どんぴ帳

チョモランマな内容

続・くみたてんちゅ(その3)

2010-03-26 04:11:01 | 組立人

 実は今回、中国に行く前から私の肉体はある問題を抱えていた。

 何が原因かは分からないが、全身の筋肉が異常に疲労しているという症状だ。
 歯を磨くと歯ブラシを持つ手が重い…、自分の家の階段を一度上がるだけで足が疲れる…、食事を摂ると顎が疲れる…、
「な、なんで?」
 自分でも原因が分からない状況だ。
「えーい、肉体労働の現場に自分自身を放り込んでやる!」
 自分自身にややスパルタな使命を課してみたのだが、その目論見は完全に甘かった。

「…や、ヤバイかもしんない…」
 バールを持つ手が重い、しゃがむとアキレス腱やふくらはぎが悲鳴を上げる。バールで木箱をこじると腰が泣きそうに痛い。
「完全に役立たずだ…」
 目の前で働いている50代の須沢という機械屋さんよりも動きが悪いのは明白だ。だが、仕事をせずにお金をもらう訳には行かない。
「クォウりゃぁあああああ!」
 力任せに開梱作業を行い、半分ヤケクソになってバールを突っ込む。
「ベキベキベキっ!」
 冬の北京は寒い上に乾燥しているので、木箱はウエハースのように割れてしまい、余計に作業に手間がかかってしまう。
「…また割れちまった」
 何をやっても上手く行かない時はこんな物だ。
「このままじゃ足手まといだからな、廃材を運ぶか…」
 とにかく何かをやらなくてはいけない。私は開梱された廃材を運ぶことにした。
 すぐに中国人のジョーが私を手伝い始める。
「おお、ありがとう」
 ジョーは結構優しい男なのだ。ジョーとひたすら廃材を運ぶが、すぐに私は新たな自分の体の異変に気づき始めた。
「マジかよ…、たったこれだけで握力が落ち始めてる?」
 もう何年も前とは言え、反力20kgf/cm2のウォータージェットガンを握っていた両手の握力が、たかがベニヤ板を運ぶ程度で悲鳴を上げている。それどころか、両腕の筋肉がパンパンに張っている。
 そして私は自分の体の異変を、自分の体で思い知ることになった。
「そりゃっ!」
 一人で運べる程度のベニヤ板を数枚運んでいる最中だった。私は頭の上に掲げたベニヤ板を、廃材の山に投げたつもりだった。
「あ?」
 瞬間的に握力がガクンと落ち、ベニヤ板は前方に飛ばず、私の頭上に落ちて来た。
「ガゴンっ!」
 自分で投げたベニヤ板が、自分の頭上に落ちたのだ。
「・・・・・・・・」
 ある意味ショックだった。板はヘルメットに当たっただけなので、大して痛くは無かったのだが、自分の思い通りに体が動かないのだ。
 これが自分の肉体の『老化』なのか、それとも相当に『調子』が悪いのか、私は暗澹たる気持ちで廃材の山を見つめていた。


唯一の慰め、お昼ご飯
 でもこれさえも顎が痛くて残しました…。


帰りのバスの車窓
 疲れ果て、根元が白く塗られた街路樹をボーっと見る。


信号機の設置
 前回は気合のみで強引に押し通っていた交差点です。


エアチャイナ本社?
 皮肉にも佐野と赤城を羽田空港に12時間以上も『ディレイ(遅れ?笑)』で閉じ込めた航空会社の前を通って、毎日通勤します(笑)

 ちなみに機材(飛行機)が遅れまくって客の苦情をガンガンに浴びていたのは、業務委託を受けている(のか?)JALのグランドホステスの皆さんだったそうです。で、
「こらぁ、どうなっとるんじゃぁ!」
 と真っ先にカウンターに怒鳴り込んだのは、中国人の皆さんです。
「…おいおい、お前らの国の航空会社が本来の原因だろう…」
 という空気が日本人の間に漂っていたそーです。

 スッチーが大変な仕事なのは分かるけど、グランドホステスも飛行機が遅れると地獄のよーな仕事に一変するんですねぇ…。

 



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2 コメント

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原因は? (カミヤミ)
2010-03-26 09:20:59
長いですよ。やっと裁判スタートです。疲労の原因は何ですか?昔、地下鉄にまいたサンの影響ですか?弁護士と裁判所の面白い話は、いつかご紹介します。
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撒いたのは… (どんぴ)
2010-03-26 21:21:34
 私が電車内に撒いたのは、胃酸が混じったゲ○だった気がします。えー、中○線と小○急線だったかなぁ…。
 まあ二十年前の話とは言え、今から思い起こせば非常に迷惑な輩でしたねぇ…。

 弁護士と裁判ネタ、いつの日か公開して下さい(笑)
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