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玉飛接近

右玉&左玉、ときどき詰将棋

歩の判断

2012年11月09日 | 右玉
今回は端歩と飛先の歩について。

1.端歩

端歩を受けるのが右玉の基本です。
特に対居飛車の場合は玉側の歩は必ず突くものと思ってください。玉の広さが違います。
対振り飛車の場合は読みを入れた上で判断するとしか言えない(対振り飛車右玉の玉側の端歩の判断はとても難しい)のですが、個人的には囲いが完成している場合は突いてもいいと思っています。端攻めを食らう可能性がありますが玉の広さが違いますし、入玉する時に有利に働く場合があるからです。
角側の歩ですが、対居飛車・対振り飛車ともに急戦以外は突く(または受ける)のが基本です。

2.飛先の歩

飛先の歩を▲2六歩のままにするのか、▲2五歩と突き越すのかは非常に難しい問題です。
実戦経験を積んで自分なりの基準を作るしかないのですが、参考までに私の判断基準を書きます。
と言っても、基本的に▲2六歩と突くタイミングの判断(→ここ)と変わりません。
 1.相手玉の位置・囲い
 2.急戦の有無
それぞれについての説明です。
まず1。玉の位置については以前書いたので、今回は囲いについて書きます。
 ・矢倉……先攻できる場合は▲2六歩保留先攻されそうな場合は▲2五歩と突き越す
 ・菊水矢倉……▲2五桂と跳ねるため▲2六歩保留
 ・左美濃……銀冠への組み替えを阻止するため▲2五歩と突き越す
 ・ミレニアム……上部を厚くさせないため▲2五歩と突き越す
 ・穴熊……▲2五桂と跳ねるため▲2六歩保留
次に2。以前、急戦の有無は相手の右銀の位置・動きで判断すると書きましたが、今回はそれの延長線上の判断となります。囲い完成後の急戦(矢倉+斜め棒銀or7五での1歩交換)に対してのみ▲2五歩と突き越すことを考えます。これは継ぎ歩攻めのカウンター(基本手筋集で紹介します)を入れるためです。▲2六歩保留のままでも戦えるのですが、継ぎ歩攻めは終盤に利くこともあるので、突き越した方が得です。

以上が私の基準ですが絶対にこう指さなければならないというわけではありませんので、実戦経験を積んで皆さん独自の判断基準を作ってください。

玉の囲い方

2012年11月07日 | 右玉
今回は玉の囲い方について。


基本図からの玉の囲い方を4パターン紹介します。
「○手囲い」で統一しましたが便宜上のものなので、正式名称ではありません。
皆さんの好きなように呼んでください。


(基本図から)5八金→2九飛→4八玉で完成。
「3手囲い」は戦場に1路近いのが短所ですが、手早く完成するのが売り。


(基本図から)4八玉→2九飛→3八玉→4八金で完成。
「4手囲いI型」は、スタンダードな囲い方。
4八玉の瞬間に6九角と打たれる隙が生じますが、返し技があるので大丈夫(基本手筋集で紹介します)。


(基本図から)5八金→2九飛→4八玉→3八玉で完成。
「3手囲い」から右に1路玉が寄った形。
バランスがとれ、見た目もかっこいい(笑)。銀の退路がないのが短所。


(基本図から)5八金→2九飛→4八玉→3八玉→4八金で完成。
「4手囲いII型」から右に1路金が寄った形で、1手遅れて「4手囲いI型」と同形になります。

以上、玉の囲い方を4パターンを紹介しましたが、どれを選択するかで戦い方が変わります。
1手の違いが大きく影響するのでどう囲うか迷いますが、状況に応じてとしか言えません。

右玉の短所/弱点

2012年11月05日 | 右玉
今回は右玉の短所/弱点について。

1.玉が薄い

右玉は玉が薄い
上の図は天敵のひとつであるミレニアムとの比較ですが、玉の固さが段違いなのがお分かりいただけるでしょう。

2.端が薄い

右玉は桂を跳ねているため端が薄い
この弱点を突いたのが地下鉄飛車。上の図は地下鉄飛車が成功した局面です。
地下鉄飛車への対抗策はいずれ紹介したいと思います。

3.飛車がいないとスカスカ

下段飛車のない右玉は脆い
上の仮想図のように下段に飛車を打たれると一気に狭くなります。
飛車を上に移動させる時、飛車交換をした時は十分気をつけましょう。
また、銀・角の割り打ちや桂の両取り(あるいは王手)も要注意です。

4.4六は急所

上の簡略図は後手が角を展開し△4六歩と打った局面。
▲5八銀とするほかありませんが、△4七銀と王手され陣形が崩壊します。
4六の地点は右玉の急所のひとつ角以外の駒が利いた状況でも小鬢(こびん)攻めや玉頭攻めは成立するので要注意です。

5.筋違い角

右玉は筋違い角に弱い。これから3例見ていただきます。

その1 △5四角

右の図は△5四角の仮想図。後手の角は左右の桂頭を睨んでいます。
左の図は佐藤康―羽生戦(→棋譜)。一手損角換わりに右玉で対抗した将棋で、▲6五桂に△5四角と打った局面です。この角打ちは非常に厳しく、先手は必死に粘りましたが負けました。ぜひ棋譜をご覧ください。

その2 △5六角

上の仮想図は王手金取りが決まった局面。これが決まると大抵負けます。

その3 自陣角

最後は自陣角。
右の図は青野―郷田戦(→棋譜)で、遠見の角が見事に決まった一局。
左の図は木村―羽生戦(→棋譜)で、一手損角換わりに右玉で対抗する作戦を壊滅に追い込んだ名手。
ぜひ棋譜をご覧ください。

右玉の長所/利点

2012年11月03日 | 右玉
今回は右玉の長所/利点について(題材は全て私の将棋)。

1.相手玉を睨む大駒

第1図は▲6五歩と角の利きを通した局面。
(間に歩と銀がありますが)2二にいる後手玉を睨んでいます。
また、飛車も(間に歩がありますが)後手玉を睨んでいます。
後手はどうかというと、8筋を睨んでいますが先手玉に何も影響はありません。
右玉が矢倉に対して相性がいいのは、大駒が相手玉を睨んでおり作戦勝ちできるからなのです。

2.下段飛車

第2図は▲7七桂と跳ね、飛車の利きを通した局面。
お互い角を手持ちにしていますが、先手陣に角を打ち込む隙はありません。当たり前のことですが、これが非常に大きいのです。
一方、後手陣は角の打ち込みに気をつけながら陣形を整えなければなりません。

3.玉が広い

第3図は△4七歩成に▲同玉とした局面。
先手玉は広く、後手がいくら王手しても詰みはありません。
右玉は広さとバランスを主張する戦法なので第3図のような局面になると強く、入玉が可能となります。

駒組みの一例(対振り飛車編)

2012年10月20日 | 右玉
今回は対振り飛車の駒組みの一例を糸谷六段の将棋を題材に紹介。

対四間飛車編(糸谷―鈴木[2009年 NHK杯]) 棋譜
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△6二玉▲2五歩△3三角▲3六歩△3二銀▲3七桂△7二銀▲4六歩△7一玉▲3八金△5二金左▲4七銀△4三銀▲6六歩△3二飛▲6八銀△5一角 ▲5七銀△3五歩▲同歩△同飛▲3六歩△3一飛▲6五歩△3三角▲6八金△8二玉▲4八玉△4一飛▲7五歩△9四歩▲9六歩△5四歩▲2九飛(第1図)


対ゴキゲン中飛車編(糸谷―中原[2006年 朝日オープン])  棋譜
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲4八銀△5五歩▲4六歩△5二飛▲4七銀△6二玉▲2五歩△3三角▲3六歩△7二玉▲3七桂△4二銀▲6六歩△4四歩▲7八銀△4三銀▲6七銀△5四銀▲6八金△8二玉▲9六歩△9四歩▲3八金△7二銀▲4八玉△6四歩▲7七桂△5一飛▲9七角△6三銀上▲2九飛△5二金左▲8六歩△4一飛▲8五歩(第2図)


どちらも一気に進めましたが、囲いを優先するのがポイントとなります。