オー、捨てないと!

隠れオタクな会社員の買い物や感じた事

20式小銃についての考察 その2

2020-06-28 23:43:58 | Gun
引き続き、20式小銃についての考察を。

先日、制限点射機構がオミットされたことを書きましたが、
引金機構は89式小銃同様にユニット化したものを引金室に収容する方式になっているようです。

・槓桿(コッキングレバー)
国産小銃で何かと話題になる(笑)槓桿はSCARのものとよく似た形式で左右入れ替え可能なようです。
上面のレールに取り付けた照準器等が操作の邪魔になりそうではありますが…。

個人的に電動ガンのSCAR-L持ってるのですが、案外装備に引っかかったり、うっかり手が当たったりするのでちょっと気になりますが、
操用性の試験はやっているので問題なしと判断されたのでしょう。

また、89式小銃においては槓桿の作動窓に手の込んだ(しかも射撃後は手動で閉めなければならない)ダストカバーがあったが、
20式には装備されていない。
遊底・スライドの閉鎖時に閉塞されるので問題ないのだろう。

・その他操作系
弾倉留め(マガジンキャッチ)はSCARのものとよく似た左右操作可能な方式で89式と異なり、ボタン周囲にも誤操作防止の突起が設けられた。
また、SCARの物より大きめになっており、操作性は向上しているようだ。
以前は基地祭等で小銃等にも触らせてもらうことができたが、色々あって今はダメになったので、実際に手に取って確認することはできそうにないのが残念ではある。

スライド止め(ボルトストップ)もSCARに似ているが、右からも操作可能に。
64式のスライド止めは手動操作のみ、89式もどちらかと言うと弾倉交換後に操作して遊底を閉鎖するような設計ではなかったようだが、
このあたりも進化したようだ。

・被筒部(ハンドガード)
被筒部は機関部上面まで伸びるピカティニーレールが装備され、被筒部側面・下面にはにはM-LOKと思われるスロットが設けられた。
各種アクセサリーを取り付ける4面レールは近年の銃器デザインでは一般的なものであり、
89式小銃では被筒に取付金具を増設したりして対応していた。

また、被筒部には大胆に穴があけられているが、排水性よりも重量軽減のためと思われる。
被筒内に水が多少残っても作動性に問題は無いと思われることと、公開された20式の重量が89式と同じ3.5kgだからである。

機関部と被筒部が現在流行りの一体構造でない事に疑問が呈されているが、
加工性なのか、整備性なのか、あるいは今後銃身を長くしたり短くしたバリエーションを作りやすくするためなのかは不明だが、
現時点ではそういった予定はないとの事である。
最も、今後気が変わってそういった仕様の要求が出てくる可能性もあるので、豊和工業側が先手を打っておいた可能性は大いにあり得る。
実際、89式小銃においても豊和工業が短いバージョンを試作したことがあることが知られている。

・ガス圧規制子(ガス・レギュレータ)
国によっては備えられない場合もあるガス圧規制子は64式、89式に引き続き、20式にも装備された。
自分の見た範囲でどのメディアにも触れられていないので不明だが、こちらも旧来同様に大・中・小・切の4ポジション調整と思われる。
形状が大きく変わったが、動かしにくくなった際に棒などを差し込む穴が開いているのも旧来同様である。

また続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20式小銃についての考察

2020-06-28 00:12:59 | Gun
先日の防衛省の新小銃お披露目会の様子と考察記事が専門誌各紙に載っていましたので買ってきました。

これらと今まで分かっている情報を基に自分なりに考察をまとめてみたいと思います。
まあ、私が元自衛官でも銃器の専門家でもありませんのでその辺はご了承ください。

・開発目的
>離島防衛での使用を想定し、耐水性が高く排水性を高め、弾倉も樹脂化。
これだけで公開時等にネット上で言われた「89式のままでよい」「89式にレールをつけるだけでよい」と言った意見が的外れであるのが分かると思います。
既に89式小銃を利用しての海岸での着上陸訓練が行われていますが、訓練後の手入れが不足で錆びやすいという話もあったり無かったりしますので。
6月12日に公表された豊和工業の決算説明会の資料にも「素材と表面処理の改善により耐腐食性が向上」との記載があります。

同時に採用された新拳銃SFP9も耐水性に特化したMモデルが選定されており、このあたりが新小銃・新拳銃において重視されたものと思われます。

・開発経緯
今回、自衛隊主導で開発されたわけではない旨の話があったようです。
前出の決算説明会資料にも「当社が開発した小銃が」とあり、89式小銃のような共同開発ではないようです。
逆に64式小銃は今回同様、豊和工業の自主開発から始まっており、その面では64式小銃と共通点がありますが、
どちらも東京オリンピックの年に制式採用という点でも共通点があります。
最も、例のコロナウイルス騒動でオリンピックは現時点で来年に延期となっていますが…(だが、Tokyo2020という名称にすると決まっており、ややこしい)。

以下、各部のデザインについて
・銃床
SCARのものとよく似た調整式で折り畳み機構は無し。
短くできるので89式にあった折り曲げ機能は不要と判断されたのかもしれません。
折り曲げ式はがたつきが出ますし。
伸縮機能は近年、列国では当たり前になっており、体格のみならず防弾チョッキ等を着用した際の取り扱いに必要とされています。
また、SCARのものとよく似た可動式のチークピース付きで工学照準器の取り付けに対応。

床尾板がHK416のように中央の膨らんだタイプとなっていますが、試験でSCAR、HK416と比較された影響があるのかもしれません。
他の部分にもみられる特徴ですが、20式小銃はそれまでの国産小銃にあった「じっくり狙って撃つ」というのではなく、「素早く構えて撃つ」方向に舵を切っているように思われます。

・切替金(セレクター)
切替金は89式の後期に標準となったように左右にあるタイプとなりました。
89式に追加されたものと異なり、比較的出っ張りが少なくなり、匍匐前進の際や装備に引っかかりにくくなっているようです。
単発時の回転角約40度が半端と指摘されてますが、SCARも似たようなものですし…。
逆に連発時は90度よりさらに回転させるので誤操作しにくくなっていると推測します。

89式で何かとなる切替金の安全→連発→制限点射→単発の切り替え順ですが、
20式では一般的な安全→単発→連発の切り替え順序となりました。

あの独特の切り替え順序には諸説あり、ネット上で見た「急な接敵時に連射しながら移動して、身を隠せる状況になったら単発でじっくり狙う」というのが事実なら
個人的には面白いと思います。
一部で「設計ミス」とする意見も見たことがありますが、試作品がすべて一般的な配置で、採用直前にあの方式に改まっているのが判明しているので、
その可能性は低いと思います。

制限点射(3点バースト)はオミットされましたが、これも世界的な流れですね。
そもそも最初に提唱した米軍自体止めてますし。

続きは後日。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陸上自衛隊の新小銃と新けん銃が公開

2020-05-18 21:21:34 | Gun
昨年末に導入の決まった陸上自衛隊の小銃とけん銃が本日、記者団に公開されました。

小銃の型式が「20式」というのへ先日情報が出ていましたが、「にーまるしき」なんですね。

色々と気になるところはあるのですが、意外だったのは
・銃剣が89式のまま(鞘は変更になったようです)
・ベレッタ社製のGLX160(リンク先には映ってませんが)
あたりでしょうか。

けん銃がライセンス生産の可能性も残しつつ(どこが生産するんだ)も輸入だそうですが、
整備は送り返すのかとか気になる部分はあります。
また、SFP9を採用とは聞いてましたが、耐食性に優れたSFP9Mを採用したようですね。

月末の専門誌に色々載るようなので買ってきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あたらしい小銃のはなし

2016-09-22 20:30:10 | Gun
陸上自衛隊が新しい制式小銃を模索しているのは既に色々なところで語られていますが、
公開情報を基にした興味深い考察をJienさんが公開しています。

自衛隊の次世代型モジュラーライフルを考える(前編) ― 「ポスト89式」を巡るこれまでの議論を基に(JISAKUJIEN.org)

自衛隊の次世代型モジュラーライフルを考える(後編) ― 米軍特殊作戦部隊によるSCARの運用を参考として(JISAKUJIEN.org)

これによれば口径が7.62mmと5.56mmの二本立てであり、銃身の長さや肉厚や材質の異なるものが交換して使用できること、
銃床に複数の形式が選択できることなどが盛り込まれている。

これらは列国において採用されているFN・SCARやH&K HK416/417などの特徴と合致し、
国産小銃において同等の銃を開発するようだが、イラストの見た目がSCARにやたら似ているのが気になります。

その他、二脚をまだ残すのかとか、スコープが仕様に盛り込まれるとか気になる部分は多いですが、
我々の目の前に姿を現すのはいつか、気になるところです。
以前と異なり、基地祭でも触らせてもらえなくなったので、民間人の我々が触れる事は無理かもしれません。

思えば64式小銃はM14の採用が決まっていた中で開発され、比較に打ち勝って戦後初の国産小銃として採用され、
1964年の東京オリンピックに合わせてお披露目されました。
新小銃も海外製のSCARやHK416、G36などとの比較に打ち勝ち、2020年の東京オリンピックに際してお披露目されるのかもしれません。
既に実戦経験のあるそれらに勝てるのか、国産と言う以外の優位性があるのか私にはありませんが…。

ところで7.62mmってやっぱり64式実包を使うんでしょうかね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

HK45 買いました

2014-04-20 22:45:00 | Gun
金曜に発売になった東京マルイの新製品、HK45買っちゃいました。



フルカラーで豪華な感じの外箱。
個人的には2色刷りみたいな地味な箱でも悪くない。


さておき、USPの好きな私としてはHK45は欲しいハンドガンだったわけですが、
某社のものを買おうとしてたら市場から消えて再生産の話は無し…
色々と不具合もあったようですし。

そんなわけで、やっとのことで手に入ったHK45ということになります。

サイドアーム用としてSIG/SAUER P226Rを使ってますが、
諸般の事情からハンドガン戦用としてはXDMを導入、
先日のゲームで満を持して投入したものの何かがイマイチ…
どうやらハンマー内臓式(正確にはストライカー方式)は私の趣味に合わんようです。

ということでちょうど良いタイミングですね。



実際のところ、まだ撃ってはおらんのですが、
操作感やフィーリングは上々。
グリップは平面だったUSPに対して側面に盛り上りをつけて握りやすさを向上させてますね。
グリップ前部にもフィンガーチャンネルがついて握りやすくなりました。

そのうち試射してみて問題が無ければハンドガン戦用のウェポンとして投入したいと思います。
…そいやXDMってその手の検討やったっけ?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ある事件

2014-01-29 22:56:44 | Gun
先日、FBI関連の動画を探していたら興味深い動画が出てきました。
何かと思ったら映画でした。

「FBI 男たちの闘争」 よりFBI捜査官と強盗犯の銃撃戦


映画の中の銃撃戦のシーンなんですが、
この映画自体が1986年の米マイアミ州フロリダで起きた実際の事件を基にしているようです。

この事件はFBI捜査官が2人の武装強盗犯を追いつめたまではよかったものの銃撃戦となり、
最終的に犯人2名は射殺されたものの、FBI捜査官7名が被弾して負傷、うち2名は殉職という痛ましい結果を残しました。

それより問題となったのが、事件後の司法解剖で犯人の一人が複数発被弾していたものの致命傷を受ける事が無く、
銃撃を続けていたという事実。
特に問題となったのが9mm口径のホローポイント弾(ウインチェスター社製シルバーチップ)。
この当時のシルバーチップは軽量弾頭だったことと、犯人が厚手の服を着ていた事が災いし、
浅いところで弾丸が止まってしまい、致命傷を与えられなかったと言われている。
(犯人からは薬物・アルコール反応は検出されず、興奮状態で銃撃を続けていた)

この事件でFBIは9mmパラベラム弾薬に不信感を抱き、10mmオート弾薬を採用するものの
反動の強さから大半のオフィサーが使いこなせなかったことなどから再度問題となり、
10mmショートとも言える.40S&W弾薬の開発につながることとなる。

なお、この事件の際に.357マグナム弾薬や.38口径のリボルバーもFBI側が使っていたようだが(?)、
.38口径の威力不足は1977年のルフトハンザ・ハイジャック事件の際に既に威力不足が指摘されていました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スコープを買いました

2013-08-09 05:00:23 | Gun
7月の大きな買い物はスコープでした。
ライフルスコープ。



SHIRSTONEというブランドのSAMRAIという聞きなれないスコープですが、
日本製の実銃用。
ついてきたカタログを見る限り、近年店を畳んだ新SKBが関連していたブランドのようです。

今回手に入れた物はチューブ径1インチ、4~12×44、フロントフォーカスで、
レティクルの調整もキャップを外して行うやや旧式なデザインで、
廉価版のためか、マウントリングどころかレンズクリーニング布すら付属せず、
梱包も紙箱にエアーキャップで包んだだけというものでした。

では何でそんなもの買ったかというと製造メーカーがライト光機であるという事。

近年、米国の銃器界で名前の出てくるスコープブランドにNightForceとMarchというものがありますが、
このうちNightForce製品を一部OEMしていたのがライト光機になります。
実際に覗いてみるとレンズは解像度が高く、明るさが申し分ありません。

当然廉価版なので高価な商品群とはレンズやチューブの品質に雲泥の差があるはずですが、
高級スコープを作っているメーカーのものが安価で手に入るのはありがたいことです。

実際のところ、私の周りでライト光機が流行だったのでそれに乗っかってみた、という部分もあります。
ちなみにこれ、購入日から10年の保証がついてきました。
メーカーの製品に対する自信が伺えます。

最近、東京の有名なショップがオリジナルで出しているスコープがライト光機製という事もあり、気になるのですが、
4万円強ですか…。

ちなみにライト光機は双眼鏡なども手掛けており、長野県諏訪市にある関係で諏訪湖SA下り線では同社の双眼鏡が売られているとの事。
というか昨年末~今年の初めにかけてはSAMRAIブランドのスコープも売られていたようです。
…まじか。
本当のところ、同ブランドのショートスコープが欲しいのですが、ちょっと気付くのが遅かったようですね…。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幕末の銃器の話 その3

2013-04-25 21:48:32 | Gun
先のシャスポー銃と順番が前後しますが、
今回はシャスポー銃の元になったドライゼ銃の話。

ドライゼ銃(Dreyse Zündnadelgewehr)は1841年にプロイセン軍に採用された軍用小銃で、
世界初のボルトアクションライフルです。

Shooting Dreyse M.41 chambering m.47 cartridge.avi


ボルトアクションですが、動画にあるようにボルトハンドルは
閉鎖状態で水平もしくはそれより少し下になる後世の銃と異なり、
やや上で固定されます(というかこの動画で初めて知りましたよ…)。

というかコレ、今気づいたんですが、
現在のように定位置でロックされるんでは無くて押し付けるためにボルトを使ってるんですね…。
射手の人が毎回ボルトハンドルを叩くようにしてるのもこのためですね。

ガスシールを良くするために銃身(薬室後部)にはテーパーが設けられ、
逆にボルト前面には逆テーパーとなっており、両者が噛み合うことでガス漏れを防いでいる。


機構的な部分はこちらの動画が秀逸。


Zündnadelgewehr


ドイツ語なので詳細不明ですが、敵が前装銃なので普墺戦争でしょうか。

弾薬は紙巻の弾薬で弾丸・発射薬(黒色火薬)・雷管がひとまとめにされており、
それまでの前装銃と異なり、伏せたままで素早く弾薬を装填する事ができた。

その一方で雷管が弾薬中央にあるため、
発射薬の中を突き抜けていく長い撃針(ニードルガンと呼ばれる所以)を備えており、
この撃針は発射の度に高温に晒されるため焼損し、度々折れた。

閉鎖機構の堅牢さに欠け、弾薬の威力を上げる事ができず、
発射ガスのシールも不完全なドライゼ銃の欠点をフランス軍が改良したのが以前紹介したものがシャスポー銃である。

さて、当時最新鋭だったドライゼ銃(この名称は設計者のフォン・ドライゼに由来する)は日本にも纏まった数が輸入され、
普式ツンナール銃(普式=プロイセン式 ツンナール=針撃ち式を意味するドイツ語らしい)と一般的には呼ばれていた。
しかしシャスポー同様、やはり紙巻薬莢を使うドライゼ銃も
日本では湿気による不発に悩まされたのではないかと想像されます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幕末の銃器の話 その2

2012-10-05 21:38:31 | Gun
先日話題にした幕末に国内にあった銃器の話ですが、
先日Youtubeを見ていたら案外動画があることに気付きましたので、
紹介してみたいと思います。

文字ばっかりでは伝わるところが少ないと思いますし(笑)。


先ずはシャスポー銃。
制式名称はFusil modèle 1866でフランス軍が1866年に採用した軍用銃です。

Range Testing The 11.6mm Chassepot Needle Rifle


いわゆるボルトアクションライフルなんですが、
動画で見ての通り、紙巻の弾薬を使用します。

これは世界初のボルトアクションライフル、ドライゼ銃を改良したもので、
ドライゼの欠点だった後方へのガス漏れをボルトの一部にゴム製シールをつけることで防いでおり、
同様にドライゼでは薬包の中央部にあった雷管を底部に移し、撃針の焼損を防いでいる。

ただし当時は黒色火薬を使うため、動画の通り発砲の際の白煙が大きく、
残渣(スス)も多いため、適度に清掃しないとボルトの操作等に不具合を起こす欠点があった。
先の動画でも2:10あたりにこのあたりの解説が見られる。

また、場合によっては薬包に使われる紙が燃え残る場合があり、
注意しないと次弾装填時に暴発を起こす場合もあったという
(装填前に薬室から息を吹き込んだりして解決する)。


構造についてはこちらの動画の後半あたりを参照。

Needle Gun MLE 1866 Chassepot Shooting


細部はこちらの動画でも。
Needle Gun MLE 1866 Chassepot


手の込んだ刻印はともかく、何故か表面仕上げは行われず白磨きとなっており、
見た目には美しいものの錆や曇りが起きやすく、
錆を起こさせやすい黒色火薬と相まって手入れはかなり面倒だったと思われる。

幕末の日本においては江戸幕府がナポレオン3世からこの銃を提供された事もあり、
幕府の組織した洋式軍隊・伝習隊が使用したと言われている。
この説には諸説あるが、少なくない数のシャスポー銃が日本に入り、
西南戦争でも一部使用されたのは事実である。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホッチキス機関銃

2012-09-19 21:12:39 | Gun
少し前にマキシム機関銃について書きましたが、
今回は同じく第1次世界大戦にて活躍した別の機関銃の話。

画像は持ってないんでとりあえず動画を最初に。

Hotchkiss machine gun

その動画もロクに無いって言う…。
(動画の物は解説を見る限り1912年ノルウェー・コングスベルグ造兵廠で作られたものらしいです)

ホッチキス機関銃はフランス・オチキス社で開発・製造されフランス軍に採用された機関銃(ここでは基本的にMle1914について)である。

作動方式はガス圧利用、銃身冷却方式は空冷となっており、
同じく反動利用、水冷式のマキシム機関銃と対照的な存在となっている。

銃身の空冷は銃身基部のあたりに大型の銅製のリングを装着することで冷却効果を高めている。
この設計はオチキス社が考案した時、既に他者によって特許が出願されていたが、
円満に解決したようだ。
また、この銅製リングは銃身に作り付けではなく取り外し式となっており、
銃身交換後も再利用する。
銃身の交換がこの時代にしては比較的容易であるのもホッチキスの特徴で、
マキシムの場合、大きな水冷ジャケットが邪魔をするし、
水が漏れないようアスベスト製の紐を巻きつける必要がある。

また、弾薬はフランス軍制式の8mmレベル弾薬を使用するが、
マキシムや他の機関銃の様な布製ベルトではなく金属製の保弾板を使用する。
これは細長い金属板をプレス加工し、弾薬を固定するツメをつけたもので、
24発を装填できる。

マキシム系のベルトが100発程度装填できるのに対し弾数が少ないのが欠点で、
後に金属製の非分離式ベルトリンクも開発されたが、
新品だと硬く、作動不良を起こしやすいキャンバス地のベルトと異なり、
金属製の保弾板はそう言った点では信頼性が高かったのではなかろうか。


Hotchkiss 8mm M1914 Firing


↑ヘルメットの形状から米軍が使用していると思われる動画ですが、
短い動画をループしてるんですね。
動画が案外少なくて困ります(泣)。

この機関銃の欠点は三脚(確か銃本体とは別の人による設計)にあり、
無駄に背が高いそれは射撃時の姿勢が高くなり、射手は敵に姿を大きく晒す事になってしまう。
しかもご丁寧に自転車のサドルのような座席がついている具合である。
この三脚のせいで敵に撃たれた射手は少なくなかっただろう。

なお、この銃のアクセサリーの一つに銃口に取り付けるフラッシュハイダーがあるが、
写真で見た事しかないのでイマイチ構造が不明。
マズルフラッシュを下に向けているような構造ですが…(詳しくご存知の方、ご教示を)。

最後にホッチキス機関銃と日本との関係について触れておこう。
日本軍はこの銃を日本軍の制式弾薬である6.5mm弾薬に変更したものを「保式機関砲」として明治35年に制式とした。
保式機関砲は日露戦争にも投入された。

この保式の性能には定評があったようで、国産の三八式機関銃に始まり、
三年式機関銃、九二式重機関銃、一式重機関銃と全てがホチキス式の構造、
保弾板形式を踏襲している。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする