「何かの真似になっちゃったんですが・・・」
そういって今年の3年生が持ってきたチームのスローガンは「NEXTAGE」だった。チームを次のステージへ、という思いが込められたこのスローガンを私は了承した。
アメリカンフットボールは決められた時間内により多く点を取ったチームが勝利するゲームである。チームの人数やプレーの習熟度を競う競技ではない。
だから今年のチームの結果(春2回戦、秋1回戦、新人戦1回戦)を見れば決して誇れるものではないし、単に「無名の弱小チーム」として見られたとしても全くその通りといわざるをえない。
ではチームは成長してないのか、というとそれは違う。
チームは間違いなく成長しており「NEXTAGE」に入った。そして2007年はそれを良くも悪くも実感した年であった。
それを実証したのが春季大会の慶応戦であったと思う。
私も含め選手も本気で慶応に勝とうと思っていた。
これまで遥か遠くにいた相手を自らの手で捕らえてやろうと思って臨んだ試合だった。
しかし結果は14-20だった。
負けは負け。何かが足りないから負けたのだ。そしてどれだけいい試合であろうと結果は2回戦負けである。相手が慶応であろうとどこであろうとその結果に変わりはない。
しかし一方で私は「やっとここまで戻ってきた」と感じていた。
慶応高校に1本差。
実は私自身が高校の時も慶応高校に1本差で敗れている。
8-14だった。慶応高校はその後関東大会を制した。
一方、チームは89年の関東優勝、95年の関東4位という輝かしい時代を経て辛い時代に入っていく。2000年からの5年間はチームの『存続』そのものがかかっていたと今振り返って思う。
何の余裕もなかった時代だった。
そういう時代を乗り越えて「戻ってきた」と感じていた。
もちろん負けてしまったのだから結果は満足いくものではない。
しかしやっと闘える舞台に戻ってきたという事実を私は感動を持って迎えていた。
そしてもうひとつ「NEXTAGE」の証左となったのは選手の人数増である。
現在二年生が18人、一年生が19人で計37名である。一学年の定員が240名で男子生徒が半分の120人と考えると実に男子生徒の一割以上がアメリカンフットボールを選んでくれたことになる。数年前までは三学年足しても18名しかいなかったのだから本当に喜ばしい状況だ。
「アイシールド」の影響という部分も否めないが、チームに魅力がなければ選手だって入部しようとは思うまい。誘う上級生の目がいかに輝いたものになるか、そのためには選手たちにフットボールの楽しさを伝えるかが勝負だということを心がけてきた結果だと思うと本当にうれしい。
しかし秋、新人戦と苦闘している。
チームの人数と結果が繋がっていない。
急激にチームが大きくなって血が通っていない部分というのが生まれていると考えている。
しかし、それも少しずつではあるが血が通いつつある。
チームの層の「厚み」を作っていくという新たな段階に入ったと感じている。
私たちのチームは確実にステージを年々上げてきている。
「出来ない理由」というのを一つ一つつぶしてきている。
ただ、結果は出ていない。
そろそろ結果を出す必要があると思う。
そんなことを考えながらヘッドコーチ5年目、2007年は終わろうとしている。
追記:2007年はXリーグ、大学を含めて1試合も会場で観なかった。観たのはワールドカップのみである。こんなことは大学卒業以来初めてだ。理由は単に行こうと思ったらスケジュールが合わなかったとかそんな程度だがこうなったらライスもテレビで観てみようかな、と思っている。案外、いいかもね。