どんぴ帳

チョモランマな内容

パーキングエリアは辛いよ

2007-08-26 09:46:23 | 北海道一周!

 羅臼峠のキャンプ場を出発してすぐ、道路の登坂車線に鹿を発見する。
 どうやら車に轢かれた様だ。小便を垂れ流し、口から涎を垂らして蹲っている。前脚から少しだけ出血があるが、意識ははっきりしているようで、首を持ち上げ周囲を伺っている。時折車が走行車線を通り抜けて行く。こんな時は道路緊急通報ダイヤル「#9910」に電話してみる。
「はい、道路緊急通報ダイヤルです。何かありましたか?」
 私は状況と現在地をなるべく正確に伝えた。
「分かりました、すぐに連絡を取ってそちらに向かわせます」
 どこかに野生動物の保護施設があるのかは分からないが、誰かが来てくれるらしい。
「どうしよう、このまま放置して行っちゃう?」
「どのくらいで来るんですかね」
「まあ最低三~四十分はかかるだろうね。かといってこのままじゃあまた車に轢かれそうだし」
「待ちます?」
 私とI君は思案に暮れてしまった。すでに日が昇っているので、アスファルトの上は徐々に熱くなってきている。
「水でも飲ませてみる?」
「あ、俺の折りたたみバケツを使いましょう」
 I君が自転車から折りたたみバケツを外した時だ、突然鹿が立ち上がった。足元はやや頼りないが、しっかりと地面に足を踏ん張っている。
 驚く私達をよそに、鹿はゆっくりと対抗車線を横切ろうとした。そこへ紺色の軽自動車が走ってきたが、かなり手前から見ていたのか、ドライバーのおばさんはゆっくりと減速し、鹿をやり過ごす。
 鹿は道路の下に降りると、立ち止まった。やはり前脚を軽く引きずっている。私がゆっくりと近づくと、今度はまた道路に飛び出し、反対側の藪の中に飛び込み、森の中へ消えて行った。
「どうもこの折りたたみバケツがまずかったみたいですね」
「それは分からないけど、まあ仕方ないよね」
 私は再び道路緊急通報ダイヤルへ電話をした。
「さっき通報したものですけど、鹿が森の中に逃げちゃいました」
「そうですか、わざわざありがとうございます。でもよくある事なんですよ」
 なんとなくスッキリとはしなかったが、私達はその場を後にした。

 昼食をいつものSマートで食べると、再び走り出す。5キロ程走った時だ。私は自分の自転車の異変に気付いた。
「無い、ウルトラアイが無い!」
 いや、失礼。無いのは貴重品を入れている取り外し式のフロントバッグだ。ブレーキをかけ、停止しながら記憶を瞬間的にリバースする。
「Sマートの店の前だ」
 店の前でI君と座って食事をした時だ。ゴミを捨てに行って、たまたま反対方向から来たチャリダーと話をして、そのまま・・・。私はすかさずI君にSマートのレシートの有無を確認し、携帯を借りて店に電話した。
「ありますよ、お客さんが届けてくれましたよ」
 私はほっと胸を撫で下ろした。どなたか知りませんが、北海道の親切な方、ありがとうございます。なにせそのバッグには財布、携帯、デジカメ、USBメモリー、そしてパソコン(VAIO-TypeU)が入っています。紛失したら大変なことになるところでした。
 こんな事にI君を付き合わせる訳には行かないので、遠慮無く先行してもらう。Sマートに戻り、再び出発する。これで10キロは余分に走ることになるが、まあ、焦らない事にした。


小松製ブルドーザーの新型オプション、ボディ同色ゴム手袋製マフラーカバー(嘘)。カバー無しで雨上がりにエンジンを掛けると、始動時に黒色の汚い水が吹き上がります。

巨大エビを発見、やや鮮度が落ちています。

ロードサイドは何も無し、あっても牧場。I君からのメールに返信しようと立ち止まると、三十秒以内に蚋(ブヨ)に襲われます。

 I君に遅れること小一時間、ようやくパーキングエリアに着きました。PAと言っても、あるのはトイレと水道だけです。周囲に店は一軒もありません。油断すると蚊と蚋に襲われます。

早めに夕食を食べます。昨夜貰ったマスをパスタにしました。なかなか美味です。

夕暮れ迫るPA。

 さて、この時間になって乗用車に乗ったご夫婦がやって来ました。しかもテントを張るようです。奥さんの話では初めてテントを張るそうで、説明書を読みながら、あーでもない、こーでもない、とやっています。次第に辺りは暗くなり、手持ちの懐中電灯一つで頑張っています。
「手伝ってあげる?」
「いえ、自分でやらないといつまでたっても出来ませんからね」
「そりゃそうだね」
 私達は静観する事にしました。ご夫婦はどうにかこうにか一時間以上かかってテントを立て、中で楽しそうに話をしていました。

 深夜一時過ぎ、PAにトラックがやって来ました。音で分かります。恐らく一晩中エンジンを掛けたまま、ここに居るはずです。私は気にせず再び眠りにつきました。

 翌朝四時、いつものように目が覚めます。I君も同じ様です。外に出ると、ご夫婦のテントと車がありません。
「I君、あの人達のテントが無いよ」
「マジですか?」
「全然気付かなかったよね」
「ええ」
 恐らくご夫婦はトラックのエンジン音に耐えられなかったのでしょう。夜中に撤収したみたいです。相当我々に気を使い、できるだけ音を立てないように出て行かれたのでしょう。少し気の毒でした。

 道の駅やパーキングエリアは、トラックがエンジンを掛けたまま停まっている事や、車がたくさん出入りして、ドアの開閉音がバンバンします。音に敏感な方はキャンプ場に行く事をお勧めします。



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