89式小銃は制式名称を「89式5.56mm小銃」といい、
1989年に防衛庁(当時)に制式化され、現在では陸上自衛隊をはじめ海上自衛隊(特別警備隊:SBU)、
海上保安庁などで使用されている。
この小銃の開発を各種資料からたどってみよう。
89式小銃の開発は先代の64式小銃採用直後から始まったと言われる。
この年、アメリカ軍はそれ以前よりも小口径の自動小銃、M16を採用した。
また1965年、豊和工業ではアメリカ・アーマライト社と技術提携し、
AR-18、AR-180自動小銃のライセンス生産を開始した。
当初このAR-18を改良することを考えていたようである。
この研究は1970年前半に行なわれた。
1977年、AR-18の改良に限界を感じた豊和工業では独自の新型小銃の開発を開始。
HR-10という名称の自動小銃を1978年に完成させる。
これは5.56mm弾を使用して40連弾倉を装着、単発・連発のほかに制限点射機能(3点バースト)を備えていた。
発射速度は650発毎分と比較的低速になっているのが特徴である。
1979年、HR-10の研究結果を元に軽量化したHR-11が開発される。
これには折り曲げ型の銃床が取り付けられ、HR-10に対し600gの軽量化が果たされた。
また、構造が複雑だった制限点射機構(バースト・コントロールユニット)を新型に変更した。
1984年、これらのテスト結果を反映させ、HR-12の設計を開始(1985年に完成)。
これにも折り曲げ銃床が標準装備とされた。
また、それまでと異なりプラスチック一体成形の用心金(トリガーガード)が取り付けられた。
1986年、さらに改良を施したHR-15が設計・限定製造され、防衛庁に納入された。
これは別名「予備試作銃」と呼ばれるもので、切替え金(セレクター)が右側面につけられているのが特徴である。
1987年、HR-16が設計・限定製造され、防衛庁に納入された。
折り曲げ銃床のみでなく、固定銃床のモデルがあるのが特徴である。
これは「開発試作銃」と呼ばれ、寒冷地テスト、耐久性などの実用テストが実施された。
このテストの結果が良好であったため1989年9月に防衛庁に制式化された。
以下に89式小銃の諸元を示す。
口径 5.56mm×45
ライフリング 6条右回り
全長 916mm(折りたたみ時670mm)
銃身長 420mm
重量 3.5kg(折りたたみ3.0kg・共に空弾倉込み)
装弾数 30・20発
初速 920m/s
発射速度 650~850発/分(サイクリックレート)
発射方式 単発・連発・制限点射(セミ・オートマチック、フル・オートマチック、3点バースト)
作動方式 ガス圧間接利用 緩衝撃ピストン
閉鎖方式 遊底回転式閉鎖機構(ロータリーボルト・ロッキング)
参考文献
かや書房「小火器読本」
国際出版 月刊「Gun」各号
(以下同じ)
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