玉飛接近

右玉&左玉、ときどき詰将棋

三段玉

2012年05月30日 | 将棋
24高段者のA氏が変態戦法を指していたので序盤を紹介。

▲7八金△3四歩▲4六歩△3二銀▲4八銀△4二飛▲3六歩△6二玉▲5六歩△7二玉▲6八銀△8二玉▲2六歩△4四歩▲5七銀左△4三銀▲2五歩△3三角(第1図)

ここから対振り右玉に組むと思っていたのですが……。

▲5八玉△9二香▲4七玉△9一玉▲3八金△8二銀▲9六歩△7一金(第2図)

三段玉! 変態戦法好きの私でも、流石にこれは真似したいとは思いません。

後手の猛攻を受けきり、113手で先手のA氏が入玉して勝ちました。凄い。

左玉のポイント

2012年05月25日 | 左玉
ためになるかどうかは分からない左玉のポイントを2つ。

1.端角には金上がり

第1図は対石田流ツノ銀型左玉を得意とされている方の将棋から取材。
△3六歩▲同歩△同飛に▲3七金と上がった局面。
石田流が端角の場合は金を上がります。△3四飛に▲3六歩~▲2六金として▲3五歩を狙います。

2.7筋(3筋)の位

第2図と第3図は自分の将棋から。
第2図は△3三桂に▲7五歩と7筋の位を取った局面、第3図は▲7七角に△3五歩と3筋の位を取った局面。
左玉を指すうえで6筋(4筋)の位の確保が重要なのは当然ですが、7筋(3筋)の位を取るのも重要です。
絶対に取らなければならないというわけではありませんが、△7四歩~△7三桂(▲3六歩~▲3七桂)を防いでいるのが大きく、(位を取るタイミングが難しいですが)取って損はありません。
ここから左玉は▲7六銀~▲8五銀(△3四銀~△2五銀)の棒銀の攻めを狙います。

ツノ銀型左玉の組み方(2)

2012年05月23日 | 左玉
対石田流ツノ銀型左玉の組み方・後手編。
(今回もこの戦法を得意としている方の将棋から取材しました。)

▲7六歩△3四歩▲7五歩△4四歩▲7八飛△6二銀▲4八玉△6四歩▲3八玉△6三銀▲2八玉△1四歩▲1六歩△3二銀▲3八銀△4三銀▲6八銀△4五歩(基本図)

駒組みは先手の時と変わりません。
ここから角交換をした場合と拒否した場合の2パターンに別れるのも同じです。

1.角交換
▲8六歩△3三角▲同角成△同桂▲8八飛△2二飛▲8五歩△7二金▲8四歩△同歩▲同飛△8三歩▲8六飛△5二金▲9六歩△2一飛▲9五歩△4二玉(第1図)

本譜ではイレギュラーな手順で角交換しましたが、基本的に先手の時と変わりません。

2.角交換を拒否
▲6六歩△6二飛▲6七銀△4二玉▲5六銀△5四銀右▲7四歩△同歩▲同飛△3二玉▲7八金△7三歩▲7六飛△4二金▲7七桂△4四角▲9六歩△3三桂(第2図)

こちらも先手の時と変わりません。
飛車を転回して戦う場合と、右四間のまま戦う場合とに別れるのも同様です。
序盤の早い段階で角交換をしてこの形に組む順が『痛快!ワンダー戦法』で「対升田式・地下鉄飛車」として紹介されていますが、角交換をしないで組む順を推奨します。

ツノ銀型左玉の組み方(1)

2012年05月21日 | 左玉
対石田流ツノ銀型左玉の組み方・先手編。
(この戦法を得意としている方の将棋から取材しました。)

▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲4八銀△3五歩▲4六歩△6二玉▲4七銀△7二玉▲7八銀△8二玉▲6七銀△7二銀▲9六歩△9四歩▲6五歩(基本図)

石田流側の駒組みはいろいろとありますが、左玉はこの順で組みます(端歩は後回しでも構わない)。
基本図から、角交換をした場合と拒否した場合の2パターンに別れます。

1.角交換
△3四飛▲2二角成△同銀▲7七桂△3二金▲8八飛△3三銀▲3八金△1四歩▲5八金△2四歩▲8六歩△2五歩▲8五歩△2四飛▲6八玉△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△2四飛▲8九飛(第1図)

角交換をした場合はこのように組みます。
本譜では石田流側は△3四飛と指しましたが、△8八角成もあります。

2.角交換を拒否
△4四歩▲4八飛△4二銀▲6八玉△5二金左▲7八玉△1四歩▲6八金△4三銀▲6六角△3三角▲7七桂△5四銀▲5六銀右△4二飛▲3八金△2四歩▲4九飛(第2図)

角交換を拒否してきた場合は右四間に構え、このように組みます。
ここから左玉側は▲9八香~▲9九飛または▲7五歩~▲8六歩~▲8五歩~▲8九飛と転回して戦う場合と、右四間のまま戦う場合とに別れます。それぞれのパターンの戦い方については、順次紹介していきます。
なお、この形は『痛快!ワンダー戦法』で「右四間6筋位取り」として紹介されています。

次回は後手編。

南の右玉(2)

2012年05月19日 | 右玉
第20期銀河戦Eブロック8回戦(2012年2月28日放送)。
対戦相手の金井五段は、連勝賞を受賞したことのある若手実力者。

第1図は△4五歩に▲3七桂とした局面。

金井五段は対右玉のセオリー(「右玉にはミレニアム」)に則った駒組み。
ここから南九段が動きます。

△5五歩▲4五桂△4四角▲5七銀△5六歩▲4六銀△5一飛▲5三歩△5四銀左▲2四歩△同歩▲同飛△3三桂▲同桂成△同角▲3四飛(第2図)

△5一飛と転回させるタイミングが悩ましいですが、△5六歩と取り込んでから回りました。
お互いに駒の損得がない第2図の局面。ここで南流右玉らしい一手が出ます。

△9五歩▲同歩△9七歩▲8八銀△4五歩▲3五銀△4三金▲3三飛成△同金▲9七香△2一飛▲2四歩△2九飛▲9八玉△8五桂打(第3図)

△9五歩と仕掛けるのが南流の一手。『南の右玉』でも端攻めから相手陣を崩す順の解説がありました。
すぐに△4三金とするよりも攻めの足がかりを作る意味でも得です。
飛車角交換に成功し、狙いの継ぎ桂(△8五桂打)を実現させた第3図以降も端を重点的に攻め、108手で南九段が勝ちました。