旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

タイ、ラオス 路線バスの旅 第2日

2014年10月07日 | 旅の風景
9月22日(月)

 北へ向かう列車の中で夜が明けて寝台も片付けられると車窓には東北タイの田園風景が広がります。水田の周囲のあぜ道にバナナの木が植えられていたり、背後の森にヤシの木が生えている東南アジアの田園風景はなぜかいつも私の心を強く捉えます。

 ところが今回、外は雨模様です。そういえば今はまだ雨期。バンコクが晴天だったので油断していましたが鉄道の沿線は雨が降っていたり、今は降っていないけれど地面が濡れていて先ほどまで降っていた事を感じさせたり、あるいはいきなり日の光がさしてきて、地面にも雨が降った形跡が無かったり、鉄道が進むに伴って何度も違った天候が現れ、その度に気持ちの中で一喜一憂を繰り返します。

 終点ノーンカーイの駅は幸い雨は降ったりやんだり。降っても小降りで気にならない程度でありました。

 昨夜、鉄道の中で、今回の旅に唯一用意した資料であるラオス観光局のパンフレットを探したのですがどうやら忘れてきたらしく、ここから先は完全に出たとこ勝負になります。ノーンカーイのバスターミナルからビエンチャン行のバスが出ていて、これに乗ってしまうのが一番シンプルな国境の越え方だと私は考えていました。ノーンカーイ駅を出た所にトゥクトゥクが数台待機していて、客引きが”ラオボーダー?”と声をかけてきます。”バスターミナル”と言う私に”その後ボーダーへ行くんだろ?だったらボーダーへ行こう”と。その勢いに気圧され、また、朝で頭が少しボーっとしていたのもあって国境行のトゥクトゥクに他の旅客と一緒に乗り込みます。当初のプランは崩壊。トゥクトゥクで国境へ。タイを出国した後国境の橋を渡るシャトルバスでラオス側の入国審査を通る手段でラオスに入ったのでありました。

 ラオスへ入国したところでタクシーやトゥクトゥクなど様々な乗り物の料金表がボードに書いて掲示されています。少し強引なタクシードライバーが”乗ってけ”と声をかけてきて、”車を見るか”というので、あまり乗る気は無いけれど一応行ってみると多いのほか新しい車でした。暫くタクシードライバーと話をしてみます。ホテルやゲストハウスも知っているから連れて行ってくれるという話に少し心惹かれましたが一人旅の私に5人乗りのエアコン付きタクシーはオーバークオリティ。結局、トゥクトゥクで移動する事にしました。
 
 乗せてもらったトゥクトゥクのドライバーは英語を堪能に話します。最初はどうしても800バーツのホテルへ連れて行きたいようでしたが、強引にゲストハウスが良いと言い張る私に”ゲストハウスは郊外にしかない”と郊外のゲストハウスへ。道中、”明日はどこへ?”と尋ねられて、”バスでルアンパバンへ向かう”と告げると”それならノーザンバスターミナルだ。ビエンチャン郊外、15km位離れているから明日も車が要る。電話くれれば送っていく”と。その他、距離が450kmである事、悪ければ8時間位かかるという情報を聞くことが出来ました。ルアンパバンへバス移動する計画であるけれど、何の情報も持っていない私にとっては、結局とても貴重な情報となりました。

 郊外のゲストハウスはまだ新しくとても清潔。もともとビエンチャンにあまり強く惹かれていなかったので郊外の田舎町を楽しむことにしました。チェックインを済ませ、支払いも済ませて部屋へ入り、シャワーを浴びたあと、食事にでも出かけようとしたら外は激しい雨になっていました。ゲストハウスの客室係と思われるオバサンに”雨だね”と身振りで話しかけると、”傘は?”と手振りで返された。タイではスコールが来てもすぐ止むので傘をさしている姿はあまり見ないのですが、外を見ると傘をさして歩いている人が数人。もしかするとここの雨はしとしと降り続くのかもしれません。
 
 食事ができる場所身振りで教えてもらったのですが、少し雨の止み間を待たねばなりません。時間つぶしに日記を書こうとデイパックのポケットを空けて手帳を取り出すと、なんと手帳の下に、デイパックから出し忘れた折り畳み傘が出てきたのでありました。これで食事に出る事ができます。

 傘を持って食事に出かけようとして気がつきました。そういえばチェックインした際、部屋の鍵をもらっていません。先ほどのオバサンにまた身振りで”鍵が無い”と知らせると、”中に居る時はかんぬきをかけて””出かけるときは誰か見てるから鍵をかけなくて大丈夫”とタイでは考えられないような話。郊外の村だからなのか、ラオス全土がそうなのか、どうやら治安は良好な模様。

 宿のすぐ隣のお店でバーミーナームの食事をしていると叩きつけるような激しい雨が降り始めて、店の出入り口をウロウロしていた鶏も植込みの中で雨宿りを始めました。私もお店で雨宿り。バーミーナームについてきた野菜に山盛りで入っていたペパーミントの葉を時々口に運びながら雨が小降りになるのを待ちます。

 そういえば地図を入手し忘れている事に気がつきました。雨が小降りになったところで傘をさして辺りをぶらぶら歩いてみましたが地図は目にしません。ゲストハウスへ帰ってフロントで地図があるか尋ねてみましたが”MAP"という英語は通じませんでした。たまたま通りかかった近所の人が通訳してくれましたが地図は無いとの事でした。

 1980年代のパキスタンでも、1990年代のグァテマラでも町の地図を手に入れるのにそれほど苦労はしませんでしたが、これまたビエンチャン郊外の町であるためか上手くいきません。近くのバザールを覗いてみたり、商店を見てみたりもしましたが結局地図の入手には失敗。こうなってくると俄然、入国時に乗ったトゥクトゥクの情報は貴重なものとなります。とはいえ明日、国境から乗ったトゥクトゥクを再び国境から呼び寄せる必要があるほどの不安は感じる必要はなさそうです。

 部屋へ帰って少しだけ昼寝したあと、もういちど周囲をぶらぶらしてビールを飲みながら夕食をとります。明日は8時間のバス移動。余裕を見るなら8時より早いバスに乗りたいところ。ここから離れている事を考えると6時過ぎには移動を開始しなければなりません。それに備えて夕食後は早めに眠る事にしたのでありました。


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