旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

西部劇の旅人

2007年10月27日 | アウトドア
子供の頃、西部劇が好きでした。いや、西部劇だけでなく、戦争映画や刑事物など、アクション映画と分類される映画や場合によってはバイオレンス映画まで好きであったと言うのが正確な表現でしょう。今、自分の子供達を見ていても、やはり男の子たちはそういった映画に興味引かれる様子ですから、もしかすると人間のオスの本能的なものなのかもしれません。そういった子供たちに"個性を尊重"するという名目で、本能を優先していては、そりゃあ親だって友達だって殺してしまうのではないかなどという考察をするのがこの場の目的ではありません。

そう。西部劇の話です。

私が小学校中学年頃になって西部劇の中でいつも心引かれたシーンは野宿シーン。馬の鞍にクルクル丸めて載せてきた毛布を大きめの木の下なんかにパッと広げて、小さな焚き火を眺めながらブリキのカップからコーヒーを啜っているようなシーンが登場する事がありますね。あのシーンにはいつも痛く興味を引かれたものでした。

マカロニウエスタン時代のクリントイーストウッド主演の作品"名前を忘れました"の冒頭シーンで、ホコリまみれのイーストウッドが飼い葉桶か何かの中で寝ているシーンがあるのですが、あのシーンなんかはなぜか子供の頃の私の心にグッときたシーンでした。

その頃、キャンプをする事を覚えた私にとっては、テントを使わずに野宿して、雨が降ってきたらどうするのかという事が気になって仕方がなかったわけです。その頃の私には、西部劇の他のシーンに出てくる荒野から、降雨量の少なさを連想する事ができなかったわけで、自分自信がキャンプ中に雨で慌てた経験ばかりと重なってしまったのでしょうね。

だから、就寝中に雨が降ってきたらどうするのか、それを描いた西部劇があるのではないかといろいろな映画を(テレビ放映で)見ましたが私が見た限りではありませんでした。

雨が降ったらどうするかは永遠の謎のままでしたが、私にとって西部劇の身軽で気ままな野宿は理想の旅のスタイルの一つでした。だから子供の頃も、雨を警戒してテントを持って行きながら、敢えてテント外で寝てみたりもしたものです。ただ、そういう時に限って雨に降られて、結局テントに非難するわけですが・・・。

そういえば、西部劇ではありませんが、"Stand by Me"も子供たちが毛布をバッグに括り付けて線路伝いに旅するシーンが中心でしたね。あんなシンプルな旅が今でも好きです。いや、シンプルな装備、シンプルな考え方の中で、創意工夫をこらして気ままに旅するのが好きです。

私はその後、中近東やオーストラリアなどの乾燥地帯を野宿しながら旅する機会を得ましたが、やはり真っ先に試してみたのはあの旅のスタイル。毛布ではなく寝袋を使ってはいましたがテントはいつも省略です。

テントを省略してみると、設営、撤収の手間が半分以下。そして荷物は1/3以下で済みます。天気が良ければ満点の星を眺めながら眠る事もできます。夜眠るという事だけのために、重量と嵩のあるテントを持ち歩く事がその後は面倒になり、今は日本でも極力テントは省略です。

ついに西部劇を見てあこがれた旅のスタイルを自分の物にする事に成功したわけです。


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