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西洋美術関連ブログ 思索の断片
―Thoughts, Chiefly Vague

ビートたけしの超訳ルーヴル (I)

2014-03-18 23:49:33 | 番組(その他)

2014年3月18日放送
開局60年特別番組(日本テレビ)
ビートたけしの超訳ルーヴル

日本テレビで放送されたルーヴル美術館特集。
昨年の特別番組第一弾に引き続き、今回はその第二弾となる。

出演者はビートたけし氏をはじめとして、池上彰、井上真央、大泉洋の各氏を合わせて四名。
それぞれ順に内容を振り返っていこう。

まずはビートたけし氏。

日本人の好きな〈ルーヴル作品〉について、日本テレビは街頭調査を行った。
その結果、上位10作品に選ばれたものについて、たけし氏がコメントを加えていくという内容。

最初にその10作品をすべて挙げておこう。





7 ラファエロ 《聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ
8 フェルメール 《レースを編む女
9 アングル 《グランド・オダリスク
10 レオナルド 《岩窟の聖母


(以下、各作品に対する個人的な感想。「」内はたけし氏の言葉)

1(モナ・リザ)...文句のないところだろう。
「美術界のお伊勢参り」という表現、言い得て妙ではないかと思う。

2(ミロのヴィーナス)...「省略の美」、「日本でいえば、すごい盆栽」。
断片の美学である。

3(民衆を導く自由の女神)...「絵じゃなきゃできない」、「写真では同じ構図にならない」。
写真技術の発達を受け、ドラローシュが1839年に「今日を限りに絵画は死んだ」と宣言した(フランク・ウイン 『フェルメールになれなかった男』 40頁)ように、実際にドラクロワ自身も写真技術のことが念頭にあったとしてもおかしくない。

写真の発明は、多くの画家たちにとって脅威であったと同時に、〈絵画にしかない表現可能性〉について考えをめぐらすきっかけともなった。

4(ナポレオン1世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠式)...「宣伝写真」。
ナポレオンがいわゆる〈自己アピール能力〉に長けていたことの証左であると同時に、ダヴィッドという画家の追従的な態度も目に浮かぶ。

5(ハンムラビ法典)...この10作品のなかではやや異色。
目には目を。

6(サモトラケのニケ)...現在は修復中。
再び展示されるのは今年の夏ごろになるかということだ。

7(聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ)...「わかりやすい」「家族愛、母性愛」「よくあたるホームドラマ」。
〈聖母子の画家〉の面目躍如といった作品である。

8(レースを編む女)...〈この娘の持つ、目に見えない針を中心に、宇宙全体が回っていることを私は知っている〉とダリが絶賛した絵画(→参考、[何かの本のなかで言及されていたように思うが、出典が思い出せない・・・])。

9(グランド・オダリスク)...長い。

10(岩窟の聖母)...こちらがナショナル・ギャラリー(ロンドン)版の《岩窟の聖母》。
たけし氏の言うように、画家が〈本当に〉描きたかったのはルーヴル版の方なのだろう。

たけし氏は、聖母マリアの顔に画家本人の「弱ったな~・・・」という思いをみてとっていた。
面白い。


(左:ルーヴル版/右:ロンドン版)

――――

参考までに、たけし氏の美術書で大英博物館を扱ったものもある(『たけしの大英博物館見聞録』)。
氏独特のユーモアにあふれた一冊になっている。

長くなったので、たけし氏以外の三名の放送分に関してはまた改めて書くことにしよう。

超訳。