朝が来た。I君とはここから別ルートになる。
日本一周をしているI君はいつまでも北海道でゆっくりとしている訳には行かない。彼は幹線道路の国道44号を、北海道の海岸線をなぞる旅の私は、道道142号で霧多布を目指す。
公園の出口でI君は右に、私は左に行く。
小さくなるI君の後姿、楽しい日々でした。旅のリズムが似ていたからこそ、二週間以上も一緒に居られたのだと思います。
一人になった私はまず花咲港を目指します。
花咲港、朝早いので店は一軒も開いていませんでした。
でも、道路で一円をゲット。
いよいよ霧多布に向かう道道142号に入ります。かなりアップダウンが激しく、さらに霧も出てきます。
かなり濃い霧で、車から視認されているのか不安になります。
アップダウン、霧だけなら良いのですが、最凶の敵が襲ってきます。それは蚋(ブヨ)、上り坂に差し掛かると、必ず十数匹が襲ってきます。ペダルを漕いでいる足でもお構いなく止まって血を吸います。坂を上っている間中、ずっと襲ってきます。
平地に入っても時速15キロ程度ならずっと並走して付いて来ます。自転車のバックに留まっている頭の良い 蚋も居ます。時速40キロで坂を下っても、バックに留まっている蚋は離れません。これでは私の自転車は蚋のための食堂車輌です。
そして急な上り坂で自転車のスピードが時速10キロ以下になると、次々と攻撃してきます。
今日の気温が道東では珍しい35度に迫ろうとしているのも原因です。虫は活発になり、私はダクダクと汗を掻きます。その臭気にさらに蚋が集まります。
上り坂で蚋に襲われるのは、まるで陸上部員が炎天下の中、顧問に竹刀で殴られながら走るような感じです。
「ほら、ペースが落ちたぞ!走れ!」
と言われている様です。そしてそんな坂がいくつもいくつも連続しています。だんだん精神的にやられて来ます。
霧多布までの唯一の自販機、もちろん飲んでる間も蚋を手で払い続けます。
心和む旅館の看板羊、看板の日陰に居ます。
蚋と坂と戦い続け、どうにか昼には霧多布に到着しました。
意味不明な気合で。
実際に使われている霧笛、近づくとめちゃめちゃ音がでかくて耳をやられます。
まだまだ蚋との戦いは続きます。
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