」。
しかしチームにとってだけではない、業界にとっての勝負はこれらだ。
効果があるうちに魅力的なチーム(競技)にできたのか?
単なるブームで終わってしまわないか?
ボールを握った子どもたちは夢を見続けることができるのか?
日本のアメリカンフットボール界はこのチャンスをものにできたのか?
アイシールド21のアニメが終わってしまった今、それが問われている。