goo blog サービス終了のお知らせ 

イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

黒龍王(5) 羅剛、孤独な恋の闘い-恋する冴紗でさえ敵

2007年11月09日 07時05分40秒 | 小説

 帯には「神官は健気な美人、王は不器用な暴君」とある『神官は王に愛される『神官は王を狂わせる』、それに続く第3巻『神官は王を恋い慕う』にも同じ言葉が最初にあるでしょうが“健気な美人”って誰かしら?被害妄想で羅剛に疎まれていると思い込んで羅剛に恨み言をぶつけ、誰にでもいい顔をし綺麗事を並べて自分だけは安全圏にいようと黙秘し、騒動が鎮まるのを待っているだけで何もしない冴紗のことですか?冴紗を大神殿に奪われ、王宮も重臣どもも父のように想う永均さえ自分の信頼を裏切って敵と化すいう孤立無援の羅剛をこそ健気と言うのです。

 羅剛は孤独でした。その孤独を癒してくれる冴紗という光を自ら大神殿に奪われる口実を与えることになってしまったのは、誰よりも信頼していた永均に裏切られたからです。騎士となって羅剛を守る夢を抱いていても誰でも向き不向きというモノがあるのに、獣欲に滾る荒くれ兵士も騎士と謳われるに相応しい男でも、ありとあらゆる男を狂わせる聖なる魔性であるがゆえに、男を狂わせるフェロモンを放つ冴紗が騎士団に入隊を希望したことが間違いだったと本人はわかっていません。羅剛にしか抱かれたくないと言っているけれど本当は誰だって良いのです!誰にでも抱かれて歓ぶのが多情多恨の淫売でしかない冴紗の本性です!!他の複数の誰かに輪姦されて最初は嫌がっても、やがて歓んで抱いて欲しいとさえ懇願するでしょう。

 冴紗は神官になりたくないと思っていて《聖虹使》などには尚更になりたくないし、大神殿を牢獄と疎んでいるのですから、そして、神官になれという王命は預ける名目にすぎず羅剛は神殿に預けただけで本当に神官にしたわけではありません。羅剛が戻って来いといったのですから、虹霓教と縁を切って大神殿から王宮に戻ればいいのに冴紗は自分を疎んで大神殿に追い払ったと被害妄想に浸って、恨み言を羅剛にぶつけてしまいます。

 羅剛が戦乱に巻き込まぬためと兵士たちの獣欲の毒牙から守るために冴紗を“一時、預けた”だけなのに、王宮に置いても大丈夫だと判断して、いざ、冴紗を返してくれと羅剛は言いますが、最長老を首魁とする神官どもは冴紗を宗教的洗脳を施し自ら王宮に戻れぬと思い込ませ、羅剛の返還要求も無視しました。冴紗にも神官として迎えられたのではなくて神官という名目で預かっただけで、危険がなくなれば王宮に戻れるとは教えず、真実を隠蔽していたのですから聖職者が聞いて呆れます。牢獄でしかない大神殿に冴紗を幽閉して羅剛の返還要求を無視した大神殿の神官どもを皆殺しにして、虹霓教総本山は山は聖地巡礼の場として残し大神殿は完全壊滅させるのが最善です。

 王宮の重臣どもが永均も含めて冴紗を遠ざけようとしたのは、冴紗が同性であることに加えて、羅剛の真名《虹に狂う者》冴紗の真名《世界を統べる者》羅剛の従弟・伊諒(いりょう)の真名《次代の王の父》を知って、伊諒とその父以上に冴紗を危険視したからです。それを知って、羅剛から離れようとするのが冴紗の愚かさ、羅剛を不幸にするだけだとわからない愚かさです。

 一国の王である前に一人の人間である羅剛の心が死ねば、王である羅剛も死ぬと冴紗だけは理解しなくてはいけなかったのです。人間である羅剛の心を殺してまでも一国の王である羅剛を優先させた冴紗に、果たして恋愛感情が本当にあるのか疑問です。羅剛に対する冴紗の想いは主君に対する愛情たる忠誠心を“恋”だと錯覚しているのではないのでしょうか?どうしても冴紗が恋い焦がれているとは信じられません。羅剛冴紗もお互いの想いは《愛》ではなくて《恋》ですが、羅剛の方が冴紗だけを恋しているだけ、羅剛を恋しているとしても信じていない冴紗よりはまだマトモですね。冴紗は《侈才邏王妃》として羅剛を、そして、その他大勢の《神の御子》という猿芝居で侈才邏のみならず他国の王侯貴族も、世界中の人々すべてを、誰も彼もという多情多恨の浮気者ですから。

 各村々に点在する虹霓教神殿はご神体として虹石を飾っているのだから、『神官は王を狂わせる』の「Ⅰ 夢の日々」での“崇めるだけなら、虹石に虹の衣装着せておけばよいではないか。これからも、神官や民ども、虹の石を拝んでおればよいのだ”《黒龍王》羅剛が言うように虹石を拝む程度にすれば良いでしょう。虹霓教を信仰したいというのを無理にやめさせたりせずに好きにさせて信仰するにまかせて《聖虹使》は廃して形骸化させれば自然に廃れ人々は忘れることでしょう。伝説に“そういうモノがあったな”という風にね。


黒龍王(4) 侈才邏王妃・冴紗に生まれ変わるのはいつの日か

2007年11月09日 06時19分28秒 | 小説

 嘘を書いてはいけないわ。健気な美人なんて何処にいるの?何ごともやる気なし、流されるままに流され、自分が傷つかずに済む逃げ道を常に選び羅剛含めた周囲を犠牲にする自己保身優先の偽善者で多情多恨の淫売である冴紗『神官は王に愛される』の裏表紙のあらすじ&本文にも“神官なんかになりたくなかった”とありますし、なりたくもない神官に大神殿の者どもに強制されて神官にされたのであれば還俗(=復飾)は容易いはずです。だって、今も冴紗は神官ではないのですから。『神官は王を狂わせる』の「Ⅰ 夢の日々」《聖虹使》という猿芝居が世に災禍を齎すのに“お役目でございまする。――それでも、わたしなどを望んでくださる方々がいらっしゃるかぎり、誠心誠意つとめたいと存じます。…なすべきことをなしてこその、幸せでございますゆえ”本音は《聖虹使》などなりたくないし儀式を済ませなくても《聖虹使》の役目を押し付けられ役目を果たせと最長老と長老どもに無理強いされて嫌々やっているくせに。

 何の価値も意味もなく災厄しか齎さぬ《聖虹使》などさっさと辞めて、誰よりも冴紗を望み恋い焦がれる羅剛だけのために《侈才邏王妃》として誠心誠意つとめるべきです。神官になりたくなかったのなら、《聖虹使》を辞めたいのなら、羅剛の求婚を受け入れた時に“元々、わたくしは神官なりとうはございませんでした。これを機に《虹霓教聖虹使》の御役目を返上し、大神殿を去らせていただきとう存じます。詣でる方々を見捨てるようで心苦しゅうございますが、《侈才邏王妃》も《聖虹使》も責任は重く片手間にどちらもやるなどとは至難の業、いえ、不可能でございましょう!わたくしは誰よりも何よりも羅剛様が大切なのでございます。王宮の重臣方と謀り、羅剛様がわたくしを預ける際の神官という名目を利用して皆様方がわたくしと羅剛様を引き裂いたことは忘れますゆえ、皆様方もわたくしのことは忘れて下さいませ!!わたくしは、これからは羅剛様のことだけを想い、羅剛様のためだけに生きてまいります。”と宣言し、大神殿と決別し依存と甘えを信仰と称する人々を切り捨てるべきだったのです。

 『神官は王に愛される』の「Ⅰ 大神殿」“自分は間違いなく徒人(ただびと)である、と。幾度おなじことを申し上げて、お役目を辞そうとしたことか。……人々は冴紗の姿を目にしただけで畏敬の念をいだいてしまうらしい。聖なるお姿を拝見できただけでありがたい、と平伏して泣き崩れてしまう者も多かった。ゆえに、いやおうもなしに責務をはたさねばならぬ。民たちの心のなかでは、冴紗はすでに『聖虹使』であるのだから。人々は待ち望んでいる。冴紗がまこと、神の御子になる日を。王の許可さえおりれば、儀式はあすにでもとり行なわれる。冴紗は徒人の身でありながら、心にやましい想いをかかえながら、聖虹使にならねばならぬのだ。”冒頭から冴紗の腐った性根がありありと描かれていますね。フェロモンを撒き散らす自分が獣欲のターゲットにしかならない役立たずのくせに自分の夢を壊したと羅剛を責めた冴紗の心は醜い…木偶の分際で!

 『神官は王に愛される』の「Ⅲ それぞれの想い」“世に『虹の御子』の名は知れわたっている。大神殿には連日、侈才邏のみならず、近隣諸国から多数の善男善女が詣る。民の信心を裏切るわけにはいかぬ。”呆れたことに信仰という名目に隠した依存と甘えを真顔で信心だと思い込み、そんな輩は裏切れないが羅剛は裏切る卑劣さには呆れます。挙げ句には、最長老と5名の長老に洗脳され《聖虹使》にならねばならぬのだと思い込み“……わたしは、聖虹使にならねばなりませぬ。禁色を賜ったときから、…それは定められたこと、ほかならぬ王ご自身が、お決めになったことでございますゆえ
虹の禁色を賜わろうが民や神官どもが《聖虹使》と崇め奉ろうが、嫌だと言って還俗すれば辞められる《聖虹使》に定めたのは羅剛だと罵った冴紗聖なる御方などではなくて腐れ外道です!最長老と長老どもに洗脳された木偶は民を背負っていると自惚れているクズだ。

 侈才邏を含めた世界中の人間は居もしない天帝の恩寵が虹色を有する人間によって齎されるという捏造された伝説を真に受けて、たかが虹色の髪と瞳だけで“聖なるお姿”よ、たまたま弓を持っていただけで“聖弓を持ってご降臨成された”などと神聖視するなんて馬鹿と阿呆のオンパレードですね。誰よりも踏み躙ってはいけない羅剛の心をこれでもかこれでもかと踏み躙り、それを“冴紗は、侈才邏のため、羅剛様のためになれるのであらば、――なにもつらくはありませぬ。みごと、『聖虹使』のお役目、演じきってみせましょう”なんて目を開けたまま寝言を言う冴紗は腐れ外道の木偶です。『神官は王に愛される』の「Ⅶ 王宮」羅剛と結ばれることを望んで人々の信心に応えることなどどうでも良いくせに“人々を、民を裏切ってしまった。自分などを《聖虹使》にと望んでくださっていた方々すべてを、いままでのご苦労すべてを、無にしてしまった。”なんて呟いていたけれど自分だけは安全圏にいようとするのですから身勝手すぎる言い訳で本心でないことは確かです。何故なら、冴紗神官になりたくなかったし《聖虹使》にはもっとなりたくなかったのだから。

 その《聖虹使》の存在が…冴紗が演じる口先だけの猿芝居が依存と甘えを増幅させ自ら努力するという気を奪い、国を傾け侈才邏を滅ぼし民を殺し夫王たる《黒龍王》羅剛を殺し彼から冴紗を奪おうとする碣祉王のごとき狂信者をこれからも生み続ける世に禍を齎すパンドラの如き悪女である冴紗が元凶なのですよ!その災いの元凶が現われて《虹の御子》さまが我々を闘わせまいといらしてくださった、などと戦争を回避させたかのように冴紗を救世主扱いで描くなんて戦争を舐めている!馬鹿にしている!!と言わざるを得ません。今回の戦争を引き起こしたのは冴紗の猿芝居である《聖虹使》ですから、そのような諸悪の根源たる《聖虹使》は一日も早く廃業して《銀の月》たる《侈才邏王妃》に専念し、《侈才邏王后・冴紗》として生きるべきでしょう。


難解な漢字で読者を苦しめる作者に唖然

2007年11月06日 03時00分11秒 | 小説
 ガッシュ文庫の『神官は王に愛される』『神官は王を狂わせる』を読むのは頭を抱える毎日です。作者の吉田珠姫(よしだ・たまき)先生は難解難読な漢字を多用して私たち読者を苦しめている現実が理解できないのです!『神官は王を狂わせる』P.13の“羅剛は、あらゆることがらを、詛(のろ)った。”ルビがふってあるのを見落としてしまい、“幼心に、日々憎しみと怒りを滾らせ、詛いつづけた。”の読みを<教えて!goo>で質問したら、回答をくれた人“よくある演出効果を狙ってのことでしょうが、こんな難しすぎる漢字を使う必要性が何処にあるのか理解できません。”と、やはり私と同じ疑問を抱いていました。

 メールでやめて下さいとお願いして返信されたメールには“漢字が難しいというお話ですが…初めてそういうご意見をいただきました。大変驚きましたが、真摯に考えさせていただきます。ですが…実は、私自身はまったく難解な文字だとは思っていないのです。特定の国名、名などは別として、繊弱、愧じるなどは、一般では普通に使っている文字ばかりです。そして、このシリーズはどちらかというと文字遊びの好きな方がお求めになるようなので…大変申しわけないのですが、あまり簡単な文字にすると、かえって読者さまからお叱りを受けそうなのです。ということで、これからこのシリーズには、なるべく振り仮名を振ってもらうように編集部にもお願いしますので(振り仮名指定は、私ではなく、編集部がわかりにくいと思ったところにつけます)どうかご勘弁願います。  吉田珠姫拝”とあり、唖然としました。

 『神官は王を狂わせる』では「P.10“凄寥(せいりょう)”、P.13“詛(のろ)った”&“呪罵(じゅば)”、P.15“窈窕(ようちょう)”、P.19“麗嫻(れいかん)”、P.47“繊弱(せんじゃく)”、P.53“眩耀(げんよう)”&“半立(はんりゅう)”、P.31“躄(いざ)り”、P.60“恬淡(てんたん)”、P.68“嗤笑(ししょう)”、P.103“瓊姿(けいし)”、P.131“婀(あ)やかな”&“褻涜(せつとく)”、P.204“愧(は)じず”」etcとあり、難解難読な漢字&読みは控えめにして下さい、と頼んでも上記のメールにあるとおりです。『神官は王を狂わせる』P.131“婀(あ)やかな”はどう読むのかさえ困惑する辞書にない読み方の表現です。ガッシュ文庫編集部の吉田先生の担当によると「艶やかな」という意味だと思って下さい、とのこと。このように、担当でさえ頭を抱えているようです。それにしても、辞書にすら出ないような難解な漢字&変な読み方の多用はやめて欲しい。 

黒龍王(3) 木偶の操り糸を断ち切れ!愚かな冴紗よ

2007年11月05日 23時44分17秒 | 小説

 冴紗を戦乱と獣欲から守るために預けたのをこれ幸いと、その後、羅剛『神官は王に愛される』の「Ⅲ それぞれの想い」で“言うてみぃ!いっそ、冴紗を放しとうはないと、はっきりとな!さぞや愉快であったろうな。俺の血へどを吐くような狂いぶりは、…どうだ、見ていて笑えたであろう!幾度俺は乞うた?一時預けただけであると、返してくれるのならば、俺は地べたに這いつくばってもかまわぬ、王位さえいらぬと、そこまで言うたはずだぞ”とあることからも最長老を首魁とする大神殿の神官どもは冴紗を返すつもりなど毛頭なく最初から《聖虹使》という名の飾り人形にすえる魂胆だったのは明白です。『神官は王を狂わせる』の「Ⅱ 大神殿での冴紗」にもありますが“戦乱に巻き込まぬためと、いっとき預けただけのつもりであったのに、大神殿は冴紗を返さず、宰相や重臣どもも、『政(まつりごと)と宗教は交わってはなりませぬ。世の乱れのもとでございます』となどと屁理屈を並べ、けして羅剛を大神殿に近づけさせなかった。いま思えば、それは羅剛の激しすぎる冴紗への執着をそらす方便であったようだが、――自分が国法を守らねば、生真面目な冴紗がつらい想いをする。そう思い、言いなりになってきた。”…そんな羅剛の苦しみを、最長老を首魁とする大神殿の神官どもに木偶人形にされた現実に未だに悟らぬ自分の愚かさを気づき、木偶の操り糸を断ち切って欲しい。

 神官どもの木偶人形に堕落した冴紗は《聖虹使》となるべき我が身に神が定められたと思い込んでしまい、大神殿という名の牢獄に幽閉されている事実に気づかず、羅剛の愛は平気で裏切り民の信心は裏切れぬとほざきます。本心は《聖虹使》ごときになりたくないのに『神官は王を狂わせる』で身の安全を取り計らってくれた羅剛によって預けられただけとは知らぬ冴紗“神官として迎えられた”と思い込まされ、それなのに他の神官どもと同じ頭からすっぽり被る黒の神官服を求めても却下され、修行もさせずにいれば生真面目な冴紗のことだから心苦しくなるだろうと“何かお仕事をさせて下さい”と言い出すだろうと待ち構えていた大神殿の最長老を首魁とする神官どもの罠に嵌まり“《聖虹使》としての使命と虹霓教の教え”と称して洗脳された冴紗は大神殿に幽閉されたばかりの15歳の時から《聖虹使》の猿芝居を無理強いされました!最長老どもはほくそ笑むどころか上手くいきすぎて笑いが止まらなかったでしょう!!最大の犠牲者は夫王・羅剛です。

 『神官は王に愛される』羅剛が神殿行きを命じた真意と恋心に気づこうともしないで冴紗は自分がこんなに愛しているのに同性で羅剛は王妃を娶らねばならないから逃避を図り、王の許可がなくてはなれぬのを無許可の事後承諾で《聖虹使》になって大神殿の奥に籠り2度と羅剛には逢うまいとします。勝手に美優良王女を王妃に迎えただろうと冴紗が妄想に浸るけれど羅剛冴紗以外の人間を愛するはずもない彼の心を知らずに旧来の《聖虹使》となるための去勢手術を決行しようとしますが、永均を締め上げて白状させ駆けつけた羅剛に阻止されて未遂に終わり王宮に無事に攫われます。ラストで羅剛の狂恋の暴走に観念した永均と重臣どもはこれ以上冴紗と引き裂こうとする愚挙はやめ、主君の恋の成就と婚姻を認めて竜騎士団を引き連れた永均は羅剛の求婚に随行しました。が…最長老に二役をせよと命じられて羅剛の求婚を受け入れた木偶の本性丸出しでは、冴紗木偶の操り糸を断ち切り人間となって羅剛との真の愛の成就と幸福に至るのは無理かもね。


黒龍王(2) 孤立無援の恋の闇の彼方に

2007年11月05日 23時35分58秒 | 小説
 宗教上の産物である天帝《虹霓神》の聖なる虹色を有する者が国王or王后になれば天帝の祝福と恩寵が与えられるという伝説が根拠の無い作り話に過ぎないにもかかわらず盲信する各国の王家が色素の淡い配偶者を娶り虹色を有する王子or王女を得ようと躍起になっていた呆れた世界だったのは侈才邏(いざいら)の《黒龍王》羅剛の不幸の始まりでした。金髪蒼眼の父王・皚慈(がいじ)と紅髪緑眼の母后・瓏朱(ろうしゅ)との間には必ずや聖なる虹色を有する世継が生まれるに違いないと当事者たちと重臣どもは確信していました。ところが、生を受けたのは黒髪黒瞳の羅剛だったことから、母后は不義を疑われ自害し周囲は愚かにも何の罪もない幼い羅剛を“呪われた魔の子”と侮蔑し、一応は王太子だからとうそ寒い作り笑顔を張り付けていた愚かな家臣どもですが今では冴紗と引き裂いた罪も悔い改め忠誠を捧げています。しかし、他国の国王や民たちは未だに“下賎な黒の魔王”と蔑んでいるのです。それは侈才邏の霊峰・麗煌山に大神殿を構える虹霓教総本山の神官どもとて同類で黒髪黒瞳であるというだけで理由もなく羅剛を侮蔑して、お前らそれでも聖職者か!と怒鳴ってやりたいほどです。

 10年前、羅剛冴紗に対する溺愛ぶりを“もしや、羅剛様は…”羅剛から続くはずの直系の血筋がたたれることを危惧した永均を始めとする宰相や重臣どもは、たかが虹髪虹瞳であるだけで《虹の御子》と呼ばれる冴紗(9歳~15歳)を自分たちすぐさま渡すのが当然と付け上がり羅剛(13歳~15歳)がいつまで経っても大神殿に渡そうとしないのに不満を抱く神官ども結託し、共同謀議により羅剛冴紗は引き裂かれました。永均を筆頭とする王宮の重臣たちと冴紗を《聖虹使》にしたがっている大神殿の神官どもの利害が一致したのです!一夫一婦制である侈才邏の先の国主である父王・皚慈は唯一の嫡子である羅剛の真名《虹に狂う者》と反国王派に利用された羅剛の母方の従弟・伊諒(いりょう)の真名《次代の王の父》を知り神殿という神殿を叩き潰しての虹霓教弾圧を行い、羅剛には宗教的教育を削除して育てました。それゆえに羅剛は“虹色”が何を意味するか知らなかったのです!重臣どもが冴紗羅剛の側から引き離したかった理由は冴紗の真名が《世を統べる者》だったからです!!羅剛冴紗の真の味方は《花の宮》の女官たちだけでした。

 何か冴紗に特別なモノを与えたがっていた羅剛が“虹色の禁色”が何を意味するかを知る前に、そして、神殿側が預かると見せかけて冴紗を囲い込み《聖虹使》としての既成事実を作って時間を経れば羅剛も諦めるだろうと“銀は王妃の色だから駄目ですが、ならば…”と巧みに“虹霓教《聖虹使》の虹色”をそうとは教えずに冴紗にと吹き込み、羅剛にその色を与えさせ更には軍に入隊を許された冴紗が理性の箍(たが)が外れた獣欲に塗れた兵士たちの間に起居させて無事で済むとは思いますまいな、とまたも永均は助言を装い、神殿に自ら引き渡したのだという既成事実と罪悪感を羅剛の心に植え付けたのです。そうすれば、異性である女性を…侈才邏にとって最も利益となる国の王女を正妃に娶り世継を得て安泰だとそればかりを考え、羅剛の狂おしい恋心を見縊っていた永均は重ね重ねも卑劣な策略を仕掛け、己を父のように慕う羅剛を裏切ったのです。

黒龍王(1) 侈才邏の太陽神は狂恋の炎に身を焦がす

2007年11月02日 08時56分30秒 | 小説

神官は、健気な美人。王は、不器用な暴君。そんなふたりの身分差ラブロマン この想いは許されない――それを知りつつも、冴紗(さしゃ)は今日も自分の住む神殿から遠く離れた王宮へと向かう。王宮で待つのは冴紗の愛する人…羅剛(らごう)王。男らしく猛々しい王は、自ら冴紗を神殿に追いやっておきながら、ことあるごとに呼びつけ、いつも辛くあたる。嫌われていてもずっとそばにいたかった…神官などになりたくなかったのに…。あるとき、羅剛王と他国の姫君との婚礼話を耳にし、冴紗の心は乱れる――。激しく切なくそして甘い、一途なロマンス。

 『神官は王に愛される』真の主人公は侈才邏の国王・羅剛であり、冴紗は表向きの主人公なのです。その証拠に、裏表紙に書かれているあらすじは内容とは異なり、これは冴紗の被害妄想でしかありません。羅剛戦乱と獣欲の犠牲にすまいと冴紗を守るために大神殿に“一時、預けた”だけなのに、虹髪虹瞳(こうはつこうとう)の冴紗を神殿のモノにしようと企み冴紗を大神殿に幽閉した神官ども、そして、羅剛冴紗を引き裂き近隣諸国の王女を娶らせ世継ぎを得ようとした重臣どもと羅剛が父のように慕う指南役・永均(えいきん)までもが神官たちと結託しました。そして、“貴方は王命により神官となったのですよ”と神官たちの嘘八百を吹き込まれて愚かにも冴紗は真に受け、自分は神官だと思い込まされていただけなのです。

 画像は、『神官は王に愛される』表紙イラストです。


永劫の愛(2) 仰木高耶を返せ!

2007年10月17日 07時54分35秒 | 小説
 駄作作家・桑原水菜が“ラストに死ぬ主人公”として仰木高耶=上杉三郎景虎を創造したけれど、次第にその設定にそぐわぬキャラに変容していったのに、無理矢理に桑原が謀殺してしまったのです。おまけに、ストーリー性があるように見えて無茶苦茶にして、無駄に長い全40巻でした。

 しかし、番外編と邂逅編は続いているのに停滞させ、別のシリーズに夢中になってサボりんぼと化している腐れ外道の桑原がいつ正気に戻るのか…。直江がナルシストなのが問題だったのに高耶を一方的に悪者扱いするグルグル回る直江の視点から第1部は過半数を占めてることが、創造主たる桑原の直江を贔屓しているのは明白です。だからこそ、直江は地球最後の日まで生き続けるラストで腐れ外道の桑原は物語を完結させたのです

馬鹿な子供ほど可愛い!?マクシミリアン VS ラモン

2007年10月11日 09時17分15秒 | 小説
 山藍紫姫子先生は、ラモン・ド・ゴールのケダモノを、きっと“馬鹿な子供ほど可愛い”という想いを抱いているのでしょうね。手に入れるとは征服欲であって愛ではないという真理を知らない上に、そして体を奪えば心も従うと思い込んだタワケだった。それでも山藍先生は、“青い奴と思って生暖かい目で見てやって下さい”との事ですから。

 しかし、シュリルにあんな酷い仕打ちをしたケダモノ青い奴で済まされません!むしろ、私なら“馬鹿な子供ほど可愛い”と思うのはマクシミリアンです。

エレオノールの乱(2) ラモンを野放しにする革命政府を倒せ

2007年10月11日 09時16分36秒 | 小説

 ベルばらのBGM『アレキサンドライト』を読む時や思い浮かべたりすると私の脳裏に流れます。文庫化されて復活した角川書店のモノを見ると、表紙でシュリルを愛撫する男の手が描かれています。マクシミリアンに違いないと自分に言い聞かせているのですが、あまりにも色黒すぎるので、ラモンかもしれません。あのケダモノが撫でているから シュリルが苦しく哀しい表情を浮かべているのかと心が痛みます。シュリル曰く「褐色の男」ですから!

 エスドリア王国強制送還されギドゥーの牢獄に再び幽閉され、召使は全て監視と行動の規制を行う獄吏達で命令するのは、エレオノール公爵家の離宮に勝手に上がりこんだラモンですからシュリルは、連日連夜、凌辱され衰弱していくばかり。“何を言い出すのか、この褐色の男は”ケダモノに対して心の中で唖然としたり怒ったりする時にシュリルは呟きます。

 王政が滅んで発足した議会は国民の意思を無視する連中のようですね。エレオノールの領民が喜んでシュリルを自分達の大切な主  を迎えたのに、彼らの心情を無視して  シュリルとの間を隔絶したのですから。国王派の貴族故に甘受しなければならない待遇だとしても、シュリルにそんな極悪非道な扱いをしてはいけない存在なのに!と、エレオノールの領民が、無礼千万なと怒り心頭に暴動を起こすのは確実です。国民議会が許してもエレオノール領の民が許さない 絶対に。