旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

宗教の話0

2007年04月06日 | 宗教
ある時、カナダオフロードファンライドの休憩時間に現地ガイドのデイブが、"お前は信仰心のある人間か?"と突然聞いてきたのです。私は、"もちろん"と答えて相手の反応をうかがいます。

昔から"宗教と政治の話は親友でもケンカになる"と言われていて、少し危険な話題なわけですから、相手の意図を図りかねたわけです。

次に出てきた言葉は"それじゃあ、日曜日には毎週、教会とか寺院に行くのか"

私は正直に、"今は行かない。"

と。その途端、デイブの顔が苦笑に変わり、他のガイドに言いました。

"こいつ、また適当な事を言ってるよ"。

どうやら現地スタッフの間では、私は英語を話すのを面倒がって、重要でない事には適当な受け答えで話を早く切り上げようとする人物として位置付けられているようです。まあ、当たらずとも遠からずな面もあるので、彼らは人を見る目があるとも言えます。

私はこのまま切り上げようかと思いもしましたが、何となく単なるウソつきと思われるのも本意ではなかったので、"私は仏教寺院に所属している高校を卒業してるんだよ。だから、君達とはレベルが違うのさ。"と一言。

ただ、これ以上この話に深入りもしたくなかったので"全ての宗教が日曜日のたびに教会へ行く習慣を持っているわけではない"と言うのは控えておきました。

実際に信仰心のあつい人間であるかどうかは別として、私はその実、子供の頃、小学校に入学する前までは何故か毎日曜日に教会に通っていた事があります。私の母親の実家が仏教寺院である事から考えるとかなり奇妙な事なのですが、おそらくその頃、近所の子供たちの間で流行っていたのかもしれません。

随分、熱心な牧師さまであったようで、その頃の記憶は既にあまり残っていな いにもかかわらず、大きな模造紙を絵本か紙芝居のように使って、聖書の中に 描かれている事柄を少しずつお話ししていただけるのを、毎週楽しみにしていた事を覚えています。少し不謹慎ではありますが、信仰というよりも、絵本を読んでもらえる事と同じように楽しみにしていたのです。

その後、高校受験に失敗した事が原因となって仏教系の高校へ進学したのです。ここには当然"宗教"の授業があります。高校生、しかも本意ではなくそこに入学した生徒にとっては正直な話、"カッタルイ"時間でありました。しかしある日、ふと思ったのです。

今から2500年近く前の思想でありながら、現在まで語り継がれてきた思想、そして、その世界では日本でも歴史のある寺院で修行をする修験者達から話を聞ける機会は自分の人生に於て今後再び訪れる事はかなり難しいのではないかと。

そこで、せっかくだから、話はちゃんと聞こうと決めました。それから、もし自分が得になりそうな思想であれば上手く吸収してやろうと。

まさに煩悩の塊ですね。

そこで語られる内容はある意味衝撃的で興味深い事柄でした。それまでの私にとっての宗教というのは死後の世界や迷信に関る事であって、科学全盛の現代にはあまり関係のない事だと思っていたのですが、むしろ、現世の人間の精神を安定させたり、悩みを解消するためのテクニックにも見える内容だったのです。

そういう目で宗教を捉えるようになると面白くなってきたわけです。そこで子供の頃にいただいた新約聖書をもう一度取り出して読んでみたりもするようになりました。

こういう習慣はその後、多くの世界を世界を歩きまわる中でも抜けません。イスラム教の国へ行けば、イスラム教がどのように人々の幸せを実現しようとしたかという事を常に意識してしまうし、タイの山岳少数民族、カレン族の自然崇拝の中で暮らしてみた事もあります。そして、その中でどんな事が今の自分に役に立つのかを考えてきたのです。

やはり結局は煩悩の塊ですね。

さて、ほとんどの宗教思想に於て、修行を修めた者以外が思想を語る事を固く禁じています。ですから、私はあらゆる宗教の理念に反する事をやろうとしている事となります。また、前にも書いたように"宗教と政治の話は親友でもケンカになる"とも言います。

が、ここであえて、しばらく時間をかけて私が目にし、体験してきた宗教というものについて書いてみたいと思いたったのです。

さて、ここまでは前書きです。そして今回は前書きで終了です。どうしてここ まで前書きに時間を裂いたのかというと、この先書いていく事は非常にデリケー トな内容にもなるので、どういう体験から書いているのかをまず知っておいてもらうことが必須だと考えたからです。

皆さんにここからの内容が役に立つかどうかは分かりません。そして、もしかすると真剣に宗教に携わる方々には不快な部分もあるかもしれません。

ただ、私はずいぶん助けられました。なんせ私には森や川の精霊も、阿弥陀如来も、イエスキリストもアッラーもついているのですから。多分。


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