旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅先でのトラブル回避について新しく気づいた事

2017年12月04日 | 旅行一般
 最近、珍しく、旅とはほぼ無縁の人達と食事をする機会がありました。私のバックグラウンドをよく知っている人達なので、当然お酒が入ると話は旅行ネタに振られて来るのですが、旅行好きの夕べに参加されるメンバーとは違って、旅することとは無縁の人達と話す場合、少しでも興味を持ってもらうことから始めなければなりませんから、変な食べ物か、おもしろネタか、オカルト的な話などで盛り上げる感じです。

 今の時代なので、案外みなさんが興味を持つのは”危険ネタ”。とくに今はいろいろな報道がされますから中近東を旅した経験があると聞けばよほど危ない目にあっていると想像されるのでしょう。

 ところが、過去にもここで触れたことがあるように、私は皆さんが想像するほど危ない目にあったことはありません。日本赤軍の手配犯と間違われて一時拘束される程度の事や、妙な飲み屋でボッタクられたりする程度の一般的なトラブルはありますが、それだって片手で数えられる程度です。

 もちろん、私なりに危険回避のための工夫をしながら旅してきたわけですが、自分の中ではそれを具体的に説明できるほど言葉にできておらず、”空気を読む”とか”経験から来る勘”を大切にすることかなと思っていたのです。

 スーパーカブで旅するタイ北部タイ&ラオス路線バスの旅に参加された方に時々不安がられたり驚かれたりするのは、けっこう、街で声をかけてくる”客引き”の話を聞く事なのですが、ヤバくなったら逃げられる程度の距離感はいつも持っています。
 
 私のトラブル回避の具体策はこの”距離感”が中心であって、”空気を読む”とか、”勘”はもちろん頼りにしますが、海外という異文化の中では”空気を読む”も”勘”も大抵は的外れで、どちらかと言うとより”ヤバイ”と思うに過ぎない事が多いのです。
 
 つまり、”勘”や”空気を読む”力を頼りにすると、いたずらにビビって消極的に過ごしているだけになりがちなのです。

 もう少ししっかりした指針があるといいですよね。

 しばらく前の記事で、”旅先のローカルルール”について触れましたが、この記事を書きながら、日本人でホントにバーでのケンカの原因になる人なんていないだろうなと思ったのが発端となって、知らず知らずのうちに実現していた旅先でのトラブル回避の形がみえてきたのです。

 旅先のローカルルールの事例で言えば、例えばカントリー愛好者の集うバーでうっかりロックをジュークボックスに入れてしまったとします。地元の常連からブーイングされて、ちょっと気の強い常連がスゴみながら文句を言いに来たとしたら、多分日本人旅行者なら”すみません”と謝るでしょうし、”出て行け!”と言われたら出ていくんじゃないでしょうか。そこで”オレだって客なんだからどの曲入れようが自由だろう!”と強い自己主張をする人はあまりいないと思います。だから、地元の常連にスゴまれるところまでは起こり得ても、殴り合いのケンカになることはまず無いと思うのです。

 これが安全確保の上で結構重要な項目。欧米の人達はもっと強く自己主張するように育てられていることが多いので、暴力沙汰にまで発展してしまうのでしょう。

 日本人の場合は自然と”郷に入れば郷に従え”という意識が身についている人が多いですし、そこまで強く自己主張するのはあまり日本社会では良い事とはみなされませんから、適当に自分を引っ込める事に慣れています。これがどの国へ行っても日本人が比較的好かれている一つの”長所”だということをほとんどの日本人が知らないのが残念なところ。
 
 自分の主張や考えと旅先の人々の考え方が食い違った場合、旅先の人々の考え方が優先する事は大抵の人は理解できるのではないでしょうか。つまるところ、旅先の人々の風俗、習慣、文化に敬意を払うということです。それができれば一つの有効なトラブル回避の技術として機能するのです。

 ”なーんだ、そんな事。自分は実践できるしできている”と思う人も多いと思います。

 ”旅先のローカルルール”で取り上げた例はカナダのバーでの話なのですが、同じことがタイで、ラオスで、中国で、起こったらどうでしょうか。同じように素直に謝って退散できない人もいるのでは?この辺が日本人の弱点で、対欧米人の接し方と対アジア人の接し方がガラリと変わる人が多々おられます。

 タイやラオスを旅しながら、日本との違いを探して、その全てについて
 ”だから彼らは駄目なんだ”
 と言う旅行者は山ほどいます。

 逆の立場で考えてみてください。
 他国から日本を訪れた旅行者が事あるごとに”だから日本は駄目なんだ”とか表現していたら、それが的を得た批判であっても何だか少し気分を害しますよね。気分を害した相手からなら何かの機会があればボッタクったりするのに躊躇しないでしょう。逆に自分達の文化や風俗や習慣に敬意と興味を持ってくれている相手になら親切の一つもしたくなるではありませんか。

 渡航先の文化、風俗、習慣に常に敬意を払うこと。それらに興味を感じる感性を持ち続けること。これが結局は旅先でのとても有効なトラブル回避につながっていきますし、第一、旅先をより楽しむ上でもこの感性が必要とされるものなのです。

◆◆◆第6回旅行好きの夕べ開催/参加者募集◆◆◆

 旅先での楽しい体験や失敗談、有益な情報など、旅行好き同士で語り合おうではありませんか。

□日時:2017年12月8日(金) 19時~22時
□場所:四谷三丁目 サロンガイヤール
□参加費:3,500円/食べ物、飲み物代込み(飲み放題ではありません)
□内容
*旅の写真上映会
*ヘンなものや良いものが当たるかもしれないじゃんけん大会
*懇親会
□お申込み、お問合せは下記からどうぞ
http://www.bekkoame.ne.jp/i/eandg/event/yube.html 


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