玉飛接近

右玉&左玉、ときどき詰将棋

2013年2月の詰将棋

2013年03月15日 | 詰将棋
前月に解いた詰将棋の中から気に入った作品を紹介する「詰将棋紹介」の新シリーズ第2回。
2013年2月は芹田氏の短編と添川氏の超長編の2作品。

「詰将棋サロン」入選作。この初形から詰上りを予想できる人はあまりいないでしょう。優秀作レベルだと思うのですが、残念ながら選ばれませんでした。
芹田修氏は指将棋の強豪でもある実力派作家。軽快な捌きの中に精緻な読みを要求する短中編を得意とされています。


「大学院」入選作。500手超えの超長編ですが、何をすればいいのかは初形を見れば明らかなので、是非チャレンジしてみてください。
添川公司氏は半期賞・塚田賞・看寿賞を幾度となく受賞されている、現代を代表する長編詰将棋の第一人者。作品集の刊行が待たれます。

右玉ニュース

2013年03月12日 | 右玉
右玉ニュースという名の穴埋め記事。

1.千田翔太三段が四段昇段
 森信雄七段門下の千田翔太三段が2月23日に行われた第52回奨励会三段リーグ戦で最終日を待たずに四段昇段を決めました。
 千田三段は右玉を得意としているそうなので、活躍が楽しみですね。

2.右玉本、発売
 かつて「level.8」という右玉専門サイトを開設されていたレベル8さんが、電子書籍で右玉本を刊行されます。
 発売は3月27日(予定)。

3.細川大市郎さん、GPS将棋に勝ち100万円獲得
 ニコニコ動画で電王戦記念企画「人類vs最強将棋ソフト 勝てたら100万円!」が行われていましたが、3月3日に細川流右玉で有名な細川大市郎さんがGPS将棋に勝ち100万円を獲得。
 △6三玉というバグ手があったとはいえ、GPS将棋の最新版fishに勝つとは凄い!
 因みに、中川慧梧さんと下平雅之さん(高田流で勝利!)も100万円を獲得されています。

開始日時:2013/03/03
先手:細川大市郎
後手:GPS将棋
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7八金 △8八角成
▲同 金 △3二銀 ▲3八銀 △6二銀 ▲4六歩 △6四歩
▲4七銀 △6三銀 ▲5八金 △5四銀 ▲3六歩 △3三銀
▲2六歩 △6二玉 ▲6六歩 △6三玉(第1図)

▲6七銀 △7四歩 ▲1六歩 △4四銀 ▲2五歩 △9四歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2二歩 ▲2八飛 △9五歩
▲7七桂 △7三桂 ▲7八金 △8五桂 ▲同 桂 △同 歩
▲5六歩 △3三桂 ▲4八玉 △3五歩 ▲同 歩 △同 銀
▲3六歩 △4四銀 ▲2三歩 △2五桂打 ▲2二歩成 △同 飛
▲2六歩 △2四歩 ▲3四桂 △2一飛 ▲8二角 △7三角
▲同角成 △同 玉 ▲2五歩 △同 歩 ▲7七桂 △7二金
▲7五歩 △同 歩 ▲8五桂 △7四玉 ▲8一角 △7一金
▲5四角成 △同 歩 ▲2二銀 △同 飛 ▲同桂成 △6二角
▲7二歩 △同 金 ▲6一飛 △5一金 ▲9一飛成 △6三玉
▲8一龍 △6一角 ▲9三桂成 △3八歩 ▲同 銀 △7一金
▲9一龍 △8一歩 ▲9二龍 △5五歩 ▲8三成桂 △8二金
▲同成桂 △同 歩 ▲7四歩 △同 玉 ▲8六香 △5六歩
▲同 銀 △6三玉 ▲8二香成 △5七歩 ▲4七金 △5八歩成
▲同 玉 △5五歩 ▲6七銀 △5六歩 ▲同 銀 △5五歩
▲6七銀 △5六歩 ▲同 銀 △3九銀 ▲2七飛 △2六歩
▲同 飛 △2八歩 ▲3七桂 △9六歩 ▲9三龍 △7三角
▲7四歩 △同 玉 ▲8五金 △6三玉 ▲7四歩 △5三玉
▲7三歩成 △5二角 ▲6二と △8三歩 ▲同 龍 △6三桂
▲5一と △9七歩成 ▲7一角 △4二玉 ▲5二と △同 玉
▲7二龍 △4一玉 ▲3二成桂 △5一玉 ▲2一飛成 △3一歩
▲同 龍(投了図)まで149手で先手の勝ち

中原の右玉(2)

2013年03月09日 | 右玉
前回の続き。第2図からの進行を見ていきます。


△3五歩▲同歩△3六歩▲8二角(第3図)

後手は△3五歩と弱点の桂頭を攻めてきます。それに対し素直に▲同歩と応じ、△3六歩に▲8二角と角を打ち込みます。この角打ちからの構想を可能にするために▲5六銀~▲8五歩と指したのです。
角換わり右玉では手持ちの角を敵陣に打ち込んでポイントを稼ぐのは基本。ただ、通常よりも薄い陣形のうえ先に駒損をするのでかなり不安ですが、右玉が指せる流れになっています。この後の指し手を見てみましょう。

△9三香▲7一角成△8七角▲同金△同飛成▲8一馬△8八龍▲4七角△3七歩成▲同玉△5二銀▲3六馬(第4図)

飛車を閉じ込められた後手は△9三香と逃げてから△8七角~△同飛成と龍を作り好調のように見えますが、▲8一馬が狙いの一手。銀取りのうえ、遠く自陣玉頭に利いています。
△8八龍に金取りに▲4七角と受け、▲3六馬と引いて玉頭を制圧した第4図は先手よし。

この後、玉頭攻めが炸裂し、127手で先手が勝ちました。
中原十六世名人の指し回しはとても参考になるので、ぜひ並べてみてください(棋譜はこちら)。