イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

結城直人(張道明) -02

2012年10月02日 09時54分19秒 | 高橋美由紀



口では「UB」と同じ世界の秩序を守ると言っているが、愛や恋をくだらないと言い放ち「最強」は煌龍だけだと傲岸不遜に慎悟に吐き捨てた劉を止めなかったことから、自身も同じ考えであるらしい。自分達が「悪」と定めた対象の安易な暗殺と破壊からは少しずつ路線修正している模様だが、世界を変えるには暗殺や破壊が一番だという基本姿勢は変わっていない。そして、世界を変えることが出来るのは「煌龍」だけだというボスザル思考も相変わらずである。

教育係でもある劉とは2人に関して微妙な温度差があるが、篠塚を「煌龍」の方針に服従する下僕にしようとドイツの「UB」の“隠れ家”でも「マインドコントロール」を試みている。いつ、焦れて「洗脳」に及ぶかは不明である。下僕として求める篠塚に対し「世界の統治者たる自身の配偶者」「自身より下位の共同統治者」という役割を強制することを当然の権利と考え、個人的動機としては肉体関係も含まれるが、あくまでも自身こそが世界と篠塚を支配する「絶対的支配者」としての上位者だと定義付けている。

力ある者・冠する者の孤独に苛まれており、調査を進める傍らに遭遇した篠塚に魅了されるが、自身に性的奉仕する下僕兼直属の部下に貶め篠塚を支配しようとする。篠塚に「UB」の考えと慎悟を“男”として捨てさせ、それが駄目なら当初の計画通りに慎悟を“餌”として篠塚を操ろうと企む。篠塚は嘗ては確かに組織の傀儡としては同類の双児的存在だったが、慎悟という愛を得て満たされ孤独や苦しみを癒やされた存在に変貌していることに気づいていない。更には、孤独を癒せるのは愛だけであり、手に入れるというのは愛ではなく征服欲でしかない。仮に、今でも篠塚が同類だったとしても手に入れたところで、相乗効果で苦しみが増幅されるだけであり、人は鏡を愛さないため、篠塚の心を手に入れることは絶対に不可能だと理解できずに、未だに彼女を諦めることが出来ずにいる。


結城直人(張道明) -01

2012年10月02日 09時50分49秒 | 高橋美由紀


第2シリーズ「ミッション・ブルー」の最終章「MISSION5~試練の冬~ Episode14」の扉絵に描かれたツーショットこそが、結城の望む妄想である。慎悟と出逢った後の篠塚だったため、この夢は永遠に叶わない。

張道明(チャン・タオミン)

暗殺組織「煌龍(ホアンロン)」のボス。劉の兄達(竜童とロー)からの情報で実在すると知った「UB」を当初は潰すべく探し続けたが、慎悟との待ち合わせに向かう篠塚とニアミスにより、尋常ならざる“気”を内包する篠塚と彼女を要する「UB」の強大さを知り、篠塚の「UB」内のポジションは不明だがその能力に目を付けパートナーという名の下僕にしようと企み、恋人である慎悟を捕縛して彼を“餌”に篠塚を操ろうと企んだ。バイト仲間の友人として「結城直人(ゆうき・なおと)」という偽名を使い、巻き込まれて共に捕まった一般人を装うが慎悟の献身で情報を手にした篠塚に全て露見してしまう。当初は演技だった慎悟に対する友人としての感情はいつしか真実となったがそれを告げることなく別れるが、「煌龍」の幹部である劉は危惧を抱き、篠塚にもまた看破されていた。

慎悟を罠に嵌めた時に篠塚との経緯を聞き出すがコードナンバー及びコードネームは彼が口を閉ざして明かさなかったため、常日頃名乗っている「篠塚」という偽名しか知らず上級メンバーだろうと確信しているが実際に組織のトップナンバーであるという裏は取れないままである。第2シリーズの終盤、欧州の犯罪組織「ENU」により慎悟が拉致された直後、彼に飲ませた発信機を餌に情報を欲する篠塚をドイツに連れ出し、ドイツ人の“デュフナー夫妻”として篠塚を同行の妻の“Frau Dufner フラウ・デュフナー(デュフナー夫人)”とし自身は“ Philipp Dufner フィーリプ・デュフナー”と名乗って検問を突破した。ドイツの山奥にある「UB」所有の隠れ家に落ち着き、篠塚の追及をのらりくらりと躱しつつ「ENU」の首魁の暗殺のタイミングを図った。

今回の目的は2人ではないため、途中までどうこうしようとは考えていなかったが、慎悟に想いを馳せて“女”の顔を見せた彼女に欲情し床に引き倒してレイプしようと馬乗りになり、言外に慎悟の情報と交換に体を奪おうと篠塚に迫った。しかし、無意識にトップとしての自覚を突きつけられ「煌龍」の総帥としての自身が立てた“計画”を自ら壊しかねない危険な行為に気づき、欲望に衝き動かされ暴走しかけるも我に返った。その挙げ句、何も無い山奥で退屈しての悪ふざけだと誤解した篠塚の天然ボケに毒気を抜かれ、体を奪えば心も手に入ると錯覚した愚行ながら未遂に終わった。と同時に、子供扱い・命令口調等の未知の体験をして唖然となり、また恋仲に至るまでの慎悟の尋常ならざる苦労も察した。しかし、未遂に終わったとはいえレイプは犯罪なのだが、その気になるまで待つ自身を“紳士”と言ってくれと図々しく主張した。

実は、「ENU」の首魁であるルーデンベルク家の当主ゲオルグの殺害を企み、「UB」に邪魔されないために篠塚を連れ出し張りついていたが、殺害決行の時が来てわざと雪崩を起こして篠塚から離れたが、ドサクサに紛れて再び引き倒して唇を奪うも彼女の平手打ちを食らった。しかし、取引を持ち掛けた時点で全てを看破されていたことを知り、改めて2人の愛と信頼の強さや固い絆を思い知る。それにも関わらず、篠塚の心を手に入れることも、彼女を支配しようとしても絶対に不可能だと理解できずに、未だに諦めることが出来ない。